DOCSIS (Data Over Cable Service Interface Specifications) は、同軸ケーブルを用いた通信サービスの国際規格である。日本語では通常「ドクシス」と発音される[1]。
概要
ドクシスは、北アメリカのMCNS (Multimedia Cable Network System Partners Limited) が推進し、SCTE(Society of Cable Telecommunications Engineers : CATV通信技術者協会)で承認され、ITU-TのJ.112 Annex.Bで定められた。Cable Labs (Cable Television Laboratories) が認定・試験を行っている。
ケーブルモデム・STB(セットトップボックス)の標準化によるコスト低減、IP電話・双方向デジタル放送への対応などが行われている。
DOCSIS 1.0
1996年に検討開始・1997年3月規格制定・1998年認証試験開始。
以下の帯域共有型のIP通信が可能である。
- 下り方向
- アクセス方式 : TDM
- 変調方式 : 30Mbps (64QAM) / 42Mbps (256QAM)
- 帯域幅 : 6MHz(使用周波数 : 88 - 860MHz)
- 上り方向
- アクセス方式 : TDMA
- 変調方式 : 5Mbps (QPSK) / 10Mbps (16QAM)
- 帯域幅 : 3.2MHz(使用周波数 : 200k/400k/800k/1600k/3200kHz)
DOCSIS 1.1
DOCSIS 1.0のセキュリティ・QoS・IPマルチキャストなどを強化したものである。
- Service Flow Control: IP電話・インターネット接続などのサービスタイプ毎に動的なQoSを設定することが可能。
- リアルタイム通信の遅延を少なくするため、パケットを小分けにするFragmentation機能。
- BPIによる伝送路上の暗号化機能。
1999年4月規格制定。
DOCSIS 2.0
以下の高速化を行った。2002年承認。
- 下り6MHz帯域幅 : 30Mbps (64QAM) / 42Mbps (256QAM)
- 上り6.4MHz帯域幅 : 30Mbps
- A-TDMA 64QAM(Advanced Time Division Multiple Access - 次世代時分割多元接続)
- S-CDMA 128QAM(TCM : Synchronous Code Division Multiple Access - 同期符号分割多元接続)
DOCSIS 3.0
- チャネルボンディング
- 帯域を複数束ねて通信することができる。例えば、下り160Mbps(40Mbps 256QAMを4本多重)、上り120Mbps(30Mbps を4本多重)。
- IPv6対応
- M-CMTS
- AES暗号化
2010年10月1日、知多メディアスネットワークは8波ボンディングにより実測で下り最大270Mbpsのサービスを開始した。この速度は、サービス開始時において、日本のケーブルインターネット最高速である[2]。
日本ケーブルラボは、222MHzから450MHzの32波・256QAMを使用し、一本の幹線で下り1.2Gbpsを一検討例として示した[3]。
DOCSIS 3.1
2013年10月に規格化。下り最大10Gbps、上り最大1Gbps。下位の規格に対し、OFDMの採用や使用周波数帯域の拡張といった特徴がある[4][5]。
2016年2月には、Full Duplex DOCSIS 3.1が発表された。Full Duplex DOCSIS 3.1は、下り上りともに最大10Gbps[6]。
2019年1月にはリアルタイム通信に向けて Low Latency DOCSIS が発表された[7]。
DOCSIS 4.0
2019年に規格化。下り最大10Gbps、上り最大6Gbps[8]。日本でBS-IFと混合する場合は、DOCSIS 3.1と同様に1GHz以上が利用できず、DOCSIS 3.1と比べ価格的に非効率[9]。
Packet Cable
Packet Cableは、ケーブルテレビでのIP電話サービスの標準を定めたものである。MGCP (Media Gateway Control Protocol) ・NCS (Network-based Call Signaling protocol) を呼制御の通信プロトコルに使用する。
- Packet Cable1.0 - 固定電話と併用するIP電話。
- Packet Cable1.1 - 固定電話を置き換え可能なIP電話。
- Packet Cable1.2 - 事業者間通信の制御。
- Packet Cable2.0 - テレビ電話などのマルチメディア対応。
出典
関連項目
外部リンク
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