ヘレン・マクロイ(Helen Worrell Clarkson McCloy、1904年6月6日 - 1994年12月1日[1])は、アメリカ合衆国の女性推理作家。フランスのソルボンヌ大学を卒業し、ヨーロッパで新聞記者として活動した後に帰国。ミステリー作家として活躍した。
人物
1904年、アメリカ、ニューヨークで作家の母と新聞社編集長の父との間に生まれる。父親の影響で、10代の頃より文芸論等を執筆。幼少期はシャーロック・ホームズシリーズを愛読した。ブルックリンの学校で学んだ後、1923年にフランスに留学、ソルボンヌ大学で学んだ。
大学在学中の1927年からウィリアム・ランドルフ・ハースト主催の「ユニバーサル・ニュース・サービス」で働き、美術評論家や「ロンドン・モーニング・ポスト」などのフリー記者を務め、1932年に帰国した。
1938年に『死の舞踏』でデビュー。精神科医であるベイジル・ウィリング博士のシリーズを始め、本格ミステリから怪奇・ホラー、SFまで、多くの作品を残した。1946年、「EQMM」主催の第1回短編小説コンテストに「東洋趣味」を応募し第2席を受賞。その後、同誌を中心に短編小説を数多く執筆。
1946年に作家のブレット・ハリデイ(英語版)と結婚。2児を儲けた後、1961年に離婚している。
1950年代には女性としては初めてアメリカ探偵作家クラブ(MWA)会長に就任。
1953年にMWAの評論賞、最後の長編作品となった『読後焼却のこと』で第2回ネロ・ウルフ賞を受賞。1990にはMWAの巨匠賞を受賞。ヘレン・クラークスン名義の作品や、アンソロジー集もある。
日本での紹介は短編が中心で「短編の名手」として知られていたが、21世紀に入ってからは、未訳だった長編ミステリーが数多く翻訳されている。
著書
ベイジル・ウィリング博士シリーズ
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邦題 |
原題 |
刊行年
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刊行年月
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訳者 |
出版社
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1 |
死の舞踏 |
Dance of Death (英国版:Design for Dying ) |
1938年 |
2006年6月 |
板垣節子 |
論創社〈論創海外ミステリ51〉
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2 |
月明かりの男 |
The Man in the Moonlight |
1940年 |
2017年8月 |
駒月雅子 |
東京創元社(創元推理文庫)
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3 |
ささやく真実 |
The Deadly Truth |
1941年 |
2016年8月
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4 |
あなたは誰? |
Who's Calling? |
1942年 |
2015年9月 |
渕上痩平 |
筑摩書房〈ちくま文庫〉
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5 |
家蝿とカナリア |
Cue for Murder |
1942年 |
2002年9月 |
深町眞理子 |
東京創元社〈創元推理文庫〉
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6 |
小鬼の市 |
The Goblin Market |
1943年 |
2013年1月 |
駒月雅子
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7 |
逃げる幻 |
The One That Got Away |
1945年 |
2014年8月
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8 |
暗い鏡の中に |
Through a Glass, Darkly |
1950年 |
1955年11月 |
高橋豊(旧訳) |
早川書房〈ハヤカワ・ミステリ〉
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2011年6月 |
駒月雅子(新訳) |
東京創元社〈創元推理文庫〉
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9 |
二人のウィリング |
Alias Basil Willing |
1951年 |
2016年4月 |
渕上痩平 |
筑摩書房〈ちくま文庫〉
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10 |
悪意の夜
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The Long Body |
1955年 |
2018年8月 |
駒月雅子
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東京創元社〈創元推理文庫〉
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11 |
幽霊の2/3 |
Two-Thirds of a Ghost |
1956年 |
1962年6月 |
守屋陽一(旧訳) |
東京創元社〈創元推理文庫〉
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2009年8月 |
駒月雅子(新訳)
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12 |
割れたひづめ |
Mr. Splitfoot |
1968年 |
2002年11月 |
好野理恵 |
国書刊行会〈世界探偵小説全集〉
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13 |
読後焼却のこと |
Burn This |
1980年 |
1982年2月 |
山本俊子 |
早川書房〈ハヤカワ・ミステリ〉
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その他
# |
邦題 |
原題 |
刊行年
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刊行年月
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訳者 |
出版社
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1 |
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Do Not Disturb |
1943年 |
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2 |
牧神の影 |
Panic |
1944年 |
2018年6月 |
渕上痩平 |
筑摩書房〈ちくま文庫〉
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3 |
ひとりで歩く女 |
She Walks Alone (改題:Wish You Were Dead |
1948年 |
1998年9月 |
宮脇孝雄 |
東京創元社〈創元推理文庫〉
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4 |
人生はいつも残酷[2] |
Better Off Dead |
1951年 |
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5 |
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Unfinished Crime (英国版:He Never Came Back ) |
1954年 |
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6 |
殺す者と殺される者 |
The Slayer and the Slain |
1957年 |
1959年12月 2009年12月 |
中田耕治(旧訳) 務台夏子(新訳) |
東京創元社〈創元推理文庫〉
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7 |
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The Last Day (ヘレン・クラークスン名義) |
1959年 |
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8 |
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Before I Die |
1963年 |
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9 |
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The Further Side of Fear |
1967年 |
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10 |
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A Question of Time |
1971年 |
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11 |
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A Change of Heart |
1973年 |
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12 |
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The Sleepwalker |
1974年 |
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13 |
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Minotaur Country |
1975年 |
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14 |
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The Changeling Conspiracy (英国版:Cruel as the Grave ) |
1976年 |
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15 |
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The Imposter (英国版:The Impostor ) |
1977年 |
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16 |
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The Smoking Mirror |
1979年 |
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短編集
- 歌うダイアモンド The Singing Diamonds and Other Stories (英国版:Surprise, Surprise! )( 1965年 / 2003年1月、好野理恵他 訳、晶文社);2015年2月、東京創元社〈創元推理文庫〉
- 東洋趣味(シノワズリ) Chinoiserie (今本渉 訳)
- Q通り十番地 Number Ten Q Street (吉村満美子 訳)
- 八月の黄昏に Silence Burning (吉村満美子 訳)
- カーテンの向こう側 The Other Side of the Curtain (霧島義明 訳)
- ところかわれば Surprise, Surprise! (吉村満美子 訳)
- 鏡もて見るごとく Through a Glass, Darkly (好野理恵 訳)
- 歌うダイアモンド The Singing Diamond (好野理恵 訳)
- 風のない場所 Windless (吉村満美子 訳)
- 人生はいつも残酷 Better Off Dead (霧島義明 訳)
- The Pleasant Assassin and Other Cases of Dr. Basil Willing (2004)
出典・脚注
- ^ "Helen (Worrell Clarkson) McCloy." Contemporary Authors Online. Detroit: Gale, 2001. Gale Biography In Context. Web. 31 July 2011.
- ^ 中編で、『歌うダイアモンド』に収録されている
外部リンク