スパイクヘアまたはスパイキーヘアは、髪の束をいくつものスパイク状(トゲトゲ、ツンツン)に立てるよう整髪した髪型である。パンク・ファッションで一般的な髪型である。中でも、自由の女神(やソル・インヴィクトゥス, en)の冠のトゲトゲと同様の形をした髪型はリバティ・スパイクと呼ばれる。日本ではその形状からウニ頭と呼ばれることもある。
歴史
古代では、ブリトン人がスパイクヘアにする習慣があった[1]。戦士たちは石灰水で長髪をブリーチした上に、スパイク状に整髪していた[2]。この文化では、敵を殺したことがある者でないとこの髪型にすることが許されず、男らしさの勲章と見なされていた[3]。しかし、その後はローマ人の文化が支配的になり、短髪が好まれるようになった[4]。
それ以降に、とりたててスパイクヘアにしていた文化の記録はあまり見られないが、20世紀のサイレント映画の時代になると、俳優やコメディアンなどがスパイクヘアにしていた記録が見られる。例えば、1920年にコメディアンのハロルド・ロイドは映画の群衆の中で目立つように実験的にスパイクヘアにした[5]。また1950年代には、シュルレアリスムの画家サルバドール・ダリが当時の女性の通俗的な髪型に反抗して長いトゲトゲの髪型を女性モデルに施した。このモデルは「ウニさん/ウニ嬢 (Miss Sea Urchin)」と呼ばれた[6]。
しかし、スパイクヘアが大衆の間で流行るようなるのは1970年代になってイギリスのパンク・カルチャーが現れてからのことである。パンクは、それ以前のヒッピーやディスコカルチャーでナチュラルでスムーズな長髪が流行していたことに対する反動で、大胆に(不揃いに)カットし乱雑にセットした不自然な髪型をするようになった。当初は、シド・ヴィシャスに見られるようにスパイクは小さかったが(現代で言うポップ・パンクのような)。70年代後半にはパメラ・ルーク (en) のような大きめのスパイクヘアも見られ、1980年代から30cm以上になるような非常に長いスパイクを放射線状に立てる髪型が見られるようになった[7]。1980年代後半の日本のビジュアル系ではかなりの長髪を全て真上に立ち上げスパイク状にする髪型が登場した。また、ゴスカルチャーでもスパイクヘアにすることがあるが、パンクではカラフルに染髪をすることが多いのに対し、ゴスでは黒が基調である。
整髪
髪を整髪剤でスパイク状に束ね、頭部に放射状に立たせるのが一般的である。しかしそれだけではなく、スパイクの形は多くのパターンが可能で、現代では部分的に他の髪型と組み合わせたり、様々な工夫が見られる。サイドを剃り上げてトップをスパイク状に立たせるモヒカン刈りとの組み合わせもパンクではよく見られる。また、初期のYOSHIKIの髪型のように頭部の右半分をスパイク状に立て、左半分を寝かせた左右非対称の長髪と言うパターンもある。
長髪のスパイクは、就寝前に整髪料を洗い流し、また起床後に整髪するという、メンテナンスが大変な髪型である。整髪には1-2時間かかることもある[8]。長髪をスパイク状に立てるには、一般の整髪剤では不十分なこともある。80年代の日本のビジュアル系バンドはダイエースプレー(エレーヌ ヘアスプレー)を使用していた[9]。
スパイクヘアの有名人
- 漫画・コミックのキャラクター
関連項目
- モヒカン刈り
- マカロニとプフ (en) - 18世紀のイングランドおよびフランスで流行った奇抜なファッション。髪型をどこまで高くするか競い合っていた。
脚注
外部リンク
- ウィキメディア・コモンズには、スパイクヘアに関するカテゴリがあります。
- ウィクショナリーには、スパイクヘアの項目があります。