『Gダライアス』(ジー-, G DARIUS)は、1997年にタイトーから発売された横スクロールシューティングゲームで、アーケードゲームとしてはダライアスシリーズの第4作目になる。同年の秋頃に、後に細かい部分を改訂したアッパーバージョン『GダライアスVer.2』も発売された。キャッチコピーは「至高の難易度、これは挑戦だ」[1]。
キャッチコピーは「君は生命(いのち)の誕生(はじまり)を見る…」。『Gダライアス』のGは「GIGANTIC=巨大」の意味が込められている。一画面で表現できないほどの大きさで、STG史上最大級の巨大なボスとの戦いが本作の醍醐味だった[2]。稼働当時に50インチの大画面筐体で稼働していたゲームセンターも見受けられた[1]。
1レバー2ボタン(ショットボタン、キャプチャーボール発射ボタン)。Ver.2はショット連射ボタンが追加されて、3ボタン仕様。キャプチャーボールを敵に当てるとその敵を拿捕(キャプチャー)し、自機の援護や防御に利用できる。さらにこの状態で、ショットボタンをしばらく押しっぱなしにしてから離すと、αビームを発射。もしくは、キャプチャーボタンを押すとキャプチャーボムとして利用できる(詳しくは後述のキャプチャーシステムを参照)。
『レイストーム』と同じく、シリーズで初めてキャラクター、背景ともにポリゴンによる3Dグラフィックを使用している。しかし、基本は横スクロールの2Dシューティングゲームとなっている。また、『ダライアス外伝』に引き続きゲーム画面は一画面である。
シリーズの特徴でもあるステージ分岐がさらに進化し、全5ステージの計15ゾーンに減っているが、ゾーン内の後半にも分岐地点が設けられている。分岐先によってザコやボスの攻撃パターンが変わる[1]。
ダライアスシリーズ全体のストーリーボードにおける位置づけとしては、時系列上はシリーズ作品中最も古い時代(アムネリア暦626年[注釈 1])を描写しており、『初代ダライアス』(ダライアス暦201年)よりも更に溯った時代に相当する作品となる。ゲーム中の世界においては「ダライアス」という固有名詞はほとんど登場しないが、最終面(5ゾーン目・λ・μ・ν・ξ・ο)の舞台設定は「惑星ダライアスの衛星カズムン」とされており、エンディングにおいては、従来のシリーズで敵役として描かれてきたベルサーの発祥(zone ο)、惑星ダライアスの誕生(zone ν)などの核心部分が描かれる。特にzone νのエンディングは本作のキャッチコピー(「君は生命の誕生(はじまり)をみる…」)を象徴的に表現し、本作以降のダライアスシリーズに於いて極めて重要な位置づけとなっている。
また、本作における敵役はベルサーではなく、人類を遥かに超越した存在とされる機械生命体・THIIMA(シーマ)の軍団である[3]。THIIMAとベルサーの関連性については最終面の1つ(zone ο)のエンディングにおいて語られる。THIIMAについては、鋼鉄のごとき装甲を持ちつつもしなやかな機動性を併せ持つ「有機体」とされている一方、神のごとき超越存在・審判を下すもの、といった性格付けもなされている。
各ゾーンの世界観は非常に個性的で変化に富んでおり、同一ゾーンでも前述の上下分岐により全く違う世界観・表情を展開する。
zone構成は、2択方式を固持しつつも、従来の7面構成から5面構成となり、ギリシャ文字のアルファベット表記によるゾーンαからゾーンοまでの全15ゾーンとなっているものの、各ゾーン内に於いて、中盤から更に2手に分岐するため、ヴァリエーションは豊富である。ゾーン内分岐は、各ゾーン中盤にて横ラインによって画面が上下に分断され、画面の上半分・下半分のどちらに自機が位置したかで決定される(横ライン分割開始から、上下選択決定まで5秒ほど猶予があり、その間に選択したいほうの上下に自機を移動させる)。総面数の減少により、業務用作品ではシリーズ初めてのゾーンごとに異なるボスとなり、また同じゾーンのボスにおいても、中盤以降のルート選択により攻撃パターンが異なるため、実質的に各ゾーンとも2種類のボスを擁することになる。ボスが全てポリゴン3D表現となったため、やや大味な外観デザインも見受けられるものの、海洋生物をモチーフとしたボスも存在する。
ボスは一部のランダム攻撃を除き、攻撃ルーチンが確立されているためパターン覚え要素が強い。『外伝』のファッティグラトン(ピラニア)・クラスティハンマー(シャコ)のような攻撃の激しいボスがいないため、αビームまで堪えることが出来ればほとんどのボスは突破可能である。尚、3ゾーン目までに比べると、4ゾーン目からの難度上昇がやや極端である。ゾーン選択による難度のばらつきはやや抑えられており、下ルート(ζ-κ-ο)が他に比べ難しい程度で、他のルートは最終面も含めさほど変化はない。道中ボス中ではアブソリュートディフェンダー(zone ζ)が他に比べ若干難しい程度、最終ボスではクジラことG.T.(zone o)およびヘビーアームズシェル(zone μ)が難しい部類で、他の3体はそこまでではない[注釈 2]。
アイテムを取ることでパワーアップでき、一定数取るとレベルアップする。
ショットとは別の攻撃手段であるキャプチャーボールを敵機に当てることで、中ボスを含むほとんどの敵[注釈 3]をキャプチャー(捕獲)することができる。初期設定では自機出現時にはこのキャプチャーボールを3個所持しており、また紫色のアイテム1個につき1個入手可能。最大所持数は6個であり、それ以上入手しようとすると代わりに5000点入る。ゲームクリア時に何個残していようとも、一切ボーナスは入らない[注釈 4]。
捕獲した敵機は、その種類により様々な効果を発揮する。主に、攻撃を補助するものと、シールドの代わりに護衛するものに分類される。また、中ボスも特殊パーツを破壊することで捕獲が可能になる[2]。中ボスをキャプチャーして攻撃を補助させている場合には、方向レバーによるコマンド入力を行うことで、強力なウェポンや体当たりなどの攻撃を繰り出せる[1]。
キャプチャーした敵は自機に随伴させての通常攻撃・コマンドによる特殊ショットのほか、「キャプチャーボム」と「αビーム」の2つの用途に使用できる。明確にキャプチャーできない敵は、ソリドナイトと呼ばれる金色の装甲に覆われていることで判別できる。中ボスは金色の仮面のような装甲をまとって出現しこれもそのままではキャプチャー不可能だが、一定ダメージを与えると装甲だけ破壊されキャプチャー可能になる。
キャプチャーした敵の攻撃・体当たりで敵を破壊すると得点に倍率がかかる。キャプチャーした敵の攻撃で敵を破壊すると、得点が2倍となり、キャプチャーボムでは3倍、αビームでは4倍(中ボスによるαビームでは6倍、更に後述のカウンターによる吸収を利用すれば、カウンター1回につき2倍ずつ最大12倍にまで上昇)となる。
キャプチャーボムおよびαビームは発動時に無敵が発生する。ただし、αビームとして使用した場合、無敵は射出直後の短時間で終わる。
下の表は自機が右を向いている場合のコマンド[注釈 6]である。なお「ニュートラル」では、方向レバーをどの方向にも入れずに直立させること。
Gダライアスのアッパーバージョンといえる作品で、ゲーム全体の高難易度化やボス戦のゲームスピードの上昇などを主な特徴とする。以下に主な変更点を挙げる。
このような苛烈な高難易度化に至った背景に、ゲームのプレイ料金の問題があった。当時ゲームセンターにおいてはビデオゲームの占める割合が縮小される一方であり、それを食い止めるために本作でプレイ料金の値上げに踏み切った[注釈 9]。しかしそれがプレイヤーに受け入れられなかったために、100円という料金にあわせたプレイ時間を想定した難易度に改定を行った。これは純粋に1ゲームあたりのプレイ時間を半分にさせるための調整であり、初心者モードの設置は初めからこの難易度に一般プレイヤーが付いてこられないことを確信した上での設定であることを物語っている。
なお、この試みは営業面で失敗し、そのためタイトーはビデオゲーム自体のリリース点数をこれ以降極端に減少させることとなった[注釈 10]。このため、2010年7月に『ダライアスバースト アナザークロニクル』の発売決定が発表されるまでの13年に渡り、本作がアーケードのダライアスシリーズ最終作となっていた。
なお、本作のスタッフはVer.2のデバッグが完全に完了してない形でリリースされたことが遠因で、後に独立してグレフを設立した[注釈 11]。
幾多の戦乱の後、平和と繁栄を手にした惑星アムネリアの人々は宇宙開発に乗り出し、アムネリアの衛星ブレザへの移住を果たす。
50年後、アムネリアのもう一つの衛星マーサの獲得を巡り、アムネリアとブレザの間で星間戦争が勃発する。軍事競争の果てに、宇宙そのものを消滅しかねないほどの強力な威力を持った兵器「A.N.(ALL NOTHING)」が生み出され、ブレザは消滅してしまう。
ようやく過ちに気付いた人々は、兵器を捨て、再び平和への道を歩み始める。 だが、オーバーテクノロジーであるA.N.の出現は、宇宙の平和を守る謎の機械生命体軍団「THIIMA(アムネリア語で“死を司る者”の意)」の目覚めを促してしまい、アムネリアはTHIIMAの襲撃を受ける。偵察部隊程度の戦力を相手に、アムネリア王立宇宙軍は全滅してしまう。
ここにきて、アムネリア王は、敵軍の機体コアと禁断の力A.Nを組み合わせた最新鋭戦闘機の建造を決断する。
そして、かつて初代アムネリア王を導き、世界に平和をもたらしたとされる伝説の鳥「シルバーホーク」の名を冠した機体は2名のパイロット、サムラック・ライダとルティア・フィーンを乗せて飛び立つ。
本作では最終ボス撃破後、エンディング(ゲーム中では一貫して『EPILOGUE(エピローグ=終章)』と表される)として、これまでのシリーズ作品では一枚絵(と、『ダライアスII』以降は英語の説明文)が表示されていたところに、CGモデルによるリアルタイムアニメーションのムービー(PlayStation版等では、アーケード版からファイル作成された通常のムービー)が挿まれ、その流れのままスタッフロールが始まるようになった。ムービーには音声・解説が一切入らない為、それだけでは難解なものもあるが、PlayStation版ではクリアしたゾーンのエピローグのムービーの解説を見ることができる。
なお、スタッフロール中のBGM「未来完了 from7」は、『ダライアス』の最終ボス戦のBGM「Boss Scene # 7」のアレンジである。
"G"ダライアスというタイトルに因み、各ゾーン名の頭文字は"G"に統一されている。
アーケード版との主な差異は以下のとおり。
サイバーフロントからWindows版(95、98&98SE、Me、XPに対応)が販売されているが、これは基本的にPlayStation版を(完全)移植したもので、上記の差異に関しては同様である。
インストール後も製品CDをドライブに入れておかないと音楽が聴けない[注釈 18]
オムニバスソフト『タイトーメモリーズ 下巻』にPlayStation版のアーケードモードを収録[6]。PlayStation版ほぼそのままであるが、音楽は途切れない。 NHK科学文化部の記者・加川直央によると、PlayStation 2の性能がアーケード版のシステム基板よりも高かったため、アーケード版で頻発していた処理落ちが全く起きなくなり、ゲームの進行速度が上がってしまった結果、難易度が上がってしまったとされている[7]。 また、『GダライアスHD』の開発を担当したエムツーの堀井直樹も、処理落ちは本来ない方が望ましいとしたうえで、「[前略]元のゲームが処理落ち前提で難易度が調整されている場合があるので、無くなると難しすぎて遊べなくなってしまう。」と説明している[7]。
同バージョンは、PlayStation 4 / Nintendo Switch用オムニバスソフト『ダライアス コズミックリベレーション』に収録(ダウンロード版では本作のみを購入できる)。PS2版から2世代進んだ機種(PS4)に移植されることもあり、完全移植をした上で、付加要素が下記のとおり多数実装されている。
また、アーケード版のゲームバランスを再現するため、あえて処理落ちを再現した[7]。開発にあたり、エムツーではアーケード版で処理落ちが起きるタイミングと負荷を視覚化する形で再現した。さらに、開発の最終段階ではベテランのプレイヤーによるテストプレイが行われた[7]。
2022年3月31日には無償の大型アップデートが実施され、Ver2.0とPS1版(本ソフトでは「For Consumer」と呼称)が移植・追加されたほか、処理落ちを軽減させるオプションも実装された。 また、「トレーニングモード」・「リプレイギャラリー」「ゲームセンター内の環境音をゲームサウンドに混ぜて再生」といった新オプションが幾つか追加された。なお環境音はタイトー直営のアミューズメントセンターである「秋葉原Hey」内で収録された音をベースにしたもので、公式には「Hey内の環境音をイメージしたもの」とされている。 さらに、これに相当するバージョンがPC用ゲームクライアント・Steam用ソフトとして移植された。内容は概ね上記の通りだが、Steam版独自の要素として、『Gダライアス エキシビション』と称するスペシャルモードが追加。ゲーム映像を従来の4:3画角から近代的なワイド画角[注釈 21]に拡大、『ダライアスバースト アナザークロニクル』のような見た目となりボスキャラ「G.T.」・「クイーンフォスル」・「ファイヤーフォスル」とだけ戦える、ダライアスシリーズ(の家庭用機器移植版)ではおなじみの「ボスラッシュモード」のタイニー版がプレイ出来る。
当時のゲーム雑誌『ゲーメスト』の企画「第11回ゲーメスト大賞」(1997年)で、読者投票によりベストVGM賞1位を獲得している。また、1997年に刊行されたゲーメストムック『ザ・ベストゲーム2』において、それまでの全アーケードゲーム作品を対象とした読者投票では第11位を獲得した。[8]。