Abstract Factory パターン(アブストラクト・ファクトリ・パターン)[1]とは、GoF(Gang of Four; 4人のギャングたち)によって定義されたデザインパターンの1つである。 関連するインスタンス群を生成するための API を集約することによって、利用側がインスタンス群をまとめて変えられるようにし、さらに組み合わせ方を間違えないようにする[1]。日本語では「抽象的な工場」と翻訳される事が多い。
Kit パターンとも呼ばれる[1]。
Abstract Factory パターンのクラス図を以下に挙げる。
DOM は Abstract Factory パターンを応用した API の一つである。参考までに、クラス図との対応関係を示す。
生成するProductを変更する手法としては、AbstractFactoryクラスがfactory method(Factory Method パターンを参照)を持ち、それを個々のConcreteFactoryが上書きする手法が一般的である。しかし、Prototype パターンを使い、prototypeとなるオブジェクトの変更により生成するProductを変える手法もある[1]。
ConcreteFactoryは、singletonオブジェクト(Singleton パターンを参照)であることもある。
『オブジェクト指向における再利用のためのデザインパターン』においてはFactory Method パターンは「クラスパターン」に分類されている。一方Abstract Factory パターンは「オブジェクトパターン」に分類されている。
Factory Method パターンは親クラスであるCreatorクラスが子クラスであるConcreteCreatorクラスにオブジェクトの生成を委ねるという、CreatorクラスとConcreteCreatorクラスとの関連である。一方でAbstract Factory パターンは、ClientのインスタンスがConcreteFactoryのインスタンスにオブジェクトの生成を委ねるという、オブジェクト同士の関連である。