Super ANRS(スーパー・アンルス)は、磁気テープが本来持つ高域リニアリティを向上・改善させる目的で、1975年にANRSをベースに開発され、同年9月に発売された同社製の生録用ステレオポータブルカセットレコーダー「ナマロク KD-4」に初めて搭載された。Super ANRSは高域の高レベル信号を録音時に圧縮し、再生時に伸張するもので、原理としては他のNR方式と同じである。特長は従来のANRS回路に簡単な回路の追加で改善できることで、ANRSと同じノイズリダクション効果のほか、0VU 10kHz録音で6dB、+5VU録音で12dBのダイナミックレンジの改善が可能である。ただし、ANRSとの互換性は全くなく、ノイズリダクションの基本的な効果はANRSと同じである。一部文献等でドルビーCタイプNR互換との記述も見られるがこれは大きな誤りである。なお、1981年10月に発売された同社製の据置型カセットデッキ「KD-D22」への搭載を最後に、それ以後の同社製のカセットデッキやミニコンポ、ステレオラジカセ等のパーソナルオーディオシステムにはANRS/スーパーANRSの代替として段階的にドルビーBタイプ/CタイプNRが搭載されることとなった。