3/4tトラック(よんぶんのさんトントラック)は、自衛隊でかつて運用されていたトラックである。それまで供与されていたアメリカ合衆国製ダッジWCと交代する形で運用された。1980年代後半に退役し、現在はキャブオーバー型の73式中型トラックが任務を引き継いでいる。
警察予備隊創設後、アメリカ軍より大量の各種輸送車両が供与された。特に「ウェポンキャリア」と呼ばれる積載量3/4tのダッジWCは、小回りが利く上に、ジープより大量の装備を運べるため好評だった。
しかし、順次自国兵器の国内生産を進め、生産体制を確立、増強する必要性が唱えられたこと、さらに供与車両は多くが第二次世界大戦で使用された中古車であり、老朽化による更新の必要性が出てきた。そこで、アメリカ軍の新型ウェポンキャリアであったM37を参考に開発されたのがこのクラスである。
本車の主任務は輸送であるものの、使い勝手の良さから人員、装備、物資を輸送もしくは牽引するなど様々な用途に使われた。生産は、1952年(昭和27年)から日産自動車とトヨタ自動車の2社で行われている(ごく少数だが、いすゞ製も存在した。詳細は後述)。仕様の異なる両者を混用すると問題が起こるため、主に日産製が北海道の部隊、トヨタ製が本州以南の部隊で使用された。
1952年、水陸両用車導入に積極的だったアメリカ軍に習い、当時の保安隊が水陸両用の3/4tトラックとしていすゞ自動車に開発を依頼した。同年11月に試作が完了し、TR21Aとして計16両が保安隊に納入されたものの、大量生産には至らなかった。シュノーケルを装着することで、水深2mまでの水中を走行することができた。
他にも、海上自衛隊や航空自衛隊の爆弾運搬車などいくつか派生型がある。
日産製のものは、「日産キャリヤー」の名前で市販もされた。また、海外への輸出も積極的に行われ、南アメリカや東南アジアなどの発展途上国へ輸出されて使用された。特に、インドではノックダウン生産も行われ、インド軍に採用されている。
トヨタ製も市販されたほか、一部の国内生産車がアメリカ軍に供給され、朝鮮戦争で使われた[3]。1980年代まで、韓国軍で使われてもいる(現在FQ15一台がソウル龍山(ヨンサン)戦争記念館に展示されている)。