作業環境測定法(さぎょうかんきょうそくていほう、昭和50年5月1日法律第28号)は、安全衛生に関する日本の法律である。
作業環境測定士の資格および作業環境測定機関等について必要な事項を定める。
法案成立の背景には、職業性疾病問題がとみに重視されている状況があった。この予防のためには作業環境の改善を強力に進めなければならず、そのためには作業環境の実態をまず正確に把握するための適正な作業環境測定の実施が必要であり、しかも、作業環境の測定には特殊な技術が必要である[1]。政府は1974年(昭和49年)2月、適正な作業環境測定を確保するための法制の整備に関する構想を、中央労働基準審議会に諮問し、適当である旨の答申を受けた。その後法案の作成に着手し、1975年(昭和50年)の第75回国会に内閣提出法案として審議、可決・成立した。一部の規定を除き同年8月1日施行。
この法律は、労働安全衛生法と相まって、作業環境の測定に関し作業環境測定士の資格及び作業環境測定機関等について必要な事項を定めることにより、適正な作業環境を確保し、もって職場における労働者の健康を保持することを目的とする(第1条)。
この法律において、以下に掲げる用語の意義は、それぞれに定めるところによる(第2条)。
事業者は、指定作業場について作業環境測定を行うときは、厚生労働省令で定めるところにより、その使用する作業環境測定士にこれを実施させなければならない。この作業環境測定を行うことができないときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該作業環境測定を作業環境測定機関に委託しなければならない。ただし、国又は地方公共団体の機関その他の機関で、厚生労働大臣が指定するものに委託するときは、この限りでない(第3条)。
作業環境測定士は、作業環境測定を実施するときは、作業環境測定基準に従ってこれを実施しなければならない。作業環境測定機関は、他人の求めに応じて作業環境測定を行うときは、作業環境測定基準に従ってこれを行わなければならない(第4条)。
作業環境測定士試験に合格し、かつ、厚生労働大臣又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う講習を修了した者その他これと同等以上の能力を有すると認められる者で、厚生労働省令で定めるものは、作業環境測定士となる資格を有する(第5条)。
労働基準監督署長及び労働基準監督官は、この法律の施行に関する事務をつかさどる(第38条、施行規則第66条)。