『豆腐百珍』(とうふひゃくちん)は、天明2年(1782年)5月に出版された料理本[1]。100種の豆腐料理の調理方法を解説している[1]。
醒狂道人何必醇(せいきょうどうじん かひつじゅん)の号で著されているが、料理人の著作ではなく文人が趣味で記したものとされている[1]。その正体は大坂で活躍した篆刻家の曽谷学川だと考える説もある。版元は大坂の春星堂藤原善七郎[1](藤屋善七)。
豆腐百珍では、豆腐料理を以下の6段階に分類・評価している。
国立国会図書館には1889年大坂で発行された、近代仮名遣い「豆腐百珍」という書物が所蔵され、同・図書館「近代デジタルライブラリー」でデジタルスキャン画像を閲覧可能である。豆腐名の上に四角く囲んだ一、二、と番号を付けて百まで続くところなどは、元祖「豆腐百珍」と同じレイアウトだが、著者は淮南狂道人とあり、前述のような「豆腐格付け」はされていない。内容も、例えば元祖「豆腐百珍」では「叩き豆腐」の56番が「しき味噌豆腐」とあるなど差異が多い。そのため、元祖「豆腐百珍」出版から100年後の豆腐百珍を改めて紹介したものか、もしくは題名をヒット本にあやかったものと推測される。
この本が好評を博したため、翌年には『豆腐百珍続篇』、明治に入って『豆腐百珍餘録』などの続編が出版された[1]。またこの本がきっかけとなって江戸や大坂では大根・鯛・甘藷・卵など「百珍物」と呼ばれる追随書が次々と出版され流行を巻き起こした[1]。
日本最大の豆腐メーカーである相模屋食料が、現代版の豆腐百珍「とうふ百珍2011」を公開した。和食以外にも、中華やイタリアンの有名料理人が参加している。