フィリップ・マイケル・リバース(Philip Michael Rivers、1981年12月8日 - )は、アメリカ合衆国アラバマ州ディケーター出身の元アメリカンフットボール選手。現役時代のポジションはクォーターバック(QB)。これまでにプロボウルに8回選出されている。2006年9月1日の試合から連続先発出場をしており、NFLのクォーターバック連続先発出場記録ではブレット・ファーヴに次ぐ歴代2位の記録となっている。
経歴
プロ入り前
アラバマ州ディケーターで生まれた。父・スティーブは地元の高校のフットボールチームのヘッドコーチで、母・ジョアンは教師であった。その後、アセンズへ転居。当時、ミネソタ・バイキングスでプレーしている自画像を描き、スポーツ・イラストレイテッドで紹介されたことがある。少年時代からつけている背番号17は、父が高校時代につけていたものと同じである。
ノースカロライナ州立大学でプレーした後、2004年のNFLドラフト1巡全体4位でニューヨーク・ジャイアンツに指名されたが、全体1位でサンディエゴ・チャージャーズに指名されたイーライ・マニングとトレードされた。彼とチームの契約交渉はなかなか進まず、4週間のトレーニングキャンプと、2週間のプレシーズンゲームを欠場し、8月23日に、1425万ドルのサインボーナスを含む6年4050万ドルの契約を結んだ[1]。
チャージャーズ時代
プロ入りして最初の2シーズンは、ドリュー・ブリーズの控えQBを務めた。2004年は、ブリーズがカムバック賞に選ばれる活躍で[2]、ブリーズ、ダグ・フルーティに次ぐ第3QBであった。2試合のみの出場で、チームがAFC西地区優勝を果たした後の最終週のカンザスシティ・チーフス戦の後半に初めてパスを投げた。
2005年、フルーティが解雇されて、第2QBに昇格した。最終週のデンバー・ブロンコス戦でブリーズが右肩を負傷したため、交代出場、パス22回中12回成功、1インターセプト、2ファンブルを喫し、チームは7-23で敗れた。シーズン終了後、ブリーズはフリーエージェントとなり、ニューオーリンズ・セインツと契約を結んだ。
2006年より先発QBを務めた[3]。この年、彼はパス成功率62%、3388ヤード、22TD、9INTの好成績をおさめた[4]。チームは14勝2敗でプレーオフのホームフィールドアドバンテージを獲得したが、プレーオフ初戦のディビジョナルプレーオフでニューイングランド・ペイトリオッツに21-24で敗れ、マーティ・ショッテンハイマーヘッドコーチは解任され、ノーブ・ターナーが後任のヘッドコーチとなった[5]。
2007年には開幕4試合で1勝3敗となったが、11勝5敗で2年連続AFC西地区優勝を果たした。プレーオフでテネシー・タイタンズ、インディアナポリス・コルツを破り、チームに1994年以来となるプレーオフ勝利をもたらし、チームはAFCチャンピオンシップゲームに進出したが、レギュラーシーズンを無敗で終えた、ニューイングランド・ペイトリオッツに敗れてスーパーボウル出場は果たせなかった[4]。
2008年、NFLトップの35TDパス、QBレイティング105.5の成績を残した。プレーオフではインディアナポリス・コルツを破った後、ピッツバーグ・スティーラーズとのディビジョナルプレーオフでは300ヤード以上を投げて、3タッチダウンパスをあげたが、QBサック4回、1インターセプトを喫し、24-35で敗れた。
2009年8月、6年9200万ドルの契約延長を果たした[6]。この年4254ヤード、28TDパス、9INTの成績をあげて、2度目のプロボウルに選ばれた。チームは13勝3敗でAFC第2シードを獲得したが、ディビジョナルプレーオフでニューヨーク・ジェッツに14-17で敗れた。
2010年、NFLトップの4710ヤードを投げた[4]。チームは3勝5敗のスロースタートとなり、9勝7敗でシーズンを終えた。プロボウルには4回目の選出で初めてプレーした。それまでの3回のプロボウルでは、負傷で2回欠場、前年のプロボウルは子どもの誕生により出場していなかった[7]。
2011年もプロボウルに選出された。
2012年、第4週のカンザスシティ・チーフス戦で100戦連続先発出場を果たした。また、この試合で史上7番目の早さでパス25000ヤードを記録した[8]。チームは7勝9敗で2003年以来の負け越しでシーズンを終えた。チームは3年連続でプレーオフ出場を逃し、ノーブ・ターナーヘッドコーチ、A・J・スミスゼネラルマネージャーは解任された[9]。
過去2シーズンで35インターセプトを喫したリバースであったが、2013年、マイク・マッコイがヘッドコーチに就任し、新しいオフェンスシステムを導入、この年、リバースは、ダン・ファウツ以来チーム史上2人目となるパス30000ヤードを達成、最後の4試合を連勝し、AFC第6シードでプレーオフに進出した。この年パス成功率69.5%、4478ヤード、32タッチダウン、11インターセプトの成績をあげてカムバック賞に選ばれた[10]。プレーオフではシンシナティ・ベンガルズを27-10で破ったが、デンバー・ブロンコスに17-24で敗れた。
2014年、第2週から第6週までの5試合全てでQBレイティング120以上の成績を残した。5試合連続120以上の成績を残したのは彼がNFL史上初の快挙であったが、12月には肋骨や背中の負傷もあり、月間のQBレイティングは、71.2にとどまり、これは2007年11月のQBレイティング68.8以来の低い数字であった。勝てばプレーオフ進出となる最終週の試合で7サックを浴びてチームは敗れた。6年連続パス4000ヤード以上となるパス4286ヤード、31タッチダウン、18インターセプトでチームのMVPに選ばれた。
2015年8月、4年8400万ドル(6500万ドルの補償つき)の契約延長を果たした[11]。この年ダン・ファウツの作ったチーム記録にあと11ヤードに迫る4792ヤードを投げた。プロボウルに選出されたが、欠場した。
2016年、33タッチダウンパスを投げたが、リーグ最多の21インターセプト、パス成功率も60.4%に終わり、キャリアで2番目に悪いQBレイティング87,9でシーズンを終えた。チームは5勝11敗で2年連続地区最下位に終わった。
2017年、パス4515ヤード、28タッチダウン、10インターセプトの成績を残し、チームは9勝7敗で2014年以来となる勝ち越しでシーズンを終えた。
2018年、パス4308ヤード、32タッチダウン、12インターセプト、チームは12勝4敗で2013年以来となるプレーオフ出場を果たした。プレーオフではボルチモア・レイブンズに23-17で勝ったが、ニューイングランド・ペイトリオッツに28-41で敗れた。
2019年シーズン、チームは地区最下位に沈んだ。更にチャージャーズは2020年のドラフトでジャスティン・ハーバートを全体6位で指名したのに伴い、リバースとの再契約を見送る決断を下した。
コルツ時代
2020年3月17日、1年2500万ドルでインディアナポリス・コルツと契約を結んだ。コルツのフランク・ライクヘッドコーチは、かつてチャージャーズでリバースを指導したことがある[12]。このシーズンはチームをワイルドカードでプレーオフに導いた。プレーオフ初戦でバッファロー・ビルズ相手に、309ヤードを投げ2つのタッチダウンを取ったものの試合は敗れた。
引退後
コルツがプレーオフを敗退した後の2021年1月20日、現役引退し、同時にアラバマ州フェアホープのセントマイケル・カトリック高校のコーチに就任すると発表した[13][14][15]。
詳細情報
年度別成績
レギュラーシーズン
年度 |
チーム |
背 番 号 |
試合 |
パス |
ラン |
記録
|
出場 |
先発 |
成功 回数 |
試投 回数 |
成功 確率 |
獲得 ヤード |
平均 獲得 ヤード |
TD |
Int |
レイテ ィング |
試行 回数 |
獲得 ヤード |
平均 獲得 ヤード |
TD |
先発出場 試合勝敗
|
2004 |
SD LAC |
17
|
2 |
0 |
5 |
8 |
62.5 |
33 |
4.1 |
1 |
0 |
110.9 |
4 |
-5 |
-1.3 |
0 |
0-0
|
2005
|
2 |
0 |
12 |
22 |
54.5 |
115 |
5.2 |
0 |
1 |
50.4 |
1 |
-1 |
-1.0 |
0 |
0-0
|
2006
|
16 |
16 |
284 |
460 |
61.7 |
3,388 |
7.4 |
22 |
9 |
92.0 |
48 |
49 |
1.0 |
0 |
14-2
|
2007
|
16 |
16 |
277 |
460 |
60.2 |
3,152 |
6.9 |
21 |
15 |
82.4 |
29 |
33 |
1.1 |
1 |
11-5
|
2008
|
16 |
16 |
312 |
478 |
65.3 |
4,009 |
8.4 |
34 |
11 |
105.5 |
31 |
84 |
2.7 |
0 |
8-8
|
2009
|
16 |
16 |
317 |
486 |
65.2 |
4,254 |
8.8 |
28 |
9 |
104.4 |
26 |
50 |
1.9 |
1 |
13-3
|
2010
|
16 |
16 |
357 |
541 |
66.0 |
4,710 |
8.7 |
30 |
13 |
101.8 |
29 |
52 |
1.8 |
0 |
9-7
|
2011
|
16 |
16 |
366 |
582 |
62.9 |
4,624 |
7.9 |
27 |
20 |
88.7 |
26 |
36 |
1.4 |
1 |
8-8
|
2012
|
16 |
16 |
338 |
527 |
64.1 |
3,606 |
6.8 |
26 |
15 |
88.6 |
27 |
40 |
1.5 |
0 |
7-9
|
2013
|
16 |
16 |
378 |
544 |
69.5 |
4,478 |
8.2 |
32 |
11 |
105.5 |
28 |
72 |
2.6 |
0 |
9-7
|
2014
|
16 |
16 |
379 |
570 |
66.5 |
4,286 |
7.5 |
31 |
18 |
93.8 |
37 |
102 |
2.8 |
0 |
9-7
|
2015
|
16 |
16 |
437 |
661 |
66.1 |
4,792 |
7.3 |
29 |
13 |
93.8 |
17 |
28 |
1.6 |
0 |
4-12
|
2016
|
16 |
16 |
349 |
578 |
60.4 |
4,386 |
7.6 |
33 |
21 |
87.9 |
14 |
35 |
2.5 |
0 |
5-11
|
2017
|
16 |
16 |
360 |
575 |
62.6 |
4,515 |
7.9 |
28 |
10 |
96.0 |
18 |
-2 |
-0.1 |
0 |
9-7
|
2018
|
16 |
16 |
347 |
508 |
68.3 |
4,308 |
8.5 |
32 |
12 |
105.5 |
18 |
7 |
0.4 |
0 |
12-4
|
2019
|
16 |
16 |
390 |
591 |
66.0 |
4,615 |
7.8 |
23 |
20 |
88.5 |
12 |
29 |
2.4 |
0 |
5-11
|
2020 |
IND
|
16 |
16 |
369 |
543 |
68.0 |
4,169 |
7.7 |
24 |
11 |
97.0 |
18 |
-8 |
-0.4 |
0 |
11-5
|
NFL:17年 |
244 |
240 |
5,277 |
8,134 |
64.9 |
63,440 |
7.8 |
421 |
209 |
95.2 |
383 |
601 |
1.6 |
3 |
134-106
|
- 2020年度シーズン終了時
- 太字は自身最高記録
- ■は各年度のリーグ最高記録
ポストシーズン
年度 |
チーム |
試合 |
パス |
ラン |
記録
|
出場 |
先発 |
成功 回数 |
試投 回数 |
成功 確率 |
獲得 ヤード |
平均 獲得 ヤード |
TD |
Int |
レイテ ィング |
試行 回数 |
獲得 ヤード |
平均 獲得 ヤード |
TD |
先発出場 試合勝敗
|
2006 |
SD LAC
|
1 |
1 |
14 |
32 |
43.8 |
230 |
7.2 |
0 |
1 |
55.5 |
3 |
3 |
1.0 |
0 |
0-1
|
2007
|
3 |
3 |
52 |
86 |
60.5 |
767 |
8.9 |
4 |
4 |
85.8 |
4 |
-2 |
-0.5 |
0 |
2-1
|
2008
|
2 |
2 |
41 |
71 |
57.7 |
525 |
7.4 |
3 |
2 |
83.4 |
2 |
13 |
6.5 |
0 |
1-1
|
2009
|
1 |
1 |
27 |
40 |
67.5 |
298 |
7.5 |
1 |
2 |
76.9 |
3 |
4 |
1.3 |
1 |
0-1
|
2013
|
2 |
2 |
30 |
43 |
69.8 |
345 |
8.0 |
3 |
0 |
116.9 |
5 |
14 |
2.8 |
0 |
1-1
|
2018
|
2 |
2 |
47 |
83 |
56.6 |
491 |
5.9 |
3 |
1 |
80.9 |
3 |
15 |
5.0 |
0 |
1-1
|
2020 |
IND
|
1 |
1 |
27 |
46 |
58.7 |
309 |
6.7 |
2 |
0 |
93.5 |
1 |
-1 |
-1.0 |
0 |
0-1
|
計 |
12 |
12 |
238 |
401 |
59.4 |
2,965 |
7.5 |
16 |
10 |
85.3 |
21 |
46 |
3.8 |
1 |
5-7
|
脚注
外部リンク
|
---|
- サンディエゴ・チャージャーズ(1961-2016)
|
1960年代 | |
---|
1970年代 | |
---|
1980年代 | |
---|
1990年代 | |
---|
2000年代 | |
---|
2010年代 | |
---|
2020年代 | |
---|
年代の分類は初先発のシーズンによる |
|
---|
|
1950年代 | |
---|
1960年代 | |
---|
1970年代 | |
---|
1980年代 | |
---|
1990年代 | |
---|
2000年代 | |
---|
2010年代 | |
---|
2020年代 | |
---|
年代の分類は初先発のシーズンによる |
業績 |
---|
|
---|
1930年代 | |
---|
1940年代 | |
---|
1950年代 | |
---|
1960年代 | |
---|
1970年代 | |
---|
1980年代 | |
---|
1990年代 | |
---|
2000年代 | |
---|
2010年代 | |
---|
2020年代 | |
---|
|
---|
1930年代 | |
---|
1940年代 | |
---|
1950年代 | |
---|
1960年代 | |
---|
1970年代 | |
---|
1980年代 | |
---|
1990年代 | |
---|
2000年代 | |
---|
2010年代 | |
---|
2020年代 | |
---|
|
---|
1930年代 | |
---|
1940年代 | |
---|
1950年代 | |
---|
1960年代 | |
---|
1970年代 | |
---|
1980年代 | |
---|
1990年代 | |
---|
2000年代 | |
---|
2010年代 | |
---|
2020年代 | |
---|
|
---|
1960年代 | |
---|
| 1990年代 | |
---|
2000年代 | |
---|
2010年代 | |
---|
2020年代 | |
---|
|
|
---|
オフェンス |
|
---|
ディフェンス |
|
---|
スペシャルチーム |
|
---|
コーチ | |
---|