の極限として定義される。函数 f および g をそれぞれこの積分の被積分函数(integrand) および積分函数(integrator) と呼ぶ。
ここでいう「極限」は(リーマン=スティルチェス積分の値となるべき)数 A が存在して、任意の正数 ε > 0 に対して正数 δ > 0 をうまく取れば、|P| < δ なる任意の分割 P に対し、代表点 ci ∈ [xi, xi+1] の取り方に依らず
とできるという意味である。
一般化リーマン=スティルチェス積分
上記を少し一般化したものがPollard (1920)で導入され、現在の解析学ではそちらのほうが普通となっている。分割 P が別の分割 Pε の細分であるとは、単に P より目の細かい分割を考えるというだけではなく、P が Pε に分点を追加して得られることを意味するものとする。函数 f の g に関する一般化リーマン=スティルチェス積分の値が A であるとは、任意の正数 ε > 0 に対して分割 Pε を適当に選べば、Pε の任意の細分 P に対して、代表点 ci ∈ [xi, xi+1] の選び方に依らず
リーマン=スティルチェス積分はダルブー積分(英語版)の適当な一般化(ダルブー=スティルチェス積分)としてもきちんと扱うことができる。分割 P に対して、函数 f の函数 g に関する上ダルブー(=スティルチェス)和
および下ダルブー(=スティルチェス)和
を考え、これらのそれぞれ下限および上限をそれぞれダルブー=スティルチェス上積分および下積分と呼べば
が成立する。
すなわち上積分と下積分が存在して一致するとき、f は g に関してダルブー=スティルチェス可積分であるといい、その一致する値を f の g に関するダルブー=スティルチェス積分の値とする。
g が [a, b] 上非減少ならば、f の g に関する一般化リーマン=スティルチェス積分が存在するための必要十分条件は、任意の ε > 0 に対して適当な分割 P を選べば
とできること、すなわち f が g に関してダルブー=スティルチェス可積分となることである。さらに言えば、g が [a, b] 上非減少かつ f が g に関してダルブー=スティルチェス可積分ならば、f は g に関して(古典的な意味で)リーマン=スティルチェス可積分である(十分条件、Graves (1946, Chap. XII, §3)を参照)。
f が有界、g が非減少のとき、f, g が不連続点を共有しないならば、f の g に関するふたつのスティルチェス積分は存在して一致する。そうでないとき、一般にリーマン=スティルチェス可積分ならばダルブー=スティルチェス可積分だが、ダルブー=スティスチェス積分が存在しても必ずしもリーマン=スティルチェス可積分であるとは限らない[2]。
が成立する。しかし、この公式は X がルベーグ測度に関する確率密度函数を持たないときには意味を成さない。特に X が離散分布(確率が点質量によって割り当てられる)のときには適用できない。また、たとえ累積分布函数が連続でも、g が絶対連続でない場合にはうまくいかない(この場合もカントール函数を考えると反例になる)。しかし、スティルチェス積分を用いれば、等式
は、実数直線上の「任意の」累積分布函数 g に対して病的な振る舞い (ill-behaved) もなく成立する。特に、確率変数 X の累積分布函数 g に対して、モーメントE(Xn) が存在するならば、
また、ヒルベルト空間における(非コンパクトな)自己共軛(あるいはもっと一般の正規)作用素に対するスペクトル論の定式化にも、リーマン=スティルチェス積分が用いられる。この定理におけるリーマン=スティルチェス積分は、射影のスペクトル族に関するものとして考えられる。詳細はRiesz & Sz. Nagy (1955)参照。
Pollard, Henry (1920), “The Stieltjes integral and its generalizations”, Quarterly Journal of Pure and Applied Mathematics19.
Riesz, F.; Sz. Nagy, B. (1990), Functional Analysis, Dover Publications, ISBN0486662896.
Shilov, G. E.; Gurevich, B. L. (1978), Integral, Measure, and Derivative: A Unified Approach, Dover Publications, ISBN0-486-63519-8, Richard A. Silverman, trans.
Stroock, Daniel W. (1998), A Concise Introduction to the Theory of Integration (3rd ed.), Birkhauser, ISBN0-8176-4073-8.
Young, L.C. (1936), “An inequality of the Hölder type, connected with Stieltjes integration”, Acta Mathematica67 (1): 251–282.
Walter Rudin (2006), Principles of Mathematical Analysis (3rd Revised ed.), Mcgraw-Hill, ISBN978-0070856134
Norman B. Haaser; Joseph Arthur Sullivan (1991), Real analysis (new ed.), Dover Publications, ISBN978-0486665092