YURiCa/花たん(ユリカ/はなたん)は、日本の女性歌手、歌い手、同人音楽ボーカル[7]。愛知県名古屋市出身[8]。
歌唱力に定評があり[7][9][10]、「口からCD音源」「歌唱力お化け」「美ブラート」(美しいビブラート)などと称されることもある[11][12][13]。
昔からカラオケが大好きで、歌が趣味であったが「歌手になりたい」という気持ちはなく、本格的な音楽活動はしていなかった[14]。
最初は歌い方に関する技術的なことは何も知らなかったが、宇多田ヒカルの楽曲「Automatic」のちりめんビブラートを聴いて「このすごく小刻みな震えは何なんだろう」と歌い方に興味を持ち、練習してビブラートができるようになるなど、いろいろな歌い方を体得していった[9]。歌い方に対するこだわりは強く、研究熱心であった[9]。
歌以外にイラストも趣味であり、ピアプロにイラストを投稿していたが、ニコニコ動画で活動していた歌い手からイラスト使用の報告があったことから、ニコニコ動画に「歌ってみた」というカテゴリが存在することを知った[7][14]。当時は浜崎あゆみ、宇多田ヒカル、田村直美の「光と影を抱きしめたまま(テレビアニメ『魔法騎士レイアース』のオープニングテーマ)」などをよく歌っていた[14]。ただ、歌に自信はなく[14]、家族や友達に褒められても「信用しないぞ!」「ほんとかな?」と疑ってしまうタイプであった[7][14]。しかし、多くの人に聴いてもらったことがなかったため、どんな反応があるのか興味本位で2008年に歌ってみた動画の投稿を始めた[14]。それまでは知らない人に歌を聴いてもらうことは恥ずかしくてできなかったが、歌ってみた動画を投稿できた理由について「動画投稿だと匿名文化が前提にあるので、それが良かったのかもしれません」と語っている[7]。また、動画を投稿するまでは、歌を披露する場は友達や家族と行くカラオケくらいしかなかったため、知らない人から褒められる経験は初めてであり「動画でコメントをいただくことで自信になった部分はあります」と語っている[7]。
2008年2月23日[15]にmaloの楽曲「ハジメテノオト」で歌ってみた動画の投稿を開始した[10]。2009年4月11日[16]に投稿したdorikoの楽曲「ロミオとシンデレラ」で大ブレイクを果たし[14]、「歌ってみた」カテゴリでランキング1位を獲得して知名度を一気に広めた[2]。その後もニコニコ動画に歌ってみた動画を投稿したり、ニコニコ生放送を行っていたが、動画やメディアに顔出しをすることはなかった[17]。
2011年6月29日にメジャーデビューアルバム『Flower Drops』が発売された[8][18]。dorikoがプロデュースを担当し「ロミオとシンデレラ」の他、doriko、田村直美、天野月、齋藤真也が楽曲提供した新曲などが収録された[8]。収録曲の「笹舟」はTBSテレビ『教科書にのせたい!』のエンディングテーマに起用された[18]。
2012年に開催されたライブイベント『Voca Nico Night Live Stage』の2日目にリアルタイム・モーションキャプチャ・システムを使用したオリジナルのボーカロイドキャラクターとして登場した[19][20]。
2015年8月8日に初のワンマンライブ「『Flower Rail』YURiCa/花たん ShowCase Live」が開催された[21]。ライブのアンコールでは「私の人生が変わった曲」と紹介して「ロミオとシンデレラ」を歌唱した[21]。2016年に初の東名阪ライブツアー「YURiCa/花たんの食べましょう歌いましょう、食べましょうツアー」が開催された[22]。同年に中国で開催されたACG系のイベントに出演[23]、2018年に韓国で初ライブを開催するなど[24]、日本国外でも活動。
2019年12月、同年夏ごろから喉に違和感がある状態が続いていたが、11月にポリープが見つかり、年明けに切除手術をすることを発表した[25]。2020年1月に手術が無事に終わり、退院したことを報告した[26]。
2020年4月に「ロミオとシンデレラ」の歌ってみた動画が500万回再生を達成した[27]。
2021年12月10日にバーチャルYouTuberとしてデビューすることを発表[28]、2022年1月14日にVtuberデビューを果たした[29]。
2022年10月10日、TVアニメ『転生王女と天才令嬢の魔法革命』のオープニングテーマを担当することが発表された[30]。
「花たん」名義はニコニコ動画で活動を始めるときに付けた名前であり[2]、同人音楽活動では「ユリカ」名義を使用して区別していたが、ニコニコ動画からファンになった人は「花たん」名義に馴染みがあることから、同人活動でも「花たん」名義を使い始めたため、区別が適当になった[1]。「花たん」名義は多くの人に聴いてもらえるようになるとか、歌手になるとか全然イメージせずに適当に付けた名前であり[1][2]、結構後悔の気持ちもあるとしているが、一方で3枚目のアルバム『The flower of dim world』発売時点で、それまでのアルバムの題名には全て「FLOWER」(花)が含まれていた[1]。
2014年に発売された『The flower of dim world』までは「ユリカ/花たん」名義であったが[1]、2015年に「YURiCa/花たん」名義に変更した[31]。
2015年に発売された4枚目のアルバム『Flower Rail』収録曲の「Color」は「YURiCa」名義で作詞・作曲(作曲はダルビッシュPと共作)を担当したが、これについては作家名みたいなものが欲しいと思い「YURiCaって名前を今後推していくためにもこの名義をクレジットに載せることにしたんです」と語っている[2]。いつかは「YURiCa」名義で活動していけたらと考えていることもあり、アルバムの名義は「YURiCa/花たん」となった[2]。
「花ぽこ」(はなぽこ)は花たんとぽこたのユニットである。2009年6月3日にニコニコ動画に投稿された歌ってみた動画「サンドリヨン」で初コラボした[75]。
商業作品では、2010年7月23日に発売された春野友矢の漫画『ディーふらぐ!』のドラマCD「ディーふらぐ! ドラマCD」のエンディングテーマ「ヒーロー」の歌唱を担当した[40]。同ドラマCDのオープニングテーマ「ディーふらぐ(その他の暇人天国!)」はユリカ(花たん)が歌唱、畑亜貴が作詞を担当した[40]。
2016年に花たんときくおのユニット「きくおはな」が結成された[76]。
2人の出会いのきっかけは、花たんがきくおの楽曲「月の妖怪」の歌ってみた動画を投稿し、きくお本人がその動画を聴いたことであり、その当時から花たんのことを「すげー歌がうまい人だ!」と思っていた[9][77]。花たんが2012年の同人音楽作品の楽曲制作をきくおに依頼したことから始まり、何曲か一緒に作っていく中で、お互いに一緒に作品を作りたいと考えるようになった[9]。「一緒に作品を作りたい」という話はしていたものの、実現はできていなかったが、2015年発売のアルバム『Flower Rail』収録曲をきくおに依頼したときに再び話題になり、提供曲「うらみのワルツ」がとても早く制作できたことから、その流れでアルバム『第一幕』を制作することが決定された[9][77]。
2016年発売のデビューアルバム『第一幕』、2017年発売のセカンドアルバム『第二幕』ともにジャケットイラストは劇団イヌカレーの泥犬が担当した[9][76]。『第一幕』の発売に先立って公開された収録曲「のぼれ!すすめ!高い塔」のミュージックビデオには、漫画家の西島大介が描いた描き下ろしイラストが使用された[78]。