95式自動歩槍(95式自动步枪、英: QBZ-95もしくはType 95 Assault Rifle[1][2])は、中国が1995年に制式採用したブルパップ方式の自動小銃である。自動歩槍とは自動歩兵銃の意。
同銃を示す表記として、上記以外で95式自動小銃、95式5.8mm小銃、95式アサルトライフル[3]、95式歩槍や95式小銃("自動"を省略)[4]、95型アサルトライフル[5]など複数あり、中国語でも95式突击步枪(95式突撃歩槍、突撃歩槍=突撃銃の意)[6]、95式5.8毫米突击步枪[7]、95式步枪[8][9]などと表記する場合もある。
95式自動歩槍は1978年に開発が完了した中国独自の小口径高速弾である「5.8×42mm弾」を使用する第1世代の自動小銃の「87式自動歩槍(87式5.8mm自動歩槍)/QBZ-87」を1987年に開発し、全軍に配備する予定だったが一般部隊への先行配備する形での試験で中国人民解放軍の要件を満たしておらず兵士からは多くの苦情が寄せられたためそれに対応するために開発されたのが95式自動歩槍である。
1989年には87式自動歩槍の際に提示された開発要件を見直した2番目の開発要件が発表され、同年2月3日に中国人民解放軍と国防科学技術委員会によって要件が審査され承認された。
この開発要件に従って4つの開発チームによって1つずつの試作銃が提出された。4つの試作銃はそれぞれA案、B案、C案、D案という名称で試験が進められた。これらの試作銃は全てがブルパップ方式である。
唐文烈
華東工業学院
独自の閉鎖機構を備えている。
セミオートとフルオートに加え3点バーストで射撃できた。
これらの試作銃は1990年4月29日に家石庄歩兵学院にて試験された。採点方法は不明だが100点満点の得点式で評価され、A案とB案は脱落、C案は68.1点で保留、D案は71.3で合格した。同年9月には国防科学技術委員会から中国工業学院の朵英賢のリーダーシップの元3人の設計者によって開発を指導することが発表された。この開発は各機関にて別々に独立して開発作業をするのではなく1つの専門研究所と4つの工場から招集された18人の設計者によって構成される「国家チーム」として合同で開発作業が行われた。
1991年9月に国家チームは新たに4つの試作銃を提出した。それぞれ1案、2案、3案、4案という名称で試験された。
マガジンの位置を変更しより安定して給弾が行われるように。
これらの試作銃をD案との比較試験を行い3案と4案が脱落し、1案と2案が最終開発への進んだ。最終開発では1案と2案それぞれの良い点を取り入れ1つの完成形となる銃器を完成させるという形で開発が開始された。
1994年には新型の第2世代5.8mm自動小銃を中国人民解放軍駐港部隊へ配備するよう要求されさらに開発が急がれた。同年10月には国家射撃場にて試験が行われ、1995年1〜8月の間で中国人民解放軍の試験を完了し黒竜江、甘粛などの地域で試験的に配備が開始されていった。1995年10月には約6年に及ぶ開発が完了した。
1996年11月には最初の派生モデルである「95式班用機槍(95式5.8mm班用機槍)/QJB-95」という軽機関銃モデルが開発され、自貢工場にて152挺の試験生産が完了した。
1997年2月には中国人民解放軍駐香港部隊への先行配備が開始その後正式に「95式自動歩槍(95式5.8mm自動歩槍)/QBZ-95」として中国人民解放軍と武装警察部隊、公安特警にて採用された。
作動メカニズムは、現代小銃として一般に採用されているガス圧利用(ショートストロークピストン式)、ロータリングボルト方式を採用。銃身上部に位置するガスシリンダーに発射ガスの一部を導くことにより、ピストンにガス圧を与えてボルトキャリアーを後退させる。コッキンレバーは機関部のグリップ上方にキャリングハンドル内側にあり、射撃に伴って前後動する。撃発機構には回転式ハンマーではなく、前後に動くストライカーが採用されている。
セレクターレバーは銃床左側側面、床尾板に近い後方にあり、銃のハンドガードを支えている手で操作するようになっている。形状は、指かけの突起が設けられた丸いダイヤル状のものである。
ハンドルの上部には、各種スコープや暗視装置が装備できる。ハンドガードの下にグレネードランチャーも装備可能。
また年代によって仕様が異なり1997年に公開され、中国人民解放軍駐香港部隊に配備されたモデルはコッキングレバーの形状が異なっておりハンドガードの放熱穴の数が3つと少ない。現行モデルは銃剣を銃身上の装着するのに対して1997年モデルは銃身下に配置する。1997〜1999年の間で見られるモデルはコッキングレバーは現行モデルと同じようにされたが放熱穴は3つのままである。2003年以降はすべて現行モデルである放熱穴が6つのモデルになった。
銃身を短縮したカービンモデル。発表年ごとに3つのモデルのモデルが存在する。
1997年に公開された初期モデルはフラッシュハイダーが現行モデルより簡素で、2番目に公開されたモデルはフラッシュハイダーの形状が変更されている。現行モデルとなる3番目のモデルはキャリングハンドルの形状が変更されている。
北京オリンピックの対テロ演習時に北京特警が使用しており2014年の海上演習にも使用されているのが確認されている。
長時間の連射に耐えられる肉厚で長い銃身と展開式の二脚を取り付けた軽機関銃モデル。フォアグリップが省略されハンドガードの形状が変更されている。
ブルパップ方式のため通常のドラムマガジンを装着すると構えた際に邪魔になるため81式班用機槍のドラムマガジンをベースに右に寄った形状に修正された95連ドラムマガジンを装着して運用する。
2011年12月に公開された95式自動歩槍の改良モデル。
2009年に「95式改」として開発が明らかになり、2010年1月の中国国内のテレビ番組内で紹介され、2011年2月には書籍内で開発に関係した人物により非公式に発表、同年12月には公式に公開された。
95-1式自動歩槍の開発は2004年6月に開始され、2007年下旬から2008年末にかけて国家射撃場、低気温地域、砂漠地域、熱海地域、高原地域のそれぞれの環境下で試験が行われた。2010年7月1日には中国の命名法則に従って「95-1式自動歩槍(95-1式5.8mm自動歩槍)/QBZ-95-1」として正式に命名された。
主に以下の変更が施された。
また95-1式自動歩槍にはピカティニーレールが備えられていないが、ハンウェイシャ工業設計有限公司が開発した「ロングボウ95式戦術拡張システム」を組み込むことでピカティニーレールの使用が可能になり汎用性が向上する。
95-1式自動歩槍の銃身が短縮されたカービンモデル。
95-1式自動歩槍の軽機関銃モデル。長時間の連射に耐えられる肉厚で長い銃身と展開式の二脚を取り付けている。放熱穴が5つから6つへ増加している。
5.56×45mm弾を使用する輸出モデル。マガジンが素早く外せる様に改良されており、民間向けでは無く他国軍隊などへ輸出される。カンボジア軍とミャンマー軍にて採用された。
97式自動歩槍に3点バースト射撃機能を組み込んだ改良モデル。カンボジア軍に採用された。
97式自動歩槍の銃身が短縮されたカービンモデル。
2008年からカナダなど北米にてノリンコブランドとして販売されていた97式自動歩槍のセミオートのみの民間向けモデル。現地販売ではType 97 rifleとして販売されていた。フルオート射撃を可能にする改造が容易だったためカナダでは販売禁止となり、所持者の銃所持ライセンスの種別に関わらず全数が回収された。
QBZ-97Aがカナダで販売禁止となったため、フルオート改造対策を行ったモデル。こちらは現在も販売されている。製造元である重慶建設工業有限責任公司の海外向け民間銃器ブランドのEMEIブランドで輸出販売されている。
T97 NSR Gen.1の近代化モデル。キャリングハンドルを取り外しフレーム上面をピカティニーレールのフラットトップに変更し、左右にはKey-MODスロットが追加されている。この変更によってコッキングレバーの位置が変更された。
T97 NSR Gen.2のKey-MODスロットをM-LOKスロットに変更した改良型。
97-B式自動歩槍のEMEIブランドのもと販売されている輸出モデル。射撃モードはセミオートのみに制限され使用するマガジンも30連風の外見をした5連のものを使用する。97-B式自動歩槍同様の短縮銃身を備えたものと延長された銃身を備えたものの2種が存在する。
イタリアなどヨーロッパにて販売されているセミオートのみの民間向け仕様。.223 レミントン弾を使用する。95-B式自動歩槍をベースとしているが、現地法に合わせて銃身が延長されている。中国の海外向け民間銃器ブランドのSDMブランドで輸出販売されている。
QBZ-97をベースにカナダのLEVERARMS社が製造販売しているセミオート式ショットガン[10]。
M9を参考にした多機能銃剣で95式自動歩槍と並行して独自に開発された。通常のナイフとして使用できるほか有刺鉄線を含む鉄線を切断可能でネジを締めることも可能である。また取り付ける位置は比較的珍しく銃身下ではなく上側に取り付ける。全長は302mmで重量は360g。
95式自動歩槍の派生型含むほぼ全てのモデルに取り付け可能な照準器。
取り付ける際はキャリングハンドル上部にある深さ18mm、幅22mmのU字型の溝に挟みY/MA 95-002側にある白いレバーを絞めることで固定できる。
95式自動歩槍の派生型含むほぼ全てのモデルに取り付け可能な暗視装置。
91式擲弾発射機の95式自動歩槍に対応したモデルで、主に非殺傷弾を射撃する。中国人民解放軍駐港部隊と駐マカオ部隊で使用されていた。
トリガーガードを兼ねるフォアグリップをグリップとして使用するタイプの試作型。91-B式擲弾発射機よりも小型になったが試作に留まった。
95式自動歩槍用のライフルグレネード。銃口にカップ型のアダプタを取り付けることで射撃が可能になる。約80m発射することが可能。
空砲弾を使用しても正常にサイクルさせるために銃口に取り付けるアダプター。
複数の試作型が存在するがどれも実用化には至っていない。2012年の北京警察用装備展覧会にて迅速に取り付け、取り外しが可能なサプレッサーが展示されたがこれも実用化されていない。
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