モノフルオロ酢酸ナトリウム
結晶中に配置された複数のフルオロ酢酸ナトリウム分子。
別称
1080 Compound 1080 SFA Sodium monofluoroacetate
識別情報
CAS登録番号
62-74-8
PubChem
16212360
ChemSpider
5893
UNII
166WTM3843
EC番号
200-548-2
国連/北米番号
2629
KEGG
C18588
ChEBI
ChEMBL
CHEMBL369611
RTECS 番号
AH9100000
バイルシュタイン
3915223
Gmelin参照
470376
InChI=1S/C2H3FO2.Na/c3-1-2(4)5;/h1H2,(H,4,5);/q;+1/p-1
Key: JGFYQVQAXANWJU-UHFFFAOYSA-M
InChI=1/C2H3FO2.Na/c3-1-2(4)5;/h1H2,(H,4,5);/q;+1/p-1
Key: JGFYQVQAXANWJU-REWHXWOFAP
特性
化学式
C2 H2 FNaO2
モル質量
100.02 g mol−1
外観
無色または白色の粉末または結晶
匂い
無臭[ 1]
融点
200 °C , 473 K, 392 °F
沸点
分解
水 への溶解度
溶ける
危険性
GHSピクトグラム
GHSシグナルワード
危険(DANGER)
Hフレーズ
H300 , H310 , H330 , H400
Pフレーズ
P260 , P262 , P264 , P270 , P271 , P273 , P280 , P284 , P301+310 , P302+350 , P304+340 , P310 , P320 , P321
主な危険性
有毒、可燃性
引火点
?
許容曝露限界
TWA 0.05 mg/m3 [skin][ 1]
半数致死量 LD50
1.7 mg/kg (rat, oral) 0.34 mg/kg (rabbit, oral) 0.1 mg/kg (rat, oral) 0.3 mg/kg (guinea pig, oral) 0.1 mg/kg (mouse, oral)[ 2]
特記なき場合、データは常温 (25 °C )・常圧 (100 kPa) におけるものである。
モノフロオロ酢酸ナトリウムの3次元モデル
モノフルオロ酢酸ナトリウム (モノフルオロさくさんナトリウム、英文名称 sodium fluoroacetate)は、モノフルオロ酢酸 のナトリウム 塩 。吸湿性のある白色の粉末。日本法における特定毒物。
用途・毒性
ニュージーランドにおける1080毒餌使用時の警告看板
別名、1080(TEN EIGHTY)。日本では1950年 3月10日に野ねずみ に対する殺鼠剤 として農薬 登録を受け、田畑や山林で毒餌として、また倉庫では水溶液の状態で用いられる。
ニュージーランドではフクロギツネ (ポッサム)の駆除に、北米ではコヨーテ の駆除にも用いられている。世界的には他に少なくともオーストラリア・メキシコ・イスラエルでの使用例が認められ[ 3] 、大規模に行う場合は毒餌の空中散布も行われている。オーストラリアでは、これを危険視する声もある[ 4] 。
誤飲食防止のため深紅色 の着色及び日本薬局方 トウガラシチンキ またはトウガラシ 末の着味が義務づけられている。毒性はLD 50 は0.22mg/kg(ラット経口)、2-10mg(ヒト経口)[ 5] と非常に強く、過興奮・嘔吐・筋痙攣・呼吸抑制・心不全などの症状が現れる。毒性の作用機序は、主にクエン酸回路 の阻害による。
日本では毒物及び劇物取締法 によりモノフルオロ酢酸 、モノフルオロ酢酸アミド などとともに特定毒物 に指定されており、法令で認可を受けなければモノフルオロ酢酸ナトリウムを含んだ製剤を製造・使用・所持することができない。
歴史
ドイツの化学者が第二次世界大戦中に発見し、毒性を確認したとされる。またアメリカでも同時期に発見された[ 6] 。
自然界における存在
モノフルオロ酢酸塩を含有するガスストロビウム。特に葉や種子に蓄積している。
オーストラリア、ブラジル、アフリカなどではモノフルオロ酢酸ナトリウムなどのモノフルオロ酢酸塩を含む植物が、少なくとも40種発見されている[ 7] [ 8] [ 9] [ 10] 。オーストラリアに生育するガスストロビウム (マメ科低木・「毒マメ」として知られる)などが典型的な例である。また、チャ の葉から微量ながら検出された例も存在する[ 11] 。
脚注
関連項目