セント・ジャイルズ=ウィズアウト=クリップルゲート (英: St Giles-without-Cripplegate) は、シティ・オブ・ロンドンにあるイギリス国教会の教会である。現在バービカン・エステート [注 1] (英語版) と言われる地域にあるフォア・ストリート (英語版) に位置しており[1]、セント・ジャイルズ・チャーチ (St Giles' Church) 、またはセント・ジャイルズ・クリップルゲート (St Giles' Cripplegate) とも呼ばれる[2]。
この教会は建てられたとき、クリップルゲート [注 2] (英語版) 近くに、ロンドン・ウォールなしの状態で、(つまり壁の外側に)立っていた。この教会は、乞食と障がい者の守護聖人、セント・ジャイルズに捧げられている。1666年のロンドン大火で焼失しなかった、シティ・オブ・ロンドンに残された数少ない中世の教会の一つである [3] 。
歴史
現在この教会がある場所には11世紀までサクソン人の教会が立っていたが、1090年頃ノルマン人により建て替えられた。1394年にはゴシック建築により再建され [4] 、石塔は1682年に建てられた。
この教会は3回にわたって大火により大きなダメージを受けている。1545年と1897年 [5] 、それと1940年8月24日夜、第二次世界大戦のロンドン大空襲である。ドイツ軍の爆弾は教会を完全に破壊したが、1545年の再建の際の平面図を使って1966年に修復された [2] 。
12個の鐘からなる新しい「ベルのリング」(Ring of bells) [注 3] (英語版) はミアーズ・アンド・ステインバンク社により1954年に鋳造され、2006年ホワイトチャペル・ベル・ファウンドリー社 (Whitechapel Bell Foundry) [注 4] (英語版) により補強された。
この教会は1950年1月4日に、指定建造物 1級 (Grade I) に指定された[6]。
教会に関連した著名な人たち
レイアウト
- ジョン・ミルトンがここに1674年に埋葬された。
- セント・ルーク教会 (St Luke's) (英語版) の1960年代の地盤沈下により移設されてきた祭壇。
- ニコルソン・スタジオ (Nicholson Studios) の設計により、中世の原型に基づいて設計された東の窓。
- 中世教会建築様式によるセディリア (Sedilia) [注 5] (英語版) と、ピシーナ (Piscina) [注 6] (英語版)。
- クリップルゲートの歴史的秘蔵品を収容した展示棚。
- ジョン・フォクシーがここに埋葬されている。
- マーティン・フロビッシャーを記念した銘板。
- ジョン・スピードの胸像。
- ジョン・ミルトンの像[8] 。
- セント・ルーク教会から移設されたオルガン [9] 。
- ダニエル・デフォーの胸像。
- オリバー・クロムウェルとジョン・バニヤンの胸像。
- セント・ルーク教会の最初の教区牧師 (rector) で、この教会の代理牧師 (vicar) だったウィリアム・ニコルス博士 (Dr. William Nicholls) (英語版) の肖像画。
- カンタベリー大主教、ロンドン主教 (英語版) 、ジョン・ミルトン、オリバー・クロムウェル、マーティン・フロビッシャーの紋章が展示された西側窓。
- セント・ルーク教会から移設された洗礼盤 (font) [注 7] 。
- クリップルゲート財団 (The Cripplegate Foundation) 創設100周年を記念するクリップルゲート・ウィンドウ (The Cripplegate Window) 。
- ロンドン市長ウィリアム・ステインズ (William Staines) (英語版) の胸像。
注釈
- ^ バービカン・エステートは第二次世界大戦のロンドン大空襲により荒廃した跡地が、1960年代から70年代にかけて居住用として開発された地域で、現在は金融機関が密集している。
- ^ クリップルゲートとはロンドン・ウォールの門の一つで、その周辺の地域名となっている。
- ^ 「ベルのリング」とは、完全な円状に鐘を配置したイギリス方式による装置で、それぞれの鐘を打つスピードを制御するために17世紀に考案された。
- ^ ホワイトチャペル・ベル・ファウンドリーは、ロンドンにあるイギリスで最も古い製造会社。創業は1570年で、アメリカの自由の鐘やイギリスのビッグ・ベンを作ったことで有名である。
- ^ セディリアとは、教会で使われる司祭が座るための、通常は石製の椅子。
- ^ ピシーナとは、教会の祭儀で用いた水を流すための聖水盤。
- ^ 洗礼盤とは、11世紀頃より用いられるようになった、石・大理石・金属 (ブロンズ・真鍮・鉛)・木等で作られた洗礼用聖水の容器[10] 。
脚注
- ^ Betjeman,J (英語版) (1967) "The City of London Churches" ISBN 0-85372-112-2
- ^ a b St Giles' Church公式ウェブサイト History 2017年2月16日閲覧
- ^ Hibbert,C;Weinreb,D;Keay,J , 1983 (rev 1993,2008) "The London Encyclopaedia": London, Pan Macmillan ISBN 978-1-4050-4924-5
- ^ Batsford (1942) "The Old Churches of London" Cobb,G: London
- ^ Tucker,T (2006) "The Visitors Guide to the City of London Churches" London, Friends of the City Churches ISBN 0-9553945-0-3
- ^ ヒストリック・イングランド "Images of England" (database No.199476) 2017年2月16日閲覧
- ^ Mettler, Mike. “Total 5.1 Mass Retain: Steven Wilson on Mixing Yes’ Close to the Edge in Surround Sound”. The Sound Board. 2017年2月16日閲覧。
- ^ Pevsner,N/Bradley,S New Haven (1998 ) "London:the City Churches” Yale . ISBN 0-300-09655-0
- ^ Pearce,C.W.(1909) "Notes on Old City Churches: their organs, organists and musical associations" London, Winthrop Rogers Ltd
- ^ ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
外部リンク