ニューマーケット競馬場(ニューマーケットけいばじょう、Newmarket Racecourse)は、イギリスロンドンから北北東64マイル (103 km)に位置するサフォーク州 (イングランド) の世界最大の競馬町ニューマーケットにある競馬場。イギリスクラシック三冠競走の第1戦1000ギニー、2000ギニーが行われる事で知られる。
また第一次世界大戦・第二次世界大戦の頃には唯一ダービーとオークスの代替開催を行い、更には三冠の第3戦セントレジャーステークスやヨーロッパで最も権威のあるマイル競走のサセックスステークスなどの代替開催が行われた競馬場でもある。
歴史
コース形態
3つの直線を組み合わせた芝コース。
夏場以外のシーズンで行う「ローリーマイルコース」と夏場のみ使用する「ジュライコース」という、共に逆「く」の字型をした2つのコースがある。ローリーマイルコースとジュライコースが共有する前半直線部分は「セザレヴィッチコース」または「ビーコンコース」、ジュライコースの後半直線部分は「バンバリーマイルコース」と呼ばれる事がある。
ローリーマイルコースは2マイル4ハロン(約4023メートル)あり、1マイル2ハロン(約2012メートル)進んだ地点で右に大きく曲がりジュライコースと分かれる。ゴール板から300ヤード(約274メートル)手前から「ザ・ディップ」と呼ばれる急な上り坂が続く。名前はチャールズ二世の騎乗馬オールドローリーにちなんでいる。[1]
ジュライコースは2マイル1ハロン(約3420メートル)で、1マイル1ハロン(約1809メートル)進んだ所で右に小さくカーブして1マイル (1,609 m)の平坦なバンバリーマイルに入る。バンバリーマイルのみを使用するレースも行われる。
主な開催
クレイヴン開催
イギリスでは11月には平地競走はほぼシーズンが終わり、障害競走のシーズンになる。冬の間は平地競走はずっと休みで、春になると障害競走のシーズンが終わり、平地競走の新シーズンが開幕する。
4月半ばのクレイヴン開催 (Craven Meeting) [4]は、伝統的にイギリスに平地競走の新シーズン開幕を告げる開催として知られる。クレイヴン開催は2日間の日程で行われるが、目玉競走は3歳クラシック路線の前哨戦で、牡馬のクレイヴンステークスと牝馬のネルグウィンステークスである[5]。
この開催は1771年に第6代クレイヴン男爵の支援によって始まった[6]。
主な競走
ギニーズフェスティバル
5月上旬のギニーズフェスティバル (Guineas Festival[8][9]) は、ニューマーケット競馬場の1年を通じて最も重要な開催の一つである。
この開催中に、2000ギニー・1000ギニーが行われる。
主な競走
ジュライフェスティバル
ジュライフェスティバル (July Festival[10]) はその名の通り、7月の開催で、「ジュライコース」として有名なコースを使用して3日間の競馬が開催される。
ジュライカップ・ファルマスステークス・プリンセスオブウェールズステークスなどが行われる。
ケンブリッジシャー開催
ケンブリッジシャー開催 (The Cambridgeshire Meeting[11][12]) は秋のニューマーケット競馬場で行われている。以前は10月に行われていたが、2011年のイギリス秋季競馬のスケジュール改革に伴い、9月後半の開催に移動した[13]。
直線コースのローリーマイルコースが使用され、目玉競走はハンデ戦のケンブリッジシャーハンデキャップである。そのほか、ミドルパークステークス[14]・チェヴァリーパークステークス・サンチャリオットステークスといったG1競走が行われる。
なお、ピーター・ラヴゼイのユーモア推理小説「殿下と騎手 (Bertie and the Tinman, 1987)」は、1886年のケンブリッジシャー・レースにまつわる八百長疑惑と、実在の当時の名騎手・フレッド・アーチャーの自殺事件を背景・題材にしている。
チャンピオンズデー(廃止)
チャンピオンズデー (Champions Day) は、アメリカ合衆国のブリーダーズカップデーに倣い、3歳戦から古馬戦まで様々なG1競走を一堂に会して開催する大イベントだった。
開催の最大の競走がチャンピオンステークスだったが、凱旋門賞と開催日程が近く、有力馬が分散してしまうことから、開催スケジュールの再編成が行われた。その結果、チャンピオンズデー開催はアスコット競馬場に移った。その代わりにニューマーケット競馬場にはフューチャー・チャンピオンズデーが創設された。
フューチャー・チャンピオンズデー
フューチャー・チャンピオンズデー (Future Champions Day[15][16][17][18]) は、フィリーズマイル・デューハーストステークスなどの、2歳馬の重賞を1日に集めて行われる新しいイベントである。
ニューマーケット競馬場が始めたチャンピオンズデーが、イギリス全体の開催スケジュールの再編の結果アスコット競馬場に移ることになり、その代わりとして創設された[19]。
脚注
参考文献
出典・注釈
- ^ 『イギリス文化と近代競馬』彩流社、2013年10月25日、127頁。
- ^ "mi":マイル (≒1,609 m) "f":ハロン (≒201 m)
- ^ "n yo (only/+)"を"n歳(限定/以上)"、"f"を"牝"と表記
- ^ ニューマーケット競馬場公式HP The Craven Meeting2014年4月30日閲覧。
- ^ FRIXO Nell Gwyn Stakes2014年4月30日閲覧。
- ^ ロンドン大学 英国史 Horse-racing2014年5月1日閲覧。
- ^ a b ニューマーケット競馬場公式HP クレイヴン開催2014年5月13日閲覧。
- ^ RBUK QIPCO Guineas Festival 20142014年4月30日閲覧。
- ^ The QIPCO Guineas Festival2014年4月30日閲覧。
- ^ ニューマーケット競馬場公式HP The Moet and Chandon July Festival2014年4月30日閲覧。
- ^ HRUK Cambridgeshire Meeting2014年4月30日閲覧。
- ^ ニューマーケット競馬場公式HP The Cambridgeshire Meeting2014年4月30日閲覧。
- ^ FRIXO Tattersall Stakes2014年12月8日閲覧。
- ^ European Pattern Committee announces changes to the 2015 European Programme / 19 Jan 15 – 英国競馬統括機構、2015年9月26日閲覧
- ^ ニューマーケット競馬場公式HP Dubai Future Champions Day2014年4月30日閲覧。
- ^ ニューマーケット競馬場公式HP Two Year Old Day2014年4月30日閲覧。
- ^ ニューマーケット競馬場公式HP Future Champions Friday2014年4月30日閲覧。
- ^ ニューマーケット競馬場公式HP Future Champions Day - 17 October2014年4月30日閲覧。
- ^ レーシングポスト Why Future Champions Day has no future2014年4月30日閲覧。
外部リンク
座標: 北緯52度14分13秒 東経0度22分29秒 / 北緯52.23694度 東経0.37472度 / 52.23694; 0.37472