ナカミチ株式会社は、かつて存在した日本のAV機器メーカーである。2023年(令和5年)4月現在、解散登記はされておらず、法人自体は存在する。
歴史
1948年(昭和23年)創業。かつては東京証券取引所第2部に上場していた中堅メーカーだった(証券コード:6813)。
コンパクトカセット式テープレコーダーの開発に早くから取り組み、1970年代から1980年代にかけて1000(1972年北米で先行発売)、700(1973年発売)、1000ZXL(1980年発売)、DRAGON(1982年発売)、CR-70(1985年発売)などに代表される超高級カセットデッキで有名であった。RX-505、および、RX-202(両者共に1983年発売)のようにアジマスを全く狂わさずに安定して再生するために、ヘッドではなくカセットテープ本体そのものを180°回転させるオートリバース機構を採用したカセットデッキなど大変ユニークな機種(製品)も存在した。さらにレクサス・LS400(1990年代当時の日本名はトヨタ・セルシオだった)、ブガッティ・EB110の純正カーオーディオにも採用された。情報損失を極限まで減らすために、カセットテープに応じてアジマス角を調節する機構を継続的に搭載し続けた事が最大の特徴である。
当社の製品の大多数はアナログオーディオ関連のハイエンド製品で占めていたため、1990年代に入るとCDの普及に対応できず、消費者向けハイエンド製品では苦戦を強いられた。 業務用のCD試聴機やカーオーディオ製品を発売し、特に業務用のCD試聴機は多くのCDショップに導入されていた。
しかし、バブル景気の崩壊以後経営難に苦しみ、1997年(平成9年)には香港の投資ファンドであるザ・グランデ・ホールディングズ・リミテッド傘下となるが、その後も経営状況は改善せず、2002年(平成14年)2月19日に民事再生法の適用を申請して倒産した[1]。
以後も日本国内外でAV機器の開発・販売を継続していたが、2008年(平成20年)5月31日をもって日本国内での販売を終了した。ただし、日本国外向け製品(プラズマ・液晶テレビなど)の販売は継続するとしている[2]。
代表取締役社長であった中道仁郎は、1998年(平成10年)8月にNakamichiを退社し新会社を設立。Niro Nakamichi というブランドを立ち上げ、高級プリメインアンプを販売していたが、同社は2020年に清算されている[3]。
沿革
主な事業所
評価
海外での評価が高く、2006年(平成18年)にアメリカで行われたある人気ブランドの調査では、バング&オルフセン及びボーズに次ぐ3位という好成績を収めている[5]。
2010年代後半からは、ナカミチのカセットデッキがテープ資産のアーカイブで重宝され、中古市場・オークションなどで価格が軒並み高騰しており、特に1000ZXLと700ZXL、DRAGONは整備済みの完動品やジャンク品(不動品)を問わず、非常に高い相場で取引されている。
脚注
参考文献
外部リンク