SPANK HAPPY (スパンク・ハッピー)は日本 のポップ・ミュージック グループ(初期)、デュエット チーム(後期)である。1992年 結成、2006年 10月に解散。2018年 に再始動[ 1] 。
メンバー
第一期
第二期
菊地成孔(ヴォーカル、サックス)
岩澤瞳(ボーカル)2004年引退
岩澤脱退後
菊地成孔(ヴォーカル、サックス)
ドミニク・ツァイ(2004年9月11日のバンコク公演を無断キャンセル、自然消滅的に脱退)
野宮真貴 2006年10月20日、22日にゲスト参加
そのほか3名の女性がゲストとして参加
ドミニク脱退後は、女性ヴォーカルに毎回違う人をゲストに招聘した。
第三期
Boss the NK a.k.a. 菊地成孔
OD a.k.a. 小田朋美
概要
結成当初はリーダーを持たない平等なユニットであったが、河野とハラが相次いで脱退し岩澤が加入して以降、菊地が実質的なリーダーとして活動していた。ハラミドリ脱退までを「第一期」または旧スパンクス、岩澤瞳加入から2006年の解散までを「第二期」または新スパンクス、2018年の再始動以降を「第三期」と呼ぶ。「第二期」と言えば岩澤在籍時の期間のみを指すこともあるが、岩澤脱退から2006年の解散までの時期について菊地は「この時期を、第三期、第四期、という風に数えないのは、単に音源の発売が無かったからで、マイルスに於けるロストクインテットのようなものです」[ 2] と説明している。また菊地は第三期を「最終SPANK HAPPY」と位置付けている[ 2] 。
グループ名は菊地の発案によるもので、ドイツ のグループ「スラップ・ハッピー (英 : Slapp Happy )」のもじり であり、ヴォーカルであったダグマー・クラウゼ 自身からも許諾を得たという。
第二期のSPANK HAPPYについて菊地は、自身と岩澤との年齢差が16歳離れていて、「年の離れたデュエットチームというあまり日本の音楽シーンに無いという部分がアイデンティティです」と発言していた。また、ヒットチャート を狙うつもりでいたが、次第にアーティスティックになっていき、もっと時代や日本という国に必要な物とかがきっとあるだろうという風に考えが変わってきたと述べた。
サウンド面では、菊地が個人的に幼少時に強烈な印象を受け愛好しているファッションショー の為の音楽、「ウォーキング・ミュージック」なる菊地が仮定した概念へのアプローチが強く、「ヒットチャート を狙う・アーティスティックに」という表面上のアティテュードの変化はあるとしても、根本にあるのはファッションショーで使われる音楽にしたいと述べた。制作中、常に色んな時代の色んなメゾン のファッションショーをモニターに映していたという。
また、「Vendôme, La Sick Kaiseki 」の詞で述べられている様に、菊地がウィーン に訪れた際、ニューイヤーコンサート にて大人も子供も燕尾服 ・モーニング ・フォーマルウェア ・ワルツ 用の格好でビシッとしていながら、そのまま二次会ではクラブイベントがあり、同じウィーンの大舞踏会場の違う部屋にBOSE のスピーカーが置いてあり、二階の上の席にDJ ブースが付いていて、バリライト があり、聞いた事も無いクラブ・ミュージックが流れみんなが踊っているという光景に衝撃を受け、「これがSPANK HAPPYだなと思いました。ああいう事を日本で出来たら面白いなと思いました。」と語った。
来歴
第一期
1992年に、ハラミドリ (ヴォーカル )、菊地成孔 (サックス )、河野伸 (キーボード )のメンバーで結成される。音楽性としてはヴォーカル中心のポップスで、ヒットチャートに乗るような音楽を目指していたという。作詞は菊地とハラ、作曲は全員の持ち寄りだった。楽曲トラックの制作においては、現役ジャズマンである菊地がブラスアレンジメントを担当。アイドルのオケ制作などをしていた河野が、全体のアレンジに大きな影響力を持っていた。
1994年 東芝EMI よりデビュー、楽曲がテレビ番組のテーマ曲に使用されることがあったが、大きなヒットには至らなかった。ライブおよびレコーディングに参加していたミュージシャンとしては、村田陽一 (トロンボーン)、今堀恒雄 (ギター)、大友良英 (ギター)、内橋和久 (ギター)、水谷浩章(ベース)、メッケン(ベース)、ナスノミツル (ベース)、岡部洋一 (パーカション)、芳垣安洋(パーカッション)、外山明(パーカッション)、ASA-chang (パーカッション)、三沢泉(パーカッション)、植村昌弘(パーカッション)などが挙げられる。
1997年 11月に河野伸が脱退。以降は2人で活動を継続するが、1998年に菊地成孔が壊死性リンパ結節炎という日本 でもきわめて症例の少ない病気にかかり東京女子医大 ・耳鼻咽喉科 に入院、スパンク・ハッピーの活動が休止する。1998年 10月11日にはハラミドリが脱退し、事実上、第一期スパンク・ハッピーが終了する。
第二期
ただ一人残ったオリジナルメンバーの菊地成孔は、活動を継続すべくヴォーカルの選考を繰り返す。1999年 、岩澤瞳をヴォーカルに迎え、菊地成孔とのデュエットチームとして活動を再開。第一期のJ-POP 風の音楽性から一転、クラブミュージック・渋谷系 寄りのアプローチを取る。ライブのオケは菊地と親交のある演奏者達による生演奏ではなく、カラオケトラックが用いられ、菊地が主にサックスではなくヴォーカルを取った。
2001年 には、正式音源が発表されていない時点にもかかわらず、雑誌『クイックジャパン 』がスパンク・ハッピー特集を組み、一部にマニアックな評価を得る。同年11月26日に、ベルウッドレコード より第二期のファーストシングル『インターナショナル・クライン・ブルー』を発表。それまでライブで使用していたオケの音とは方向性が変わっており、ハウス色が濃くなっている。ちなみに、インターナショナル・クライン・ブルー とはフランス の画家イヴ・クライン が発案・特許 取得した青色のことである。以降、シングル『ANGELIC』(2002年 4月26日)、ファーストアルバム『COMPUTER HOUSE OF MODE』(2002年9月4日)を発表。
2003年 12月3日、セカンドアルバム『Vendôme,la sick Kaiseki 』を発表。まもなくして口パク でのライブを宣言。また、過去にライブで披露されていた「普通の恋 」であるが、菊地のホームページ日記上で「歌詞を無くしたので誰か提供してくれ」という旨が書かれ、突如ライブで披露される(歌詞カードを見ながらであった)。それまで「普通の恋」を披露しなかったのは、歌詞の内容などが菊地の不安神経症 (2002年発症)に悪影響を及ぼすため、披露する意志がないと説明されていた。後に、2004年 1月に菊地成孔 feat.岩澤瞳名義でリリースに至る(発売当初の菊地のインタビューによれば、音源製作に対する強い要望があったが、もともとSPANK HAPPYのために書かれた曲ではなく、従来のSPANK HAPPYの作風とは一線を画すため別名義でリリースに至ったとのことである[ 3] )。2004年4月5日に岩澤が脱退(引退)する。
岩澤脱退後
菊地は新ヴォーカルを迎えての活動継続を宣言し、ネット上での新ヴォーカル募集などを経て、最終的には台湾人 のドミニク・ツァイをヴォーカルに迎える。[ 4] 2004年6月20日、東京 飯田橋 ・日仏学院で行われた「フェット・ドゥ・ラ・ミュージック(fête de la musique)」にて、ドミニク参加後の初ライブが行われる。以前からの口パク路線を踏襲してはいたが、ヴォーカルトラックが新たにドミニクの声で録音し直されていた。英語 のみならず仏語 も堪能なドミニクは、歌パート以外に仏語の語りパートも録音していた。以降、活動が軌道に乗るかと思われたが、ドミニクは活動継続の意志を失ったらしく、2004年9月11日のバンコク 公演を無断キャンセル、自然消滅的に脱退した。
以降は、ライブの度ごとに女性ヴォーカルをゲスト(菊地は「マネキン 」と称している)として迎えるスタイルで散発的に活動を行う。迎えられたゲストの素性は一切明らかにされず、ライブも岩澤瞳時代のCDトラックをそのまま流す口パクで、ゲスト達がどのような歌声なのか、そもそも歌手なのかも不明だった(後に菊地のホームページ にて、東大 駒場祭 やオンエアネストでのライブに参加したのが、縣亜希という女性だったことが明らかにされている)。
2006年10月、菊地により解散が宣言される。活動の最後となった2006年10月20日と22日のライブ(スパークス の前座)には、野宮真貴 がヴォーカルに迎えられていた。
2007年 10月、「第一期」のアルバム2枚(ボーナス・トラック としてシングル曲や未発表曲を追加)がEMIミュージック・ジャパン より復刻された。
2011年、相対性理論 のアルバム『正しい相対性理論 』で、「QHPMAS」にボーカル・アレンジとして参加。
レトロスペクティブ
2023年12月1日、「菊地成孔還暦フェア」の一環として第二期の全5作がサブスク解禁、全3作のMVが公開された。同時に、全曲をDJプレイするイベント「セカンド・スパンクハッピー・レトロスペクティヴ<DJ premier jour / PERFOrmance le jour suivant>」の開催が発表された。[ 5]
2024年4月10日、「Vendôme, la sick KAISEKI」に収録予定だった未発表曲 「ethic」と、シングル「普通の恋」のカップリング曲としてリリースされた「フロイドと夜桜」の別ミックスバージョンにAI修正を施して収録したデジタルシングル『ethic c/w フロイドと夜桜 (sweet voices mix)』をリリースした。[ 6]
第三期
2018年1月21日未明放送のTBSラジオ番組『菊地成孔の粋な夜電波』で菊地が再結成を発表[ 7] 。5月13日のライブイベント『TABOO LABEL Presents GREAT HOLIDAY』(新木場STUDIO COAST)で、菊地扮するBoss the NKと小田朋美扮するODが再始動のステージに立ち、新曲「夏の天才」を披露した[ 8] 。
2019年9月、第三期のファーストアルバム『mint exorcist』のリリースに伴い、正式名称をFINAL SPANK HAPPY に改称した。
ディスコグラフィ
第一期
発売日
形式
タイトル 収録曲
発売元
規格品番
備考
1993年8月25日
オムニバス・アルバム
Young Gifted and Five
おはよう
一部歌詞を変えた別ヴァージョン「お早う」が『My Name Is 』に収録。
Out With Her~恋人達の宇宙~<Without Her>
マーキュリー・ミュージックエンタテインメント (現:ユニバーサルミュージック )
PCHL-5005
原みどり from SPANK HAPPY名義で2曲参加。
1994年8月3日
マキシ・シングル
走り泣く乙女
走り泣く乙女(Single Version)
森へ続く道の途中で
走り泣く乙女 (Instrumental)
東芝EMI (現:ユニバーサルミュージック)
TOCT-4001
2曲ともアルバム未収録。
『My Name Is 』Standard of 90'sシリーズ盤 ボーナス・トラックとして収録。
1994年9月7日
ミニ・アルバム
My Name Is
天上の方の人々
ウィークエンド
走り泣く乙女(バンドタイプ)
くよくよする日
オー!神様
ノールームメイト
お早う
走り泣く乙女(Single Version)<BONUS TRACK>※
森へ続く道の途中で<BONUS TRACK>※
僕は楽器<BONUS TRACK>※
泣く方法<BONUS TRACK>※
※Standard of 90'sシリーズのみ収録。
TOCT-8534
2007年10月24日
EMIミュージック・ジャパン (現:ユニバーサルミュージック)
TOCT-26397
Standard of 90'sシリーズの1枚。
ボーナストラック収録。
2011年10月26日
TOCT-26397
EMI ROCKS“The First”シリーズの1枚。
2022年10月26日
USMジャパン (発売・販売元:ユニバーサルミュージック合同会社)
UPCY-90126
<CITY POP Selections> by UNIVERSAL MUSICシリーズの1枚。
1994年12月7日
シングル
僕は楽器/泣く方法
僕は楽器
泣く方法
僕は楽器(Instrumental)
泣く方法(Instrumental)
東芝EMI
TODT-3361
2曲ともアルバム未収録。
『My Name Is 』Standard of 90'sシリーズ盤 ボーナス・トラックとして収録。
1995年3月15日
空飛ぶ花嫁
空飛ぶ花嫁
森へ行く方法
空飛ぶ花嫁(Instrumental)
TODT-3453
「森へ行く方法」アルバム未収録。
『Freak Smile 』Standard of 90'sシリーズ盤 ボーナス・トラックとして収録。
1995年5月10日
フル・アルバム
Freak Smile
I LOVE YOUの逆襲
鉄の馬と女
破壊
トラベルロリータ
空飛ぶ花嫁
スパンクスのテーマ
私の場合
ラブクランクイン
悲しむ物体
USSR?
80年代
さよならとオルガン(とタイコ)
森へ行く方法<BONUS TRACK>※
CHOCOLATE FOLK SONG<BONUS TRACK>※
SLEEP ME(未発表曲)<BONUS TRACK>※
※Standard of 90'sシリーズのみ収録。
TOCT-8893
2007年10月24日
EMIミュージック・ジャパン
TOCT-26397
Standard of 90'sシリーズの1枚。
ボーナストラック収録。未発表曲「SLEEP ME」収録。
2022年10月26日
USMジャパン (発売・販売元:ユニバーサルミュージック合同会社)
UPCY-90127
<CITY POP Selections> by UNIVERSAL MUSICシリーズの1枚。
1995年12月25日
シングル
CHOCOLATE FOLK SONG
CHOCOLATE FOLK SONG
鉄の馬と女
CHOCOLATE FOLK SONG(Instrumental)
東芝EMI
TODT-3656
「CHOCOLATE FOLK SONG」アルバム未収録。
『Freak Smile 』Standard of 90'sシリーズ盤 ボーナス・トラックとして収録。
第二期
第三期
発売日
形式
タイトル
レーベル
備考
2018年 5月30日
シングル
夏の天才
Sony Music Artists Inc.
2019年 10月1日
アルバム
mint exorcist
CDはライブ会場とビュロー菊地オンラインショップのみでの販売
タイアップ一覧
年[ 注 1]
曲名
タイアップ
1994年
走り泣く乙女
テレビ朝日 系『H・I・P 』エンディング・テーマ
1995年
CHOCOLATE FOLK SONG
ロッテ 「ロル」CFソング
ヘビーローテーション/パワープレイ
テレビ
脚注
注釈
^ a b 楽曲が起用された年ではなく、音源化された年で記載
出典
関連項目
外部リンク