薄田 斬雲(うすだ ざんうん、「すすきた ざんうん」とも、1877年(明治10年)1月27日 - 1956年(昭和31年)3月27日)は、日本の小説家・ジャーナリスト。伝記作品を多く残した。本名は貞敬。
経歴
青森県弘前町蔵主町(現・弘前市)出身。1895年(明治28年)青森県尋常中学校を経て、1899年(明治32年)に東京専門学校(現・早稲田大学)文学科選科を卒業。京成日報記者を経て早稲田大学出版部編集委員となる。1917年(大正6年)には衆議院議員野田卯太郎、頭山満、子爵で法学博士の田尻稲次郎らの組織した大民団(大民倶楽部)に加わり山田三七郎とともに運営本部の任にあたった。
作家としては、デビュー当初は自然主義の影響下にある小説・戯曲・随筆などを発表していたが、徐々に関心のメインは伝記などへ移っていった。代表作として、中学時代からの友人でもあった柔道家・前田光世(コンデ・コマ)の世界武者修行の様子を描いた『世界横行柔道武者修業』などがある。
また、アントン・チェーホフの『黒衣の僧』や、ヘンリー・レヴェレージのミステリ小説『囁く電線』(原題:The Whispering Wires)などの翻訳も行っていた他、押川春浪の代筆なども行っている。
著書
単著
編集
- 『天下之記者 一名・山田一郎君言行録』実業之日本社、1906年5月。NDLJP:782115。
- 前田光世通信『世界横行 柔道武者修業』博文館、1912年5月。NDLJP:860058。
- 前田光世通信『世界横行 第二 新柔道武者修業』博文館、1912年12月。NDLJP:946155。
- 『明治太平記』 上、早稲田大学出版部〈通俗日本全史 第18巻〉、1913年10月。
- 『明治太平記』 下、早稲田大学出版部〈通俗日本全史 第19巻〉、1913年11月。
- 『東方列国史』早稲田大学出版部〈通俗世界全史 第1巻 上古史 第1〉、1915年12月。
- 『希臘史』 上、早稲田大学出版部〈通俗世界全史 第2巻 上古史 第2〉、1916年2月。
- 『希臘史』 下、早稲田大学出版部〈通俗世界全史 第3巻 上古史 第3〉、1916年5月。
- 『羅馬史』 上、早稲田大学出版部〈通俗世界全史 第4巻 上古史 第4〉、1916年7月。
- 『羅馬史』 下、早稲田大学出版部〈通俗世界全史 第5巻 上古史 第5〉、1916年11月。
- 『十五世紀史』早稲田大学出版部〈通俗世界全史 第9巻 近代史 第1〉、1916年8月。
- 『十六世紀史』早稲田大学出版部〈通俗世界全史 第10巻 近代史 第2〉、1916年9月。
- 『現代之大戦史』 上、早稲田大学出版部〈通俗世界全史 第19巻 続編〉、1918年10月。
- 『現代之大戦史』 下、早稲田大学出版部〈通俗世界全史 第20巻 続編〉、1919年1月。
- 高田早苗『半峰昔ばなし』早稲田大学出版部、1927年10月。
- 『我輩はムッソリーニである』忠誠堂、1928年2月。
- 『昆田文次郎君の生涯』後昆会、1929年1月。
- 『熱海漫談』富士書房、1929年10月。NDLJP:1192115。
- 『頭山満翁の真面目』平凡社、1932年6月。NDLJP:1176203。
- 『中野武営翁の七十年』中野武営伝記編纂会、1934年11月。
- 頭山満『頭山満直話集』書肆心水、2007年1月。ISBN 9784902854251。
翻訳
- フレデリック・ステーナー『日本の侵略』大日本文明協会事務所、1920年3月。
- G.T.W.パトリック『弛緩心理論』大日本文明協会事務所、1923年11月。
- ベネデット・クローチェ『現世訓』文明協会、1927年1月。
共著
- 薄田斬雲、鳥越静岐『朝鮮漫画』日韓書房、1909年1月。
- 朝鮮総督府編、薄田斬雲・鳥越静岐共著『朝鮮に於ける支那人/朝鮮漫画』(復刻版)龍溪書舎〈韓国併合史研究資料 18〉、1996年11月。ISBN 9784844764564。
参考文献
外部リンク