単葉機(たんようき 英: monoplane)とは、飛行機において、揚力を得るための主翼が1枚だけあるものをいう。
現在の飛行機のほとんどは、主翼が1枚だけの単葉機である。しかしながら1940年代以前の古い飛行機、あるいは軽飛行機には、主翼が2枚以上あるものもあり、それらと区別する際に単葉機と称する。
ちなみに飛行機の主翼は、多くが胴体の左右にそれぞれ取り付けられており、単葉機と言っても実際には2枚の主翼を持つ。単葉機の「主翼が1枚」というのは、左右それぞれの主翼をあわせて1枚と数える。もっとも胴体内部で左右の主翼がつながっていたり、あるいは胴体が主翼から吊り下がるように配置されていたりするなど、本当に主翼が1枚の飛行機もある。
それに対して、主翼が上下に2枚以上のものは複葉機と呼び、特に3枚のものを三葉機、4枚以上のものは多葉機と呼ぶこともある。2枚以上の(主)翼を前後に配置したものはタンデム翼機と呼ばれる。
世界最初に有人動力飛行したライトフライヤー号以来、飛行機は複葉機が中心であった。当時の飛行機の構造材は木や布が中心であり、重量のある金属材料はエンジン以外にはほとんど採用されていなかった。そこで軽くてかつ強度を保つため、主翼を2枚以上とし上下に重ね、その主翼をワイヤーや桁で連結する事によって、必要な強度を得た。速度性能を重視した機体でわずかながら単葉機の採用が見られたものの、ワイヤーで吊って強度を保つ構造には変わりなかった。
1930年代後半には金属製で強度のある主翼構造の研究が進み、また飛行速度が重視されるようになってきたことから単葉機が一般的となっていった。最初の近代的な単葉機(つまりワイヤーで主翼を吊らない)として知られるP.1は、ポーランドのズィグムント・プワフスキの開発した「ガル翼」を使用しており、世界の注目を集めた。
とはいうものの、単葉機はそれ自体で強度を保つ設計が必要であるため、金属製であったとしても従来の複葉機の主翼よりは厚くなる。そのため必ずしも複葉機よりも空気力学的に優れる訳ではなく、1920年代から40年代までは、複葉機と単葉機が併用された過渡期であった。しかしながら主翼断面の設計も進歩し、厚い主翼であっても空気抵抗を低減できるようになり、単葉機へと移行した[1]。
とはいえ複葉機よりも主翼が厚い事は、この翼内スペースを利用できるという利点もあった。一番のメリットは翼内に燃料を搭載できる事である。燃料タンクの配置位置が悪いと、燃料の消費によって機体の重量バランスを崩すという問題があった。その点において翼内という位置は燃料タンクの設置場所として最適であった。そのため単葉機は複葉機よりも航続距離が長いものが多い。特に有名なのはP-51戦闘機である。層流翼の採用により主翼の空気抵抗を軽減した事で知られるが、従来の主翼よりもむしろ厚いために主翼内部のスペースが増し、大きな航続距離を持つ事で知られる。
また、空気抵抗の低減のため主脚の引き込み構造が採用されると、引き込み時の主脚の収納場所としても主翼内を利用するようになった。引き込み脚と併用する事により、空気力学的な面において単葉機は複葉機を全面的に凌駕するようになった[2]。空気抵抗と揚力ロスの元になる翼端渦発生源が減少する分、単葉機は複葉機以上より燃費が向上する面もある。
また戦闘機の場合は機銃搭載スペースとして、攻撃機・爆撃機の場合は爆弾などの吊下箇所として主翼を利用するにあたっても、厚く頑丈な単葉機の主翼のほうが都合が良かった。
現代では、単葉構造は主な機種のほとんどに採用されており、かつて主流であった複葉機を見る機会は少なくなっている。
単葉機において、主翼の胴体への取り付け方法には、大きく分けて、低翼(ボーイング747ジャンボジェット機、零式艦上戦闘機など)、中翼(Yak-55、MiG-15など)、高翼(P.1やその発展型P.11、セスナ機など)の3方式がある。胴体上方に離れて配置するパラソル翼(九七式大型飛行艇など)という形式もある。
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