この項目では、イネの品種について説明しています。1920年代の中央アジアで発生した反ソビエト蜂起については「バスマチ蜂起 」をご覧ください。
バースマティー種の玄米
バスマティ (ときにバースマティー 表記)(英語 : Basmati , ヒンディー語 : बासमती , ウルドゥー語 : ﺑﺎﺳﻤﺘﻰ )は、イネ の品種群である。インディカ米 (長粒種)に属し、繊細で優れた芳香で有名な香り米 である。バースマティーという名称は、「香りの女王」というヒンディー語に由来する。
概要
バースマティーは、現在のインド とパキスタン に当たる地域で何百年にも亘って栽培されてきたイネの品種群である。様々な品種があり、ヒマラヤ 山麓で生産されるものが最高の品質であるとされている。なかでも、パキスタンから北インド のヒマラヤ 山間部のデヘラードゥーン 地方にかけて栽培されるスーパー・バースマティー と呼ばれる優良品種は、バスマティの中でも最も優れた品種である。パトナー米 という品種はバースマティーと近縁であり、ビハール州 パトナー 近辺で栽培される。バースマティーから収穫された米で最も良いとされるのは、精米し販売されるまでに数年間の熟成期間を経たものとされる。米を長期保存するのは、一般に含有水分の少ない米の方が調理し易いとされるためである。
バースマティーの米粒は極めて細長く、調理工程においてさらに細長くなる。米粒はしっかりとしており、調理しても粘り気が出ない。バースマティーは、白米 として、あるいは玄米 としても利用され、この調理に要する時間はおよそ20分程度である。含まれている澱粉(でんぷん)の比率が他の品種に比べて多いため、一般に調理前に澱粉を洗い落とす。調理前に30分から2時間程度水につけておくと、米粒が砕けにくくなる。北インドでは、ビリヤニ など米を用いたご馳走料理にはバースマティーが特に喜ばれる。
バースマティーを用いたビリヤニ(左)
2000年 、アメリカのライステック社(リヒテンシュタイン に本拠を置く RiceTec AG の子会社)は、バースマティーと半矮性長粒品種から作り出されたハイブリッド3品種の特許を獲得しようとした。当時のインド政府がそれに反対したため、その特許は認可されなかった。一方、欧州委員会 では、原産地保護名称 法の下にバースマティーをその地域の特産物として保護することで合意に達した。
バースマティー品種群には、多数の品種が存在する。バースマティー370やバースマティー385、バースマティー・ラーナービールプラ(Basmati-Ranabirpura)といった伝統的な品種以外に、プーサー・バースマティー 1(Pusa Basamti 1)というハイブリッド品種が存在する。この品種の花には芒(のぎ)があるため、トーダル(Todal) とも呼ばれる。芳香のある品種はバースマティー系統から作出されたものであるが、PB2(sugandh-2)やPB3、RH-10という品種は純粋なバースマティーの系統ではないとされている。
バースマティー本来の特徴として、茎が長く細く、強風で倒伏しやすい。総じて収量が低いが、米の品質が優れているため、インド国内だけでなく世界的にも高額で取り引きされる。
関連品種
参考文献
関連項目
外部リンク
脚注
^ “イネ品種 データベース 検索システム 「 関東172号( プリンセスサリー ) 」 品種情報 ”. ineweb.narcc.affrc.go.jp . 2022年1月25日 閲覧。
^ “水稲新品種‘プリンセスかおり’ ”. 鳥取県. 2019年7月4日 閲覧。