イェーツ (Yeats) [1]とは、アイルランドの競走馬・種牡馬。主な勝ち鞍に2006年から2009年のゴールドカップ、2005年のコロネーションカップ、2007年のアイリッシュセントレジャー、2008年のロワイヤルオーク賞など。
経歴
- 特記事項なき場合、本節の出典はRacing Post[5]
2003年9月21日にカラ競馬場での未勝利戦でデビュー勝ちするが休養に入り、翌2004年春に復帰してバリサックスステークスとアイリッシュダービートライアルステークスに連勝し、バリサックスステークスで3頭立てながら10馬身差の圧勝だったことや、戦績が同じエイダン・オブライエン厩舎の先輩格であるガリレオ、ハイシャパラルに類似していた[注釈 1]ことも相まって、一時はダービーステークスの最有力候補にも挙げられていた[6][7][8]。しかし、愛ダービートライアルステークス後に発症した筋肉痛が治まらないことから、ダービーステークスの出走は断念[8]。そのまま1年にわたる長期休養を余儀なくされる。
2005年春、ムーアスブリッジステークスで2着となって初黒星を喫するも、続いて出走のコロネーションカップでアルカセットらを相手にG1初出走・初勝利を挙げた[9]。しかし、続く3戦は勝てずじまいに終わる[10]。なお当初は、コロネーションカップのタイトルを手土産にして種牡馬になる計画が存在したが、方針が変わって撤回されている[11]。
2006年、初戦のゴールドカップを4馬身差で快勝[10]。夏にはグッドウッドカップも制し、アイリッシュセントレジャー2着から出走のメルボルンカップでは1番人気に支持[12]されるも日本から遠征のデルタブルースの7着に終わったが[13]、同年のカルティエ賞欧州最優秀ステイヤーを受賞した[14]。
2007年はヴィンテージクロップステークス、サヴァルベグステークスの2つのリステッド競走を制してゴールドカップに臨み、2連覇を達成[15]。前年2着のアイリッシュセントレジャーもスコーピオンとの競り合いの末に制し[16]、カドラン賞はドイツ馬ルミラクルの3着と取りこぼしたものの[17]、2年連続でカルティエ賞欧州最優秀ステイヤーに選出された[18][注釈 2]。
2008年もヴィンテージクロップステークスから始動して連覇達成ののち、ゴールドカップ3連覇を達成[19]。夏にグッドウッドカップ2勝目を挙げ、カドラン賞は2年連続で敗退したが[20]、ロワイヤルオーク賞を3番人気で勝って[21]、3年連続のカルティエ賞欧州最優秀ステイヤーに選ばれた[22]。
8歳となった2009年は、3年連続始動戦となったヴィンテージクロップステークスでは6着に終わったが、ゴールドカップで巻き返して史上初めての4連覇を達成[23]。アイリッシュセントレジャーは最下位に終わるもカドラン賞で3着に入り、これが最後のレースとなった。この2009年、4年連続のカルティエ賞最優秀ステイヤーを受賞[24]、これはカイフタラの3年連続を上回るものであった。
引退後はクールモアスタッドで種牡馬として繋養されている。
競走成績
以下の内容は、Racing Post[5]の情報に基づく。
出走日 |
競馬場 |
競走名 |
格 |
距離 |
着順 |
騎手 |
着差 |
1着(2着)馬
|
2003.09.21 |
カラ |
未勝利 |
|
芝8f |
1着 |
M.キネーン |
4馬身 |
(Haratila)
|
2004.04.18 |
レパーズタウン |
バリサックスS |
G3 |
芝7f |
1着 |
J.スペンサー |
10馬身 |
(Dabiroun)
|
2004.05.09 |
レパーズタウン |
ダービートライアルS |
G2 |
芝10f |
1着 |
J.スペンサー |
1 1/2馬身 |
(Relaxed Gesture)
|
2005.05.02 |
カラ |
ムーアズブリッジS |
G3 |
芝10f |
2着 |
K.ファロン |
6馬身 |
Cairdeas
|
2005.06.03 |
エプソム |
コロネーションC |
G1 |
芝12f10y |
1着 |
K.ファロン |
1 1/2馬身 |
(Alkaased)
|
2005.06.26 |
サンクルー |
サンクルー大賞 |
G1 |
芝2400m |
9着 |
J.フォーチュン |
20馬身 |
Alkaased
|
2005.09.17 |
カラ |
愛セントレジャー |
G1 |
芝14f |
4着 |
K.ファロン |
1 1/2馬身 |
Collier Hill
|
2005.10.23 |
ウッドバイン |
カナディアン国際S |
G1 |
芝12f |
6着 |
K.ファロン |
11馬身 |
Relaxed Gesture
|
2006.06.22 |
アスコット |
ゴールドC |
G1 |
芝20f |
1着 |
K.ファロン |
4馬身 |
(Reefscape)
|
2006.08.03 |
グッドウッド |
グッドウッドC |
G2 |
芝16f |
1着 |
M.キネーン |
5馬身 |
(Geordieland)
|
2006.09.16 |
カラ |
愛セントレジャー |
G1 |
芝14f |
2着 |
K.ファロン |
1/2馬身 |
Kastoria
|
2006.11.17 |
フレミントン |
メルボルンC |
G1 |
芝3200m |
7着 |
K.ファロン |
8馬身 |
Delta Blues
|
2007.04.29 |
ナヴァン |
ヴィンテージクロップS |
L |
芝13f |
1着 |
J.ヘファーナン |
5馬身 |
(Reform Act)
|
2007.05.30 |
レパーズタウン |
サヴァルベグS |
L |
芝14f |
1着 |
J.ヘファーナン |
6馬身 |
(Mutakarrim)
|
2007.06.21 |
アスコット |
ゴールドC |
G1 |
芝20f |
1着 |
M.キネーン |
1 1/2馬身 |
(Geordieland)
|
2007.09.15 |
カラ |
愛セントレジャー |
G1 |
芝14f |
1着 |
K.ファロン |
1/2馬身 |
(Scorpion)
|
2007.10.07 |
ロンシャン |
カドラン賞 |
G1 |
芝4000m |
3着 |
K.ファロン |
3馬身 |
Le Miracle
|
2008.04.27 |
ナヴァン |
ヴィンテージクロップS |
L |
芝13f |
1着 |
J.ヘファーナン |
3/4馬身 |
(Red Moloney)
|
2008.06.19 |
アスコット |
ゴールドC |
G1 |
芝20f |
1着 |
J.ムルタ |
5馬身 |
(Geordieland)
|
2008.07.31 |
グッドウッド |
グッドウッドC |
G2 |
芝16f |
1着 |
J.ムルタ |
7馬身 |
(Tungsten Strike)
|
2008.10.04 |
ロンシャン |
カドラン賞 |
G1 |
芝4000m |
5着 |
J.ムルタ |
5 1/2馬身 |
Bannaby
|
2008.10.26 |
ロンシャン |
ロワイヤルオーク賞 |
G1 |
芝3100m |
1着 |
J.ムルタ |
1 1/2馬身 |
(Allegretto)
|
2009.04.26 |
ナヴァン |
ヴィンテージクロップS |
L |
芝13f |
6着 |
J.ヘファーナン |
32馬身 |
Alandi
|
2009.06.18 |
アスコット |
ゴールドC |
G1 |
芝20f |
1着 |
J.ムルタ |
3 1/2馬身 |
(Patkai)
|
2009.09.12 |
カラ |
愛セントレジャー |
G1 |
芝14f |
8着 |
J.ヘファーナン |
60馬身 |
Alandi
|
2009.10.04 |
ロンシャン |
カドラン賞 |
G1 |
芝4000m |
3着 |
J.ムルタ |
1 1/2馬身 |
Alandi
|
血統表
脚注
注釈
- ^ ハイシャパラルは2歳時にレーシングポストトロフィー勝ちがある。
- ^ 2007年度カルティエ賞はこのほか、シンコウフォレストの半弟ニューアプローチが最優秀2歳牡馬に、ディヴァインライト産駒のナタゴラが最優秀2歳牝馬にそれぞれ選出されており、日本競馬と縁がある血統の馬が3頭受賞したことになる。
出典
- ^ a b c d e f g h i j k “Yeats(IRE)”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2020年4月11日閲覧。
- ^ a b c d “Yeats(IRE)” (英語). Racing Post. 2020年4月11日閲覧。
- ^ 『優駿』2009年8月号、117頁。
- ^ “【沢田康文の欧州リポート】ストラディバリウス4連覇なるか”. サンケイスポーツ. 2023年8月19日閲覧。
- ^ a b “Yeats(IRE) form”. Racing Post. 2020年4月11日閲覧。
- ^ “イーツ圧勝、英ダービーの主役へ”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd. (2004年4月19日). 2020年4月11日閲覧。
- ^ “イーツ、無敗で英ダービーの主役へ”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd. (2004年5月10日). 2020年4月11日閲覧。
- ^ a b “英ダービー大本命馬イェーツ、出走回避”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd. (2004年6月3日). 2020年4月11日閲覧。
- ^ “ツクバシンフォニーの弟、イェーツが英G1勝ち”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd. (2005年6月4日). 2020年4月11日閲覧。
- ^ a b “ゴールドC、イェーツがG1・2勝目”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd. (2006年6月23日). 2020年4月11日閲覧。
- ^ “Horses That Made History: Yeats was the "ultimate heavyweight champion"”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd. (2020年3月24日). 2020年4月11日閲覧。
- ^ “メルボルンC枠順確定、デルタは11番、ポップは12番”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd. (2006年11月5日). 2020年4月11日閲覧。
- ^ “メルボルンC、全着順”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd. (2006年11月7日). 2020年4月11日閲覧。
- ^ “ウィジャボード、2度目の欧州年度代表馬に”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd. (2006年11月15日). 2020年4月11日閲覧。
- ^ “ツクバシンフォニー半弟、イェーツがゴールドC連覇”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd. (2007年6月22日). 2020年4月11日閲覧。
- ^ “愛セントレジャー、イェーツがG1連勝”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd. (2007年9月16日). 2020年4月11日閲覧。
- ^ “カドラン賞、ドイツのルミラクルがG1初制覇”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd. (2007年10月8日). 2020年4月11日閲覧。
- ^ “ディラントーマスが欧州年度代表馬に”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd. (2007年11月15日). 2020年4月11日閲覧。
- ^ “ゴールドC、イェーツが3連覇達成”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd. (2008年6月20日). 2020年4月11日閲覧。
- ^ “カドラン賞、スペイン馬バナビーが優勝”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd. (2008年10月5日). 2020年4月11日閲覧。
- ^ “ロイヤルオーク賞、イェーツがG1・6勝目”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd. (2008年10月27日). 2020年4月11日閲覧。
- ^ “ザルカヴァが欧州年度代表馬に”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd. (2008年11月18日). 2020年4月11日閲覧。
- ^ “ゴールドC、イェーツが4連覇達成”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd. (2009年6月19日). 2020年4月11日閲覧。
- ^ “シーザスターズが欧州年度代表馬に”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd. (2009年11月18日). 2020年4月11日閲覧。
- ^ a b c “Yeats(IRE) 血統情報:5代血統表”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2020年4月11日閲覧。
- ^ a b c “Yeatsの5代血統表”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd.. 2020年4月11日閲覧。
外部リンク