「ミスティ」(Misty)は、1954年にピアニストのエロル・ガーナーが作曲したジャズ・スタンダード[1]である。1955年に発売されたアルバム『コントラスト(英語版)』に収録された。後にジョニー・バーク(英語版)によって歌詞が加えられ[1]、1959年に発売されたジョニー・マティスによるカバー・バージョンがBillboard Hot 100で最高位12位を記録。ほかにもレイ・スティーブンス(英語版)、エラ・フィッツジェラルド、フランク・シナトラらによってカバーされている。
1954年、エロル・ガーナーはサンフランシスコからシカゴへ向かう[2]飛行機の窓から見えた虹から着想を得て、「ミスティ」を作曲[1]。ガーナーは、頭に浮かんだメロディを口ずさみながら、ピアノの鍵盤を思い浮かべて膝を叩きながら作曲を行なった[2][3]。
1954年7月27日、ワイアット・ラザー(英語版)(ベース)やファッツ・ハード(英語版)(ドラム)とともにエロル・ガーナー・トリオ(Erroll Garner Trio)として「ミスティ」のレコーディングを行なった。同日に録音された演奏は、1955年1月に発売されたアルバム『コントラスト(英語版)』に収録された[4]。
1971年に公開された映画『恐怖のメロディ』で、「ミスティ」がサウンドトラックとして使用された[5]。
1991年、グラミーの殿堂入りを果たした[6]。
ジョニー・マティスは、1959年4月21日に「ミスティ」のカバー・バージョンのレコーディングを行なった[7]。カバーに際して、ジョニー・バーク(英語版)によって歌詞が加えられており[5]、ポップ調にアレンジが変更されている[7]。
1959年8月10日[8]にアルバム『ヘヴンリー(英語版)』が発売され、マティスによる「ミスティ」のカバー・バージョンは「サムシング・アイ・ドリームド・ラスト・ナイト」と「ストレンジャー・イン・パラダイス」の間の7曲目に収録された[9]。同年にシングル・カットされ[4]、アメリカのBillboard Hot 100では1969年10月5日付のチャートで初登場58位を記録[10]し、11月30日付のチャートで最高位12位を記録[11]。全英シングルチャートでも最高位12位を記録[12]。
『オールミュージック』のウィリアム・リュールマンは、アルバム『ヘヴンリー』のレビューの中で本作を「アルバムの中で最高の楽曲」として挙げている[13]。
レイ・スティーブンス(英語版)によるカバー・バージョンは、1975年4月にシングル盤として発売され、B面には「サンシャイン」が収録された[16]。当時スティーブンスはカントリー路線でチャートの上位に入っていて、その最中で発売された「ミスティ」のカバー・バージョンはブルーグラス調にアレンジされている[17]。同年に同名のアルバム(英語版)が発売され[19]、「ミスティ」はオープニング・トラックとして収録された[20]。
スティーブンスによるカバー・バージョンは、『ビルボード』誌のHot 100で最高位14位[21]、カントリー・ソング・チャートで最高位3位[22]、イージーリスニング・チャートで最高位8位を記録[23]。1975年度年間チャートで第91位に入った[24]。全英シングルチャートでも最高位2位を記録[25]し、1975年度年間チャートで第23位に入った[26]。第18回グラミー賞(英語版)で最優秀ヴォーカル入りインストゥルメンタル編曲賞(英語版)を受賞[27]。