ECMAScript for XML(E4X)は、ECMAScript(ActionScript、DMDScript、JavaScript、JScript を含む)にネイティブのXMLサポートを追加するプログラミング言語拡張である。その目的は、DOMインタフェースの代替として、単純な構文でXML文書にアクセスできるインタフェースを提供することである。E4Xがリリースされるまで、XMLへのアクセスには常にオブジェクトレベルが関与していた。E4XではXMLを文字や整数と同様のプリミティブ型として扱う。そのため、アクセスが高速化され、サポートが容易になり、プログラムの構成要素(データ構造)としても扱いやすくなる。
E4XはEcmaインターナショナルがECMA-357 (PDF) として標準化した。初版は2004年6月に公表され、第2版が2005年12月に公表された。
E4Xは、2014年にMozilla Foundationによって非推奨とされている[1]。
var sales = <sales vendor="John"> <item type="peas" price="4" quantity="6"/> <item type="carrot" price="3" quantity="10"/> <item type="chips" price="5" quantity="3"/> </sales>; alert( sales.item.(@type == "carrot").@quantity ); alert( sales.@vendor ); for each( var price in sales..@price ) { alert( price ); }
最初の実装は Terry Lucas と John Schneider が設計したもので、2002年2月にリリースされたBEAシステムズの Weblogic Workshop 7.0 に含まれていた。BEAの実装は Rhino に基づくもので、E4X の標準化が完了する以前にリリースされている。リリース時、John Schneider は BEA の XML 拡張について記事を書いた。E4X言語以前のリファレンス文書が現在も公開されている[1]。
E4Xは、SpiderMonkey(GeckoのJavaScriptエンジン)や Rhino(同じくMozilla用にJavaで書かれたJavaScriptエンジン)で実装されている。
Mozilla Firefox は Gecko ベースなので、E4X を使ったスクリプトを実行可能であった(バージョン1.5以降)が、Firefox 17から段階的に無効化され、同21で削除される予定である[2]。なお、Firefox 1.5 で正しくスクリプトを実行するには、スクリプトの type 属性の最後に "; e4x=1" を追加する必要がある(例えば、<script type="application/javascript; e4x=1">)。
アドビの ActionScript 3 でも E4X を完全サポートしている。これが公式にリリースされたのは、2006年の Adobe Flex 2.0 と Flash Player 9 の一部としてである。他に、Flash CS3、Adobe AIR、Adobe Acrobat/Reader(8.0以降)でもサポートされている。
Aptanaの Jaxer Ajax アプリケーションサーバは、Mozilla のエンジンをサーバ側で使っているため、E4X に対応している。
コンテンツ管理システム (CMS) の Alfresco Community Edition 2.9B でも E4X をサポートしている。
多くのE4X実装は、DOMノードとE4Xモデルの間で、インポート/エクスポートする手段を提供していない。
JSONは XML の代替となる可能性がある。JSON は XML に似たオブジェクト指向のデータ記述言語である。JSON は ECMA-404 として ECMAインタナショナル により標準化されており、JavaScript からは、 JSON オブジェクトのメソッドにより操作する。
上掲の例を JSON を使った場合、次のようになる。
const json = `{ "vendor": "John", "items": [ { "type": "peas", "price": 4, "quantity": 6 }, { "type": "carrot", "price": 3, "quantity": 10 }, { "type": "chips", "price": 5, "quantity": 3 } ] }`; const sales = JSON.parse(json); alert(sales.items.find(item => item.type === "carrot").quantity); alert(sales.vendor); sales.items.forEach(item => alert(item.price));
JavaScript には、XML や HTML の文字列から DOM の Document クラスを生成する DOMParser インターフェイスが用意されている。
E4X の例を DOMParser インターフェイスを使った場合、次のようになる。
const xml = `<sales vendor="John"> <item type="peas" price="4" quantity="6"/> <item type="carrot" price="3" quantity="10"/> <item type="chips" price="5" quantity="3"/> </sales>`; const parser = new DOMParser(); const sales = parser.parseFromString(xml, 'text/xml'); const items = Array.from(sales.getElementsByTagName("item")); alert(items.find(item => item.getAttribute("type") === "carrot").getAttribute("quantity")); alert(sales.getElementsByTagName("sales").item(0).getAttribute("vendor")); items.forEach(item => alert(item.getAttribute("price")))