褰帳(けんちょう)は、即位、朝賀など大礼の時に高御座の御帳を褰げ開くこと、またはその役の女官のことで褰帳命婦の略である。帳上げ(とばりあげ)ともいう。
概要
「内裏式」には、「褰帳命婦二人、内親王以下三位已上為之、若無者王氏四位五位亦得」とある。のち神祇伯の王氏の女性に定まり、褰帳の女王といった。
当日、諸員着席ののち、褰帳1人ずつ左右に分かれ、北面東西の戸からはいって着座、天皇の高御座着座ののち、執翳女嬬が左右おのおの9人が御前に進んで翳を奉じると、褰帳命婦が東西の階を昇り、高御座の帳を褰げる。その褰げ方は高御座の南方の一間のみを褰げ、女官が内から助けて針で端を留め、八の字形に開いた。式の終った時もまた執翳女嬬が翳を奉じたのち、進んで帳を垂れ、そののち、天皇は後房に帰りはいった。
即位時の褰帳表
始めは女王2名をあてていたが、後に女王1名、典侍1名となり、院政期に至り、伯家の女王(左)と乳母である典侍(右)が務める慣例が定着した[1]。
脚注
- ^ 栗山圭子「典侍試論—即位褰帳を中心に—」(女性官僚の歴史・35頁)
参考文献