ノーマルポジションの中には、オープンリール用のスタンダードグレード(以下STD)、コンパクトカセットでよく使用されるLN(ローノイズ/Low Noise)、LNよりもアウトプットレベルを改善して音質を向上させ、音楽録音用途にも対応させたLLH(Low-Class Low Noise High Output)、音楽録音用途に最適化されたLH(Low Noise High Output)、LHに対し特別に音楽録音用途専用に最適化されたSLH(Super Low Noise High Output)が存在する。
後発のLLHより更に高域性能に優れ、γ-ヘマタイト酸化鉄系磁性体の密度を多くしたり、細粒子化、2層塗布(AXIAのダブルコーティングが有名)、本来はビデオテープ、およびハイ(クロム)ポジション用カセットテープに開発されたコバルトドープ酸化鉄系磁性体を混合し、実現している。コンパクトカセットでは実質LNとLHでわかれており、LHの中でさらに低級ノーマル、および標準ノーマル、高級ノーマルの3タイプのグレード分けが存在する。1968年11月に米国で先行発売されたTDKの初代SDが初出となっており、代表的なLHテープに、ソニーのHi-Fi(のちの初代HF)、BHF、AHF、HF-S、HF-X、HF-ES、HF-PRO、POPS、Classic、Vocal、CDiXI、TDKのSD、AD、AD-S、ED、OD、AD-X、AR、AR-X、CDingI、マクセルのUD、UDI、UD-XLI、XLI、XLI-S、HB-1(響ノーマル)、COLOR CLUB、月刊Stereo・2019年11月号特別付録UD60FM[2]などが存在していた。高級ノーマルテープは中低域のMOL特性がかつてのメタルテープと比べておよそ0.5db程度にまで匹敵するものがあり、メタルテープ同様録音レベルを+2~3db高く入力することが推奨されていた。コンパクトカセットでは、スタンダードテープの録音時の標準バイアス量を100%とすると、LHテープの録音時の適正バイアス量はIEC Type IIIと同じ110%であるとされている[3]。