Graphics Interchange Format (グラフィックス・インターチェンジ・フォーマット、略称GIF 、ジフ)とはCompuServe のPICSフォーラムで提唱された画像ファイルフォーマット の一つ。LZW 特許 を使用した画像圧縮 が可能。一般的に用いられている拡張子 は.gif 。「ギフ[ 1] 」または「ジー・アイ・エフ」と読まれることもあるがOxford Dictionaries USA Word of the Year 2012 に "GIF" が選出された際のインタビューにおいて設計者のスティーブ・ウィルハイト は「jif(ジフ)」が正しい読み方と述べている[ 2] 。
特徴
GIFは256色以下の画像を扱うことができる可逆圧縮 形式のファイルフォーマットである。圧縮画像ファイルフォーマットでは歴史の長いもののひとつで、Webブラウザ ではJPEG と並んで標準的にサポートされる。圧縮形式の特性上、同一色が連続する画像の圧縮率が高くなるため、イラストやボタン画像など、使用色数の少ない画像への使用に適している。
Animated gif
GIF規格には1987年 6月15日 に公開されたGIF87a と1990年 7月30日 に公開されたGIF89a の2種類があり、GIF89aでは、透過GIFとGIFアニメーション がサポートされた。現在使われている規格はGIF89aである。GIFフォーマットの著作権 はCompuServeが所有するが、その利用はライセンスフリーであったため、日本 以外でのパソコン通信 をはじめとする画像交換の標準フォーマットとして使われていた(日本ではパソコン通信時代はMAG やPi が主流だった)。ただし、圧縮技術としてLZW を使用しているため、後述する特許権の問題が発生した。
GIF画像ファイルにはGIF画像識別文字列が埋め込まれており、画像ファイルの最初の6文字は必ず「GIF87a」もしくは「GIF89a」で始まっている。
また、GIFフォーマットは以下の画像をサポートする。
2色モノクロから16777216色 (= 224 ) 中256色 (= 28 ) までの色サポート
1x1 から 65535x65535 (= (216 − 1)2 ) までの画像サイズのサポート
1つのファイルの中に複数の画像が格納可能
GIFには以下のような特徴的な拡張が行われており、かつWebブラウザでの表示サポートも比較的良好であることから、これらの機能を利用するためにGIF形式が選択されることも多い。
透過GIF - 特定色を透明化し、画像の背景を透過表示する。
GIFアニメーション - 複数画像を1つのファイルに収録してアニメーション表示する。
インターレースGIF - ファイル読み込みの進捗に合わせて段階的に画像を表示する。
なお、ほとんど用いられることはないが、非可逆圧縮 もサポートしている。
また、Webサイトを作成する際、「1x1ピクセルの透過GIF」を利用したデザイン調整をおこなうことがあり、そのような画像はスペーサーGIF (英語版 ) と呼ばれる。
特許問題とその顛末
GIFは、データ圧縮アルゴリズムとして、1984年 に発表されたLZW を使用しているが、このアルゴリズムについては米ユニシス が特許権を取得していた。この点に関し、ユニシスは当初はGIFにおけるLZWアルゴリズムの利用について利用料を請求しない方針を採っていたが、GIFフォーマットの利用が広まると、GIFにおけるLZWの利用について利用料を請求する方針に転換した。当初は企業のみを対象としていたが、フリーソフトウェアを開発する個人にまで利用料を請求するに至った[ 3] 。
この事により、GIF形式をサポートする画像編集ソフトウェアの制作者のみならず、そのソフトウェアを利用してGIF画像を制作した一般の利用者に対しても特許使用料が賦課される懸念が生じたため、GIF形式の特徴を備えたフリーな代替物としてPNG が開発された。
米国内では2003年 6月20日 にLZWの特許が失効し、日本国内でも2004年 6月20日に特許が失効した。現在ではGIFは自由に使うことのできるフォーマットであると考えられている。そのため、GIFの利用者は再び増えており、一時的に公開が停止されていたGIFを生成・表示するソフトウェアも再公開されるようになっている。
しかし、特に2000年代 以降はインターネット の回線速度 や端末であるパソコン の表現能力の飛躍的な向上により、フルカラー対応の圧縮形式(JPEGやPNGなど)の需要が高まり、256色までしか対応できないGIFの使用頻度は減少することとなった。
アニメーション画像としての「GIF」
前述の理由から静止画像としての需要は減少した一方で、簡易的なアニメーション画像形式としてのGIFは代替となるファイル形式がMNG 、APNG など複数乱立し規格争い が起こったこと、それに伴いウェブブラウザ でのサポートが遅れた[ 4] ことなどから、GIFアニメーションが引き続き使用された。例として、バナー と呼ばれる広告表示用の画像は、広告媒体の入稿規定により、ファイル容量の上限と共にファイル形式をGIFで指定するものも多い。
2010年代 以降はSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス) などにおいて手軽な画像リプライ の投稿手段として積極的に用いられており、SNSを中心に単に「GIF」と言えばGIFアニメーションを指す用法が広まるなど[ 5] [ 6] [ 7] 、2020年代 現在では「GIF」という言葉がアニメーション画像の代名詞、あるいは機能の名称として定着している。
注
関連項目
ウィキメディア・コモンズには、
GIF画像 に関連するメディアがあります。
GNU plotutils - LZW の代わりにランレングス圧縮 を使う、疑似的なGIF形式を採用している。
外部リンク