「恋することのもどかしさ」(こいすることのもどかしさ、原題 : Maybe I'm Amazed)は、ポール・マッカートニーの楽曲である。1970年に発売されたソロデビュー・アルバム『マッカートニー』に収録された。発売当初はシングル・カットされることはなかったが、1977年にライブ・アルバム『ウイングス・オーヴァー・アメリカ』からライブ音源がシングル・カットされた。このシングル盤は、Billboard Hot 100で最高位10位[2]、全英シングルチャートで最高位28位を記録した[3]。
1977年に発売されたシングル盤では「ハートのささやき」という邦題が使用され、一部の作品では原題に近い「メイビー・アイム・アメイズド」という邦題が使用されている[4]。
『ローリング・ストーン』誌が発表した「オールタイム・グレイテスト・ソング500」では第347位にランクインしている[5]。
背景
「恋することのもどかしさ」は、マッカートニーが1969年に書いた楽曲で[6]、妻のリンダへの愛を歌ったロック・バラードとなっている[7]。楽曲についてマッカートニーは、「リンダと知り合って間もない頃に、ロンドンでピアノを使って書いた曲。自然に出てきた曲の1つで、とても特別なもの」と語っている。
1970年2月22日にEMIレコーディング・スタジオのスタジオ2でレコーディングが行なわれ、同日に「エヴリナイト」のレコーディングも行われた[9]。マッカートニーは、ボーカル、ピアノ、オルガン、ベース、ギター、ドラムのすべての楽器の演奏を担当した[10]。また、バッキング・ボーカルでリンダも参加している。レコーディングについて、マッカートニーは「やっていて楽しかったし、歌っていても楽しかった」と語っている。
リンダが撮影した写真が使用されたミュージック・ビデオが制作されており、1970年4月19日に放送された『エド・サリヴァン・ショー』で披露された[12][10]。2020年4月17日にはYouTubeでHDリマスターされたミュージック・ビデオが公開された[13]。
評価
2004年に『ローリング・ストーン』誌が発表した「オールタイム・グレイテスト・ソング500」では第347位にランクインしている[5]。
『ローリング・ストーン』誌のラングドン・ウィナーは、アルバム『マッカートニー』発売当時のレビューで、本作について「とてもパワフルな曲」「レコードの主要なサブテーマの1つは、ひどい孤独な苦しみは愛によって払拭できるということ」と評している[14]。『ピッチフォーク』のジョー・タンガリは、「ジャンク」や「シンガロング・ジャンク」と共に、「マッカートニーの“最高点”」の1つとして挙げている[15]。
ライブ・バージョン
1976年5月から6月にかけて行われた北米ツアーの模様を収め、12月に発売されたライヴ・アルバム『ウイングス・オーヴァー・アメリカ』に、同年5月29日のカンザスシティ・ケンパーアリーナ(英語版)公演からのライブ音源が収録された。1977年2月4日にシングル・カットされると、アメリカのビルボード誌では4月2日に最高位第10位[2]に到達、全英シングルチャートでは最高位第28位を記録した[3]。
なお、日本盤アルバムでは「メイビー・アイム・アメイズド」、シングルでは「ハートのささやき」という邦題が使用されている。
1981年に公開された記録映画『ロックショウ(英語版)』にもライヴ映像が収録されているが、こちらは5月25日のニューヨーク・マディソン・スクエア・ガーデン公演での演奏である。
B面に収録の「ソイリー(英語版)」は、1976年6月7日のデンバー・マクニコルズ・スポーツ・アリーナ(英語版)公演からのライブ音源。ウイングスの初期ツアーから演奏され続けてきたロック・ナンバーである。
シングル盤収録曲
7インチシングル# | タイトル | 作詞・作曲 | 時間 |
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1. | 「ハートのささやき」(Maybe I'm Amazed) | ポール・マッカートニー | |
2. | 「ソイリー」(Soily) | | |
合計時間: | |
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12インチUSプロモーション盤、2013年 レコード・ストア・デイ EP全作詞・作曲: ポール・マッカートニー。 |
# | タイトル | 作詞 | 作曲・編曲 | 時間 |
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1. | 「Maybe I'm Amazed (Short Version) (Mono)」 | ポール・マッカートニー | ポール・マッカートニー | |
2. | 「Maybe I'm Amazed (Album Version) (Mono)」 | ポール・マッカートニー | ポール・マッカートニー | |
3. | 「Maybe I'm Amazed (Short Version) (Stereo)」 | ポール・マッカートニー | ポール・マッカートニー | |
4. | 「Maybe I'm Amazed (Album Version) (Stereo)」 | ポール・マッカートニー | ポール・マッカートニー | |
合計時間: | |
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チャート成績
年間チャート
チャート (1977年) |
順位
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Canada Top Singles (RPM)[18]
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96
|
US Cash Box [19]
|
94
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クレジット
- スタジオ音源
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- ライブ音源(1976年)
-
カバー・バージョン
脚注
出典
- ^ Sendejas Jr., Jesse (2014年8月7日). “The '70s' Seven Sexiest Soft-Rock Songs”. Houston Press. http://www.houstonpress.com/music/the-70s-seven-sexiest-soft-rock-songs-6499487 2021年3月4日閲覧。
- ^ a b c “The Hot 100 Chart”. Billboard (1977年4月2日). 2021年3月4日閲覧。
- ^ a b c "Official Singles Chart Top 100". UK Singles Chart. 2021年3月4日閲覧。
- ^ “ピュア・マッカートニー〜オール・タイム・ベスト - ポール・マッカートニー”. UNIVERSAL MUSIC JAPAN. 2021年3月4日閲覧。
- ^ a b “347. Paul McCartney, 'Maybe I'm Amazed'”. 500 Greatest Songs of All Time. Rolling Stone (2011年4月7日). 2021年3月4日閲覧。
- ^ Dimery, Robert (2011) [2005]. 1001 Songs: You Must Hear Before You Die. Octopus. p. 742. ISBN 1-8440-3717-7
- ^ Sullivan, Steve (2017). Encyclopedia of Great Popular Song Recordings. 3. Rowman & Littlefield Pub Inc. p. 458. ISBN 1-4422-5448-3
- ^ Davies, Hunter (2017). The Beatles Book. Ebury Press. p. 937. ISBN 978-0091958619
- ^ a b Womack, Kenneth (2014). THe Beatles Encyclopedia: Everything Fab Four. Greenwood Pub Group. p. 615. ISBN 0-3133-9171-8
- ^ Miles, Barry; Badman, Keith (2001). The Beatles Diary After the Break-Up: 1970-2001 (reprint ed.). London: Music Sales Group. ISBN 978-0-7119-8307-6
- ^ “ポール・マッカートニー"Maybe I'm Amazed"50周年記念でMVがHDで公開”. uDiscover. UNIVERSAL USIC JAPAN (2020年4月20日). 2021年3月4日閲覧。
- ^ Winner, Langdon (1970年5月14日). “McCartney”. Rolling Stone. 2021年3月4日閲覧。
- ^ Tangari, Joe. “Paul McCartney: McCartney / McCartney II Album Review”. Pitchfork. 2021年3月4日閲覧。
- ^ “Top RPM Singles: Issue 2993”. RPM. Library and Archives Canada. 2021年10月30日閲覧。
- ^ “Cash Box Top 100 Singles, April 2, 1977”. 2018年10月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年3月4日閲覧。
- ^ “Top 200 singles of '77”. RPM. Library and Archives Canada. 2021年10月30日閲覧。
- ^ “Cash Box Year-End Charts: Top 100 Pop Singles, December 31, 1977”. 2018年10月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年1月17日閲覧。
- ^ Erlewine, Stephen Thomas. “Long Player - Faces | Songs, Reviews, Credits”. AllMusic. All Media Group. 2021年3月4日閲覧。
- ^ Ruhlmann, William. Heart & Soul - Joe Cocker | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2021年3月4日閲覧。
- ^ “スティーヴン・タイラー、ポール・マッカートニーからザ・ビートルズのパフォーマンスを頼まれる”. BARKS (ジャパンミュージックネットワーク株式会社). (2010年12月7日). https://www.barks.jp/news/?id=1000066250 2021年3月4日閲覧。
- ^ Erlewine, Stephen Thomas. “The Art of McCartney - Various Artists | Songs, Reviews, Credits”. AllMusic. All Media Group. 2021年3月4日閲覧。
参考文献
- Badman, Keith (2009). The Beatles: Off The Record 2 - The Dream is Over. Omnibus Press. ISBN 0-8571-2102-2
- Blaney, John (2007). Lennon And McCartney, Together Alone: A Critical Discography. Jawbone Press. ISBN 1-9060-0202-9
- Evans, Mike (2021). Paul McCartney: The Stories Behind 50 Classic Songs, 1970-2020. Welbeck Publishing. ISBN 1-7873-9962-1
外部リンク
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シングル |
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1974年 | |
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1980年 | |
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ツアー | |
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フィルモグラフィ | |
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関連項目 | |
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