メニューは、多くの料理用語同様に、フランス語が語源である。ラテン語で「小さい」「微小な」を意味する「minutus ミヌトゥス」に由来し、フランス語「menu ムニュ」で詳細なリストや履歴書を意味するようになった。客に選択を提供した最初のメニューは、小さい「carte カルト、キャルト」(=フランス語で黒板の意)に書かれた。こうしたことから、客が選ぶ料理は「à la carte アラカルト」(「黒板に従って」という意味)と呼ばれている。
初期のレストランは現在のようなメニューを持たなかった。ターブル・ドート(定食)店ではシェフまたは経営者が、その日その日にあらかじめ選んで決めた料理が提供され、客の側は料理を選べず、あくまで店舗側がその日に提供している料理を食べるものであった。料理の内容を決定するのはあくまで店の側であったのであり、いわば現在の宴会のような関係であったわけである。現在のメニューは18世の後半に最初に現れた。ここでは、皆に提供される同じ料理ではなく、料理の一覧が表示され、その一覧から客が自分の好みで選択し注文し、レストランの側は注文されたものを作る。定食店は定価(一価)であったが、メニュー(方式)では選択した分に応じた価格を払うことになる。[2]。こうした歴史的経緯も経て、フランス料理では、ターブル・ドート(コース料理)の一覧表をmenu ムニュと呼び、一品料理の一覧表には「carte カルト」や「à la carte アラカルト」と表記するようになった。
^Rebecca L. Spang, The Invention of the Restaurant: Paris and Modern Gastronomic Culture (Harvard, 2000: ISBN 0-6740-0685-2)(英語)
^Gernet, Jacques (1962). Daily Life in China on the Eve of the Mongol Invasion, 1250-1276. Translated by H. M. Wright. Stanford: Stanford University Press. ISBN 0-8047-0720-0. Page 133.(英語)