12.7×81mm弾 (.50 Vickers) はイギリス軍 における標準的な中口径銃弾 で、特にイギリス海軍 において第二次大戦 中に使用された12.7mmビッカース機関銃 の使用弾薬として知られている。 またその輸出型で採用された半起縁式のSR弾は大日本帝国 とイタリア王国 で航空機搭載用機関銃 弾として使用された。
概要
第一次世界大戦 時に航空機の防御力強化がなされ、当時の標準的な機関銃 弾では威力不足が顕在化した頃に、本実包の開発は遡る。 従来の銃弾で焼夷弾 なども製作されたが観測気球 や飛行船 との戦闘においては効果が薄かった。これにより更に大口径の機関銃弾としてドイツ帝国 では13.2x92mm TuF弾 (13.2×92mmSR)の開発が行われた。[ 1]
他方イギリスでは.600/.500口径のゾウ 狩り用の実包 を参考にして開発が行われた。ビッカース は弾頭の口径12.7mm、薬莢全長81mmの無起縁式実包を開発し、.5V/580(弾頭が580グレイン 、約37.5g)として完成した。1924年にビッカース12.7mm機関銃 用の実包として採用され、イギリス海軍 が最大の使用者(12,500丁)となった。[ 1] 第二次世界大戦 以前のイギリス海軍では標準的な対空用機関銃とされていたが、後に20mm機関砲 へ換装された[ 2] (イギリス空軍 では採用されず、更に大口径の機関砲 が採用された[ 3] )。
半起縁式弾
ビッカース12.7mm機関銃は対空機関銃としては大日本帝国 とシャム空軍 で採用されたが、輸出にあたって1923年にリム を半起縁式とした12.7x81mmSR (SRはセミリムド、半起縁式 の略、メーカーでの呼称は.5"V/565で弾頭が565グレイン、約36.5g)を開発。 徹甲弾 (通常弾と曳光弾 )や焼夷弾 (曳光弾) などが用意され、初速は760m/secであった。[ 1] 本実包はイタリア王国 、日本でライセンス生産 が行われ、広範に使用された。[ 3]
本実包はブローニングの実包 より小型で銃口威力 が比較的小さい為、高発射速度で軽量の小口径航空機用機関銃弾として使用された。 最も優秀な機関銃は日本のホ-103 で、重量22kg、発射速度は900発/分であった。 その他にイタリアのブレダ-SAFAT やスコッティ機関銃 (イタリア語版 ) 等がある。[ 3]
脚注
^ a b c d Williams, Anthony G. (2005年11月7日). “THE .5" VICKERS GUNS AND AMMUNITION ” (英語). ARTICLES AND RESOURCES ON MILITARY TECHNOLOGY. 2011年1月14日 閲覧。
^ a b Peter Hodges; Norman Friedman. Destroyer weapons of World War 2 . Annapolis: Naval Institute Press. p. 13. ISBN 0-87021-929-4
^ a b c d Williams, Anthony G. (2000). Rapid Fire: The Development of Automatic Cannon and Heavy Machine Guns for Armies, Navies, and Air Forces . Airlife Publishing, Ltd. p. 58, 147–148, 177, 225. ISBN 978-1840371222
関連項目
近似の性能の実包
外部リンク