3005形は、かつて日本国有鉄道の前身である鉄道省に在籍した、タンク式蒸気機関車である。
概要
もとは樺太庁鉄道が、1912年(大正元年)9月にアメリカ合衆国のアメリカン・ロコモティブのクック工場から1両(製造番号51443)を輸入した、車軸配置2-6-2(1C1)、2気筒単式の飽和式蒸気機関車である。水槽をボイラーの上に鞍形に載せたサドルタンク機で、日本のサドルタンク機としては最大のものである。運転室は当初、側面に大きな開口部を持っていたが、酷寒地での使用のため開口部を減じ、ガラス戸と扉が設けられた。
本車は予算の関係か、1914年(大正3年)3月31日までは輸入代理店の三井物産所有として借上げ使用されたが、同年4月1日に正式購入し、樺太庁鉄道の所有となった。
形式番号は1形(1)と称し、これは1943年(昭和18年)の南樺太の内地編入にともなう鉄道省移管まで変わらなかった。鉄道省移管後は、3005形(3005)に改称された。この機関車は、軌間600mmの軍用鉄道を内地と同じ軌間1,067mmに改軌する工事用に導入されたもので、1937年(昭和12年)には北真岡に配置されていたのが確認されている。その後、施設部敷香派出所の配属となり、樺太東線の敷香 - 気屯間の延伸工事に従事した。1945年(昭和20年)のソビエト連邦軍による樺太占領により接収され、その後の消息は明らかでない。
主要諸元
- 全長:8,636mm
- 全高:3,231mm
- 全幅:2,133mm
- 軌間:1,067mm
- 車軸配置:2-6-2(1C1)
- 動輪直径:914mm
- 弁装置:スチーブンソン式アメリカ型
- シリンダー(直径×行程):330mm×457mm
- ボイラー圧力:11.6kg/cm2
- 火格子面積:1.2m2
- 全伝熱面積:51.4m2
- 煙管蒸発伝熱面積:45.8m2
- 火室蒸発伝熱面積:5.6m2
- 小煙管(直径×長サ×数):51mm×3,048mm×94本
- 機関車運転整備重量:30.88t
- 機関車空車重量:25.5t
- 機関車動輪上重量(運転整備時):25.4t
- 機関車動輪軸重(第2動輪上):8.43t
- 水タンク容量:4.4m3
- 燃料積載量:0.63t
- 機関車性能
- ブレーキ装置:手ブレーキ、蒸気ブレーキ
参考文献
- 臼井茂信「日本蒸気機関車形式図集成」1969年、誠文堂新光社刊
- 臼井茂信「機関車の系譜図 2」1972年、交友社刊
- 金田茂裕「形式別 国鉄の蒸気機関車 II」1984年、プレス・アイゼンバーン刊
- 川上幸義「樺太の機関車」鉄道ピクトリアル1966年8月号 No.187