『娘の友達』(むすめのともだち)は、萩原あさ美による日本の漫画作品。講談社『コミックDAYS』にて、2019年4月18日から2020年12月24日まで連載[2]。「L'un des grands secrets d'une femme fatale.」(ファム・ファタールの大きな秘密)というフランス語のサブタイトルが付されている[3]。2021年2月時点で電子版を含めた累計発行部数は100万部を突破している[4]。
本作では娘を持ち、会社では課長を務める男性市川晃介と、彼が喫茶店で出会い、後に娘の友達であることが分かる女子高生如月古都との「年の差恋愛」が描かれる。妻が死去したことや男手一つで子育てする心労、会社の仕事でもストレスを感じることが多く憔悴している様子が描写される晃介とは対照的に、古都の内面や心理描写が描かれないことが特徴である。そのため、古都が何を考えているか(読者にも他の登場人物にも)分からず、古都に裏切られるのではないかと疑心暗鬼に陥ったり、その関係性自体に葛藤を抱く晃介の精神状態も相まって、全体として鬱屈とした世界観で描写されている[5]。また市川の瞳には光が無い描かれ方となっているが、これは偶然できたものである[6]。
Twitterに投稿した公式PVや作品その者に対し、「性的搾取を助長する」「犯罪教唆だ」という批判があったが、担当編集の小見山祐紀は性的搾取を助長する展開にはならず、「現代社会で生きていると、社会規範として正しいかそうでないかに必要以上に捉われすぎてしまう。そんな人へ向けた問題提起なんです」と表明している[6]。
本作は個人的な趣味として少年誌より青年誌を愛好するという萩原が、少年誌向けとして描いた『バイバイ人類』とは異なり、青年誌向けの作品を描くという意識をもって描いた作品である。また、普通のサラリーマンの夫と結婚生活を送る中で、互いに価値観が理解できなくなり離婚に至った、萩原自身の女性作家としての体験が反映されている[7]。影響を受けた作品として山本直樹『ありがとう』を挙げている[7]。