『ピクミン3』(ピクミンスリー、Pikmin 3)は、任天堂より2013年7月13日に発売されたWii U用ゲームソフト。『ピクミン』『ピクミン2』の続編。2020年10月30日には、新規要素を加えたNintendo Switch版『ピクミン3 デラックス』が発売[3]。
前2作の『Wiiであそぶセレクション』同様、Wiiリモコンとヌンチャクを用いてのプレイに加え、Wii U専用コントローラー「Wii U GamePad」での操作も可能である。
従来のストーリーモードの他、制限時間内にお題をクリアするミッションモード(2人までの協力プレイも可能)、2人対戦のビンゴモードを収録。ミッションモードはアップデートに伴い、有料追加コンテンツとして新ステージが配信された。
本作ではこれまでの赤・青・黄ピクミンに加え、新たに岩ピクミンと羽ピクミンが登場。岩ピクミンは硬い壁や仕掛けを破壊したり、硬い敵にぶつけて攻撃できる。羽ピクミンはムービーにて僅かな間ながら登場しており、常に羽で空中を飛ぶことができ、空中を飛びながら物を運ぶこともできる。主人公は一新され、コッパイ星人のアルフ、ブリトニー、チャーリーの3人が主人公となる。原生生物も新種が多数登場している。また今作はピクミンだけではなくリーダーキャラクターも投げられるようになり、登場人物も3人に増えチームを切り替えながらゲームを進めていく。また隊列操作が廃止され、代わりに緊急回避と原生生物にターゲットを絞っての突撃が出来るようになっている。
また新たに登場した岩ピクミン、羽ピクミンは専用のオニヨンが設けられており、5種類とも共通の増やし方が出来るようになっている。さらに目的地にWii Uパッドでスライドさせて任意で自動的に移動できるようになり、これにより一人は壁を解体する間にもう一人が別の場所で石橋を作るといった作業がよりスムーズに出来るようになった。この他、種類別にピクミンを持ち換えたり、スプレーでのパワーアップ等の要素も継承されている。
一人または二人で遊べる。制限時間内に与えられた目的をクリアするモードであり、タイトル画面で選べる。紫ピクミン・白ピクミンも使用できる。ルールは「お宝を集めろ!」「原生生物を倒せ!」「巨大原生生物を倒せ!」の3種類があり、「お宝を集めろ!」では時間内に回収したお宝の数、「原生生物を倒せ!」では倒した原生生物の数で貰えるメダルの種類が決まり、全てのお宝を集めたり原生生物を倒すとプラチナメダルを獲得出来る。
一方、「巨大原生生物を倒せ!」ではストーリーモードに登場した5体の原生生物を倒す速さを競う内容であり、原生生物は一体だけの為倒すまでメダルの獲得はできない。このモードはストーリーモードの進歩ごとに新しい原生生物に挑戦できる。この内前者の2つのモードは後に有料で追加ステージが配信された。このモードには、「2」に登場した探査ポッドとは異なる形状だが、お宝を回収する為のポッドが登場する。また前作のチャレンジモードと違い、ピクミンが倒されてもポイントには影響しない。リーダーが誰か一人ダウンするとその時点でゲームオーバーとなる。
二人プレイ専用のモードであり、1P側の青チーム(アルフら本作の主人公達)と、2P側の赤チーム(オリマーら『ピクミン2』の主人公達)に分かれて、画面内のビンゴシートに描かれた果実や原生生物を集める内容である。タイトル画面で選べる[4]。
『ピクミン2』(以降、『2』)でメインダンジョンだった地下洞窟は本作には登場せず、間欠泉は『ピクミン』(以下、『1』)のように小型でエリア上での移動手段や近道に変更される。このように『2』から続投しているものの『1』の仕様に再変更されるか、その上で新たな仕様が設けられている要素はいくつかあり、間欠炎は『1』のように壊せないトラップとして設置されている。バクダン岩も『2』でのトラップ用途から『1』のピクミン用の仕様と大きさに変更されるが、全てのピクミンが扱えるようになっている。『2』に登場したガス管やガスゲートはなくなり、土の壁の形も変わった。新たな仕掛けとしてガラスの壁や水晶などが追加された他、バクダン岩でのみ壊せる岩の壁も再登場している。
一定時間ごとに両極の間で放電する電極は『2』では始めから通電しておりピクミンで壊せるトラップ系の仕掛けであったが、今作では洞窟内に設置され、黄ピクミンを電池の要領で並べることで、付近に設置された電球を点灯させる役目をもっている。他のピクミンの電気耐性も大幅に変更され、これまで触れただけで即死だったものが、感電はするものの痺れて動けなくなる程度に軽減されている。『2』のピキノツユクサの実から作られるスプレーはゲキカラスプレーのみ続投しており、本作では「使用したピクミンを花に急成長させる」効果が追加されている。
『2』では無制限になったことで時間を気にせずプレイすることができたが、本作ではエリア内にある果実を回収することで食料が生産され、所持している食料(ジュース)の数が残日数に直結している[5]。果実によって採取できるジュースの量も異なる上、回収できる果実の数も限られている。その為、全ての果実を回収してしまうと食料の生産が不可能になり、手持ちの食料がある場合は翌日以降もゲームを進行できるが、食料がない場合はゲームオーバーになってしまう。そのため、事実上『1』以来の日数制限が設けられる形となっている[5]。また、今作では新たに、その日プレイした1日はもちろん、過去にプレイした好きな日数からやり直すことが可能になった。ただし、一度やり直した日でセーブしてしまうと差し戻すことはできない。日数制限は最大で99日である。
なお、(『2』を初出とするものも含めて)果実は現実にある果物をモチーフとしており、たとえばビンゴモードにアイテムとして登場する「ヤブレカブレ」の場合はサクランボをモチーフとしている。
また、本作では日によって晴れだったり、雨になっていたりと天気の変化があり、それによってBGMも変化する。
ホコタテ星の近隣にあるコッパイ星では、無計画で我慢を嫌う住民の気質と、第5次ベビーブームに伴う人口増加により、深刻な食糧危機に陥ってしまう。コッパイ星人たちは食糧確保の一環として無人探査機「スパロウ」を宇宙各地の惑星に飛ばした結果、とある1機が有力な反応を示す。「PNF-404」と名付けられたこの星に存在する食糧を持ち帰るため、アルフ・ブリトニー・チャーリーの専門家3人組が現地に向かう。しかし搭乗していた宇宙船「ドレイク号」が謎のトラブルにより不時着し、3人は離れ離れになってしまう。ドレイク号の不時着地点で目覚めたアルフは故郷へ帰るために必要なワープドライブ・キーを紛失したことに気づく。彼はピクミンと出会い、彼らを増やす方法を見出したうえで、食料となる果実をはじめ、様々なものを回収する。
その後彼は「再会の花園」でブリトニーを見つけ、全身が固い体をもつ岩ピクミンの力を借りて彼女を救出する。「迷いの雪原」で出会った黄ピクミンを仲間にした2人は、洞窟内に潜んでいたオオバケカガミからチャーリーを救出する。合流した3人は本格的に果実回収を進める中で、キャプテン・オリマーが残したメモを回収する。その内容から彼がワープドライブ・キーを持つと判明、同時にドレイク号から救難信号を受信する。
3人は救難信号の発信源へ向かい、巨木の頂上でタテゴトハチスズメに襲われていたルーイをオリマーと勘違いして助ける。ところがルーイはアルフ達に捕らえられたと思い込み、彼らが集めた食料を奪って逃げるが、巨体生物・ヌマアラシにつかまってしまう。3人に助けられたルーイは奪った食料を返却したうえで、本物のオリマーが「哀しき獣の塔」にいることを伝える。現地に到着したアルフ達の前で、オリマーが金色の生物に取り込まれるも、アルフたちの攻撃で救出される。塔の中から脱出を試みる中、金色の生物が姿を変えて追いかけ、再びオリマーを取り込んで巨大な人型の生物アメニュウドウとなってアルフたちの前に立ちはだかる。アルフたちはピクミンたちと力を合わせて撃退し、オリマーの救出に成功した。
オリマーからワープドライブ・キーを受け取ったアルフ達はピクミンたちに別れを告げた後、惑星を後にする。そしてオリマーとルーイをホコタテ星に帰し、3人もコッパイ星に帰還した。
アルフ達、主人公が暮らす惑星。ゲーム内では独特な言語を用いる[注 1]。食料難に陥っており、アルフ達はそれを解消すべく、PNF-404で食料となる果実を集めることとなる。「コッパイ」という名称はかつて任天堂が製造していたトランプ(かるた)の別名および当時の社名にもあった「骨牌」から来ているとされる。
今回活躍することになるコッパイ星人も、ホコタテ星人同様微小種族であるが、両星間・人種的関連は不明(少なくともコッパイ星人側がホコタテ星の存在を知っている描写は存在する)。ただし、コッパイ星はPNF-404に比べ3分の1ではあるが大気に多量の酸素を含む惑星であり、酸素を猛毒とするホコタテ星人の住むホコタテ星とは大きく環境が異なると思われる。また、コッパイ星人は好き嫌いが激しく我慢ができない気質らしく、それも食料難の一因となっている。
本作は2008年開催のE3での宮本茂のコメントにおいてWii用として開発していることが発表され、その後2011年のE3で宮本茂らの回答でWii U向けに開発を切り替えたことが明かされた。2012年のE3におけるプレゼンテーションの冒頭でPVが大々的に公開され、名称が正式に発表された。2012年のWii Uローンチ発売に向けて開発が進められていたが、発売が延期され2013年に発売となった。
1作目『ピクミン』は「深く遊べる」、2作目『ピクミン2』は「長く遊べる」として、それぞれ好みが分かれていたため、本作の方向性を定めるために何度も議論が重ねられた[7]。
本作の開発当初、スタッフたちの間で『ピクミン』の序盤のステージ「希望の森」で、制限時間の中で宇宙船のパーツをとる競争を行い、 その中で「深く遊ぶ」というのが最も面白いと結論に達し、『ピクミン』の方向性を引き継ぐことにした[7]。
また、経験を積む場を増やすため、本編とは独立したミッションモードが導入された。本作のディレクターの一人である日野重文は2023年のインタビューの中で、このような遊び方を表現するために「ダンドリ」という言葉を使い始めたと振り返っており、この要素は次回作『ピクミン4』にも取り入れられた[7]。もう一人のディレクターである神門有史も、「段取り」という要素は家事や料理にも通ずるため、ゲームをしない者にも理解できる気持ちよさがあることに気づいたと話している[7]。
サウンド面においては、迫力を優先し、コミカルな感じにするという方針が取られた[8]。
主人公たちの母星である「コッパイ星」の由来について、作品の監修に当たった宮本は、ディレクターたちが楽しんでつけたので自分はわからないとしつつも、自社製品である花札や麻雀牌の別名である骨牌からつけたのではないかと2013年のインタビューの中で推測している[9]。また、宮本は監修に当たり、ピクミンがどのように見えるかが重要であり、プレイヤーとピクミンの関係を乱すものは不要であるとインタビューの中で述べる一方、息抜きとなるような気の利いた会話は欲しいところだとも話している[9]。
本作を初出とするピクミンのうち、羽ピクミンはゲーム要素に奥行きを持たせるために生み出された。 また、過去作品ではピクミンを投げる位置を細かく設定できなかったが、本作ではポインターのカーソルが表示され、そこに向かって投げられるようになったため、ぶつけられるものということで岩ピクミンも生み出された。
ただし、ピクミンの種類が増えると遊びにくくなることに加え、3人のキャラクターを操作するという都合上、『ピクミン2』を初出とする白ピクミンおよび紫ピクミンはストーリーモードではなく、ミッションモードでの登場となった。
『ピクミン3 デラックス』(ピクミンスリー デラックス、Pikmin 3 Deluxe)は、2020年10月30日発売のNintendo Switch用ゲーム。同年10月8日には先立って無料体験版が配信された[12]。
Wii U版の追加コンテンツが全て収録される他、新要素も追加された[3]。
ライターのお茶缶は『ピクミン4』発売前にインサイドに寄せた記事の中で、シリーズの中で完成度が高く、決定版であると評している[5]。過去2作品との違いとして、探索中に物語が展開されることを挙げており、かなりアドベンチャーゲーム的だと述べている[5]。また、仕掛けも3人の隊員を切り替えるシステムを活用したパズルゲーム寄りのものが多いとしている[5]。