ラキウラ国立公園(Rakiura National Park)は、ニュージーランド・スチュアート島(マオリ語でラキウラ)にある国立公園である。
概要
スチュアート島の面積の約85パーセントを占める。2002年に開設された。ラキウラとは、マオリ語で「空が赤く燃える場所」という意味である[1][2]。由来は、冬季のオーロラと1年中を通してみることが可能な見事な夕焼けである[1]。
国立公園内には、島の北部にあるスチュアート島の最高峰・アングレム山(標高980メートル)が含まれている。また、島の中部には、全長25キロメートルの河川であるフレッシュウォーター川(英語版)が流れ、その流域には湿地帯が広がる。島の西部は、衛星写真で見てもわかるとおり、メイソン湾と呼ばれる海に面している滑らかな海岸線であり、ここには砂浜が広がる。
また、国立公園には、スチュアート島に隣接するネイティヴ島、ウルヴァ島(英語版)、マッドフラット島、アンカレッジ島(英語版)等を含む。
歴史
考古学的調査によると、スチュアート島には、13世紀からマオリが居住していたと考えられている[2]。
ヨーロッパ人が初めて、スチュアート島に到達したのは、1770年のジェームズ・クックの航海を待たなければならない[2]。しかし、クックは、スチュアート島と南島は陸続きであったと考えていた[2]。クックの本国への報告書には、アザラシや鯨の宝庫であると伝えた[2]。1818年、スチュアート島の周りにある小島のコッドフィッシュ島(英語版)にヨーロッパ人が定住を開始した[2]。
ヨーロッパ人の活動は、1826年に造船所の建設が開始された。この年は、スチュアート島で金や錫の採鉱、漁業が本格化する年となった[2]。1864年には、スチュアート島のマオリから10,000ヘクタールの土地を買収するなど、スチュアート島の開発は本格化したが、徐々に、島の開発の中心はオーバンとなった。例えば、フレッシュウォーター川河口の地区であるパターソン・インレット(英語版)には、1872年に建設された郵便局は、1923年に閉鎖された。また、スチュアート島に建設された主要農場の1つは、島西部のメイソン・ベイに建設されたが、こちらもまた、閉鎖された[2]。
生態系
植物相
ラキウラ国立公園の植生の中心は、マキ科の植物である[2]。リムノキ(英語版)、ポドカルプス・ダクリディオイデス(英語版)(マオリ語:Kahikatea)、トタラ(英語版)が中心である[2]。
フレッシュウォーター川の湿地帯にも数多くの植物が確認されている。マキ科の森林が生い茂り、その下には、灌木のマヌカが展開する[2]。この湿地帯は、野鳥の生息地となっている[2]。
動物相
ラキウラ国立公園では、野鳥の楽園である。キーウィ(英語版)の亜種で、昼間にも出没するスチュアートアイランドキーウィ(英語版)の一大生息地であり、その数は、約2万羽である[3]。また、ラキウラ国立公園は、フクロウオウム(マオリ語でKakapo)最後の生息地となりつつある。フクロウオウムは夜行性の鳥で、キーウィや既に絶滅したモアと同じく飛べない鳥類である。1977年に、ニュージーランド本土以外で、メスのフクロウオウムがスチュアート島で発見されたことで、フクロウオウムの保護政策が本格化した[4]。ネコなどの害獣からの捕食を防ぐために、フクロウオウムは、スチュアート島沖合いのコッドフィッシュ島へと移された[4]。
キーウィやフクロウオウム以外では、アオハシインコ(英語版)をはじめとするパラキート(マオリ語でkākāriki)、ニュージーランドバト(マオリ語でkererū)、エリマキミツスイ(マオリ語でtūī)、ニュージーランドミツスイ(英語版)(マオリ語でkorimako)、ニュージーランドヒタキ(マオリ語でmiromiro)、ニュージーランドクイナ(マオリ語でweka)、ニュージーランドコマヒタキ(英語版)(マオリ語でkakaruai)、シダセッカ(英語版)(マオリ語でmātā)、カカ(マオリ語でkākā)、セアカホオダレムクドリ(英語版)の生息地でもある。ニュージーランドチドリ、ハジロシロハラミズナギドリ(英語版)なども訪れることがある[2]。
フレッシュウォーター川河口に位置するパターソン・インレットは、ダイビングポイントとして知られているが、ニュージーランドでは有数の海草の生育地区であると同時に、貝類や腕足動物の生息地でもある[5]。
アクティビティ
トレッキング(ニュージーランド英語でトランピング)をラキウラ国立公園でも楽しむことができる。スチュアート島の舗装道路は、25キロメートルに過ぎないのに対して、トレッキングコースの総延長は245キロメートルに達する[5]。
ニュージーランド国内に9ヶ所あるニュージーランド・グレート・ウォークス(英語版)の1つで全長32キロメートルのラキウラ・トラック(英語版)[6]をはじめとし、スチュアート島北西部を縦走する全長125キロメートルのノース・ウェスト・サーキット[7]やスチュアート島南部を縦走する全長71.5キロメートルのサザン・サーキット[8]がある。国立公園内には、以上の本格的なトレッキングコース以外にも、行程30分から2時間程度の短いトレッキングコースも複数、整備されている[9]。また、スチュアート島外では、ウルヴァ島にも短い距離のトレッキングコースがある[10]。
それ以外のアクティビティは、ダイビング[要曖昧さ回避]やシュノーケリングを楽しむことができる[5]。主なダイビングポイントは、パターソン・インレットやウルヴァ島である[5]。
脚注
外部リンク