非映画コンテンツ(ひえいがコンテンツ)、および、非映画デジタルコンテンツ(ひえいがデジタルコンテンツ)は、日本において映画館で上映される映画以外のコンテンツを指す表現である。「other digital stuff」または「other digital source」の略記とされる「ODS」という表現で言及されることもよくあるが[1][2][3]、いずれも英語では一般的な表現ではなく、また日本語における意味合いとはズレがある[4]。以下では、「ODS」という表現を用いるが、あくまでも日本語における意味である。一部、映倫の審査を受けた作品は映倫マークがクレジットされる(規格区分対象外は除く)。
概要
デジタル技術の普及発展とともに、映画館における映写設備のデジタル化や広帯域伝送路の整備が進み、ライブイベントの実況中継など、映画館で映画以外のコンテンツを上映する機会は拡大してきた[3][5]。2008年5月10日未明に、L'Arc〜en〜Cielがパリで行なったコンサート(現地時間5月9日)が、日本全国の5カ所のシネマコンプレックスで衛星生中継され、東京の新宿バルト9では9つのスクリーンすべてが満員となった事例は[6]、先駆的な成功例であった[2]。
ライブイベントの生中継は「ODS生中継」、録画されたものの上映は「ODS上映」と呼ばれる[7]。コンテンツの例としては、スポーツ中継、各種のコンサートのほか、演劇、オペラ、バレエ、歌舞伎、寄席などが挙げられる[1][3][5]。ODS生中継は、会場の収容能力に限界がある人気の高い舞台などで、特に地方在住の観客を動員する手法として注目されており、例えば、2009年10月4日に東京で行なわれた、ミュージカル『テニスの王子様』千秋楽公演は、全国19か所、33スクリーンに生中継され、東京の新宿バルト9では全スクリーン満席、全国でも用意された席のおよそ8割が埋まった[8]。2011年5月にアーティストのマネージメントや映像・舞台製作などを手がけるアミューズが、ファミリーマート、博報堂キャスティング&エンタテインメント、WOWOWに出資を募って「株式会社ライブ・ビューイング・ジャパン」を設立して以降、音楽ライブでの実施数が急増し、音楽業界の注目度も高まっている[9][10]。
ただし、ODSか映画かという線引きには、曖昧な点もあり、一般的には映画作品と扱われていても、統計を作成する側が「ODS上映」にあたるものとしてODS扱いとする場合もあり、例えば、日本映画製作者連盟がまとめた2011年の全国映画概況では、『監督失格』(監督・平野勝之:矢野顕子の演奏場面が多い)、『DOCUMENTARY of AKB48 to be continued 10年後、少女たちは今の自分に何を思うのだろう?』(監督・寒竹ゆり/製作総指揮・岩井俊二)。『オペラ座の怪人 25周年記念公演 in ロンドン (The Phantom of the Opera at the Royal Albert Hall)』などが、ODS扱いとされた[11]。
実写のオリジナルビデオ映画およびアニメのOVAの先行上映が行われている。ただし、付録・非売品OADとして製作された作品の上映は非常に少ない。また、webアニメについても限定的である[12]。
2023年2月3日に、同年4月の鬼滅の刃刀鍛冶編(フジテレビ系ほか)の放送に先駆け、遊郭編第10話・第11話と刀鍛冶の里編第1話の再編集版を世界80ヶ国以上の国・地域の映画館で上映するワールドツアー『「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』を開催し、公開3日間で観客動員81.3万人、興行収入11.5億円を記録した(興行通信社の集計による)。
代表的な作品
脚注
関連項目