八代 尚宏(やしろ なおひろ、1946年2月22日 - )は、日本の経済学者。国際基督教大学教養学部社会科学科教授を経て昭和女子大学特命教授。専門は労働経済学、法と経済学、経済政策。内閣府経済財政諮問会議委員、内閣府規制改革会議委員、内閣府規制改革推進会議委員[1]を経る。
同志社高等学校を経て、国際基督教大学教養学部理学科に入学。翌年、社会科学科に編入し、山本草二(国際法)・中内恒夫(経済学)の下で指導を受ける[2]。ICU卒業後は東京大学経済学部に学士入学し、小宮隆太郎(国際貿易)のゼミで学ぶ。東大卒業後、経済企画庁に入庁[3]。在職中の1981年にメリーランド大学大学院(アメリカ合衆国)にて経済学博士号を取得[3]。OECDシニアエコノミスト、日本経済研究センター主任研究員、上智大学国際関係研究所教授、日本経済研究センター理事長、国際基督教大学教養学部社会科学科教授、昭和女子大学副学長等を歴任し、2011年4月より現職[3]。2023年より制度・規制改革学会代表理事。
『日本的雇用慣行の経済学』(日本経済新聞社)により石橋湛山賞を受賞した[3]。
労働格差是正論者であり、同一労働同一賃金の徹底と新卒一括採用・定年制の廃止を訴えている。
前者については、「正社員・非正社員の区別なき、多様な働き方を前提とした均等ルールの設立や、正社員以外の労働者への雇用・社会保険の適用拡大を促進することが、本来の労働市場改革の目指すべき方向」であるとしている[4]。2006年12月18日に行われた内閣府の労働市場改革などに関するシンポジウムでは、「正社員と非正規社員の格差是正のため、年功賃金の見直し等、正社員と非正規社員の賃金水準の均衡化に向けた方向での検討も必要」「既得権を持っている大企業の労働者が、(下請け企業の労働者や非正規社員など)弱者をだしにしている面がかなりある」と述べた[5]。また、正社員の身分を持つ現代は、雇用が守ろうとする一種の身分社会と考えており、「非正規社員を正社員に転換する制度を導入するなら、同時に正社員の過度の雇用保障も見直す(つまり待遇を引き下げる)べきであり、そうすることが企業・労働者双方の利益に結びつく」としている[6]。後者についても、新卒採用は機会均等の観点から、定年制は年齢を理由に、熟練労働者を強制的に解雇する野蛮な制度であるとして廃止すべきと主張している[7]。
日本経団連が導入を強く推し進め、厚生労働省が検討しているホワイトカラーエグゼンプション推進派の一人[8]。共同通信社発の記事で外国人労働力の開放を主張している[9]。
「派遣切り」については「自己責任だとは全く思いません」と述べている[10]。
特区制度を利用して導入された株式会社立大学をさらに増加させるべきであるという諮問を2007年2月16日に共同提出しているが、文部科学省は反対している。
選択的夫婦別姓制度導入に賛同し、「何も全部別姓にしろと言っているわけではなくて、別姓でも同姓でも選べるようにしようという、単に選択肢を広げるだけの話」と述べた[11]。
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