ホルトノキ (ホルトの木、胆八樹[6] 、学名 : Elaeocarpus zollingeri var. zollingeri )は、ホルトノキ科 ホルトノキ属 の植物 の一種。別名モガシ 。和名は「ポルトガルの木」の意味で、果実が黒紫色でオリーブ に似ている。暖地でふつうに見られるほか、街路樹や庭木などでも使われる。
名称
和名ホルトノキ の由来は、元来はオリーブ の木を意味する「ポルトガルの木」が転訛したもので、江戸時代 の学者平賀源内 が本種をオリーブと誤認して、ホルトノキとよばれるようになったものである。「ホルト」とはポルトガル のことを意味し、平賀源内による命名とされている[8] 。1760年当時高松藩に仕えていた源内が、高松藩主・松平頼恭 に従って江戸に行く途中に紀州を通った時のことを記した『紀州産物志』(1762年)によると、紀州藩の湯浅 の寺に「ホルトカルト申木」(「ホルトカル」と言う木)が生えており、これは「ホルトカルの油」(江戸時代 に薬用に使われていたオリーブ油 のこと、ホルト油ともいう)の採れる木であるとのこと。つまり、源内がこの木をオリーブと勘違いして自分の本で「ホルトカルト申木」と紹介してしまったのが由来である。なお、源内がオリーブと誤認した深専寺 (和歌山県湯浅町)のホルトノキは和歌山県天然記念物に指定されていたが、2006年に枯れてしまった。源内がオリーブ油を採るために栗林公園 (香川県高松市)に植えたホルトノキは現存する。
実際はポルトガル原産ではなく、日本の在来種である。各地域でさまざまな呼び方がされており、モガセ、モガシ(鹿児島)、タラシ(沖縄)、マガゼ(福岡県)、チンギ(奄美大島)などがある[8] 。
また、以下の様な別名が記録されている。
分布
日本では本州 の千葉県 以西の太平洋沿岸、淡路島 、四国 、九州 、沖縄 に分布し、日本国外では台湾 、インドシナ などに分布する。本州以西の西南日本で照葉樹林 の高木層 構成樹として重要で、各地の社寺有林 の中で巨木が見られる。暖地でふつうに見られ、日本では街路樹 や公園 などでよく利用される。
特徴
常緑広葉樹 の高木。
葉 は互生 し、枝先に束のように生える。葉身は長さ5 - 12センチメートル (cm) の倒披針形または長楕円形で、やや鋸歯があり、ヤマモモ に似ているが厚みがある。葉は古くなると紅葉 して落ちる。古い葉は落ちる前に赤く紅葉し、常に一部の葉が紅葉しているのが見られる。
花期は7 - 8月頃。初夏に花 が咲き、横に伸びた花茎に穂状に付く、個々の花は釣り鐘状で白い。
果実 は長さ1.2 - 2 cmの楕円形で、冬の11 - 2月に黒紫色に熟す。見た目はモクセイ科 のオリーブ の果実にも似ているが、小型で油も採れない。
栽培
植栽適期は3月下旬 - 5月上旬か、6月中旬 - 7月中旬、もしくは9月とされる。
利用
街路樹 や庭木 に植えられている。
樹皮と枝葉の煎汁を織物の黒色の染料として用い、奄美大島 の大島紬 の染料になる。第一次世界大戦 中にドイツ からの化学染料の輸入が止まったことで黒色の染色に窮した秩父 の織物業者らが、大島紬がシャリンバイ のタンニン と泥に含まれる鉄分とを反応させて黒色に染めていたことを参考として同じくタンニンを多く含むホルトノキの使用を考案し、「大黒エキス」の名で売り出した[12] [出典無効 ] 。
都道府県・市区町村等の木/花
市の木/花
かつて指定していた自治体(消滅)
脚注
注釈
^ 現代ではバラ科 の落葉樹 Malus toringo を指す。
^ 現代ではトウダイグサ科 の落葉小高木 Neoshirakia japonica (シノニム : Sapium japonicum )を指す。
出典
参考文献
関連項目
ウィキメディア・コモンズには、
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