千葉寺のイチョウ(ちばでらのいちょう、せんようじのいちょう、千葉寺の公孫樹[注 1])は、千葉県千葉市中央区千葉寺町161の千葉寺境内にある千葉県の天然記念物に指定されたイチョウである[1][2]。千葉寺創建時に植栽されたと伝えられ、樹齢は約1300年と推定される雄樹である。幹が太く発達しているほか、枝から垂れた乳柱といわれる突起が特徴的であり、古くは女性の母乳不足に効くという俗信があった。
解説
千葉寺(せんようじ、俗に「ちばでら」と読まれる)は、709年(和銅2年)に仏教僧行基によって開基されたのに始まる真言宗豊山派の寺院であり、現在も千葉県千葉市中央区千葉寺町161番地に位置し、坂東三十三観音の第29番礼所に数えられているほか、千葉市の史跡にも指定されている[6]。千葉寺のイチョウは、寺を仁王門から入った正面にある本堂に向かって右手の方に生育している。イチョウ(学名: Ginkgo biloba[8])は裸子植物に分類される落葉性喬木の一つで、日本には野生せず、現在の日本の生育株は中国大陸から渡来したものとなっている。千葉寺のイチョウは行基が開基時に植栽されたものだと伝わっており、樹齢は約1300年と推定される。
1935年(昭和10年)11月12日に千葉県の天然記念物に指定された[1]。
現在の樹高は約24 - 27メートル、ただし30メートルと紹介されることもある[2]。根回りは約11メートル、目通り周囲は約8.4メートルである。元々樹高は約30メートルに達していたが、台風による影響で主幹が折れ、現在の高さになっている。幹の周囲は地面から離れた上部の方が根元よりも発達して太くなっている。枝は地面より3メートル以上のところから横四方23メートルほどのところまで大きく広がっている。これは神奈川県鎌倉市にあったかつての鶴岡八幡宮の大銀杏[注 2]よりも大きいと見られていた。雄樹である。根元の地面には多くの根が地面を覆うようにして現れているほか、枝からは多くの乳柱(乳房状突起)が垂れ下がっており、乳柱の皮を削って煎じて薬にすれば乳不足の女性に効くという迷信から、天然記念物指定後毀損行為が禁じられるまでは、損傷行為が相次いでいた。通常このような乳房状突起は局部的な栄養過剰を伴う雄樹の老木に見られるが[12]、高橋 (2009)によれば、千葉寺のイチョウにおいて乳柱が顕著に生長している要因は、落雷によって主幹が折れて枝の分化が促されたことにもあるという。
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脚注
注釈
- ^ 千葉県公式サイトなどでの表記。
- ^ 2010年(平成22年)3月に強風が原因で倒壊[10]。
出典
参考資料
- 財団法人 千葉県史料研究財団 編『千葉県の自然誌 本編1 千葉県の自然』千葉県〈県史シリーズ40〉、1996年。
- 全国寺院名鑑刊行会編纂『全国寺院名鑑 北海道・東北・関東篇』史学センター、1976年。
- 高橋弘『神様の木に会いに行く 神秘の巨樹・巨木・ご神木の聖地巡礼』東京地図出版、2009年9月15日。ISBN 978-4-8085-8559-4。
- 千葉県教育委員会 編『千葉県の文化財』千葉県教育委員会、1990年。
- 千葉県教育庁 編『ふさの国の文化財総覧 第三巻』千葉県教育庁、2004年12月27日。
- 渡辺典博『続 巨樹・巨木』山と渓谷社、2005年12月1日。ISBN 4-635-06256-2。
外部リンク
座標: 北緯35度35分41.4秒 東経140度7分54.4秒 / 北緯35.594833度 東経140.131778度 / 35.594833; 140.131778