『トゥルーライズ』(True Lies)は、1994年公開のアメリカ映画、スパイ映画。
ロサンゼルス・マイアミを舞台に、アーノルド・シュワルツェネッガー扮する凄腕のスパイが、その身分を家族に隠しながら、テロリストと戦う姿をコメディタッチで描く、アクション映画である。
1991年のフランス映画『La Totale!』(主演:ティエリー・レルミット)を見て気に入ったシュワルツェネッガーが、ジェームズ・キャメロンにリメイクを持ちかけて製作された。
なお、当作は製作総費用が1億ドルを突破した、アメリカ映画史上最初の作品である。
また本作は続編が作られる予定であり、出演契約も結ばれたが、制作直前に発生したアメリカ同時多発テロの影響により、続編は立ち消えとなった。
あらすじ
ハリー・タスカーは、妻・娘と共にロサンゼルスで暮らすコンピュータ会社のセールスマン。だが、彼の本当の姿は、大統領直属の国家保安組織「オメガ・セクター」所属のスパイだった。
彼は、中東で暗躍するテロリストの資金ルート解明という使命を帯び、そのカギを握っているとされる古美術商の女・ジュノに接近する。だが、彼女と行動を共にしていたテログループ"真紅のジハード"のリーダー、アジズはハリーを不審に思い、手下とともに彼の命を狙うが、間一髪でハリーはこれを撃退するもアジズは逃がしてしまう。このゴタゴタでホームパーティーの約束を破ってしまったハリーは謝罪しようと妻・ヘレンが勤める法律事務所に向かうが、そこで見たのは見知らぬ男と密会の約束の電話をしていたヘレンの姿だった。ハリーは、「ヘレンが男と不倫している」と思い込み、組織の力を使って捜査を開始。結果誤解と判明したものの、その中で妻が抱く「平凡な日常への不満」を知り、ハリーは捜査の延長として彼女にスパイの任務を疑似体験させることにした。ところが、そこへジュノと「真紅のジハード」一味が乱入。夫妻は捕らえられフロリダ半島近くの小島にある彼らのアジトへ連行され、さらには娘も巻き込まれた。アジズらはソ連製核弾頭を密売によって所持しており、米軍のペルシャ湾岸からの即時撤退を要求。聞き入れられない場合はアメリカ主要都市を核攻撃するという。ついにはハリーの正体も明かされ、ヘレンはショックのあまりヒステリーを起こしてしまう。
迎えた国家と家族の危機に、ハリーはどう対処するのか。
キャスト
スタッフ
日本語吹替
評価
レビュー・アグリゲーターのRotten Tomatoesでは53件のレビューで支持率は70%、平均点は6.60/10となった[10]。Metacriticでは17件のレビューを基に加重平均値が63/100となった[11]。
備考
- この映画より20世紀フォックスのオープニングロゴがデジタル化された。
- トイレの銃撃シーンから撮影が開始されたが、脚本では半ページにも満たないシーンでスケジュールも1日しか確保していなかった。ところが、撮影前にセットを訪れたキャメロンは「セットが小さい」と言い出し、3倍の大きさに拡張しなければならなくなり、突貫作業でトイレを改造する羽目になった。結局、このシーンの撮影は5日もかかってしまったが、その後もことごとくスケジュールは遅れ、とうとう全員24時間働きっぱなしで誰も家に帰れなくなったという。
- 物語中盤のクライマックスである長大な洋上道路のシーンに登場する橋はフロリダのオーバーシーズ・ハイウェイにあるセブンマイル・ブリッジで、新しく架け直された新橋に並行する旧橋(既に一般道としては使われていなかった)で撮影が行われた[注釈 5]。なお、ハリアー戦闘機のミサイル攻撃によって次々と橋体が破壊されるシーンは精巧に作られたミニチュアを用いた特撮であるが、実際の橋を使って撮影した部分と巧妙に組み合わせて編集されており、実際にトラックを走行させながら橋を爆破したような臨場感のあるシーンとなった。このため、当作を解説した書籍などでは「使われなくなった橋を実際に爆破して撮影した」と解説されていることがある[注釈 6]。
- 物語の終盤、ハリーと日本語で挨拶を交わす人物はエキストラ出演した小峯隆生である[12]。小峰は『ターミネーター2』でも、ショッピングモールの従業員役でエキストラ出演している。
- サイモンをハリーが脅す場面では、実在のテロリストである「カルロス」という名前が呼ばれる。
- アメリカ海兵隊よりAV-8B ハリアーIIの実機を借りて着陸シーンを撮影している[注釈 7]。
- ハリアー自体のレンタル代は無料だったが、燃料代が一時間につき15,000ドルもかかってしまう上に、地面がジェット排気の熱で溶けるのを防ぐための着陸パッドの製作などで、ハリアー関係の費用は総額50万ドル以上に達した。
- 終盤のハリアーのアクションシーンでは、高層ビルの屋上に設置されたクレーンに、ハリアーのレプリカ機体を吊るし、その機体にシュワルツェネッガーを実際に乗せて撮影した。
撮影に用いられたハリアー戦闘機のレプリカ
脚注
注釈
- ^ 『キネマ旬報』では、32億円となっている[4]。
- ^ アルバートのぼやき。放送時にBGMを挿入するタイミングを原語版から変えたことで、台詞のタイミングも異なってしまったため収録できなかったとされる。
- ^ BDは、20世紀フォックス・ホームエンターテイメントのブランド「吹替の帝王」シリーズでの発売を予定しており、同シリーズで発売された『コマンドー』の「<日本語吹替完全版> コレクターズBOX Blu-ray」のための追加収録と同日に行われた[6]。
- ^ 2017年には20世紀フォックスがウォルト・ディズニー・カンパニーの日本法人であるウォルト・ディズニー・ジャパンに買収されており、発売を予定していたブランド「吹替の帝王」シリーズも終了となっている。
- ^ 一連のシーンを見ると、二本の橋が並行していることがわかる。
- ^ 当作の撮影において旧橋を実際に爆破したり破壊したりといったことは行われていない。旧橋には既に新橋の工事用その他のために橋体が撤去されて途切れている区間があり、これを巧みに利用することにより、ミニチュアによる特撮と実際の橋上で撮影したシーンを組み合わせて「直前に破壊されて落橋した」ように見えるように構成されている。
- ^ 撮影に協力した部隊として、VMA-223(海兵第223攻撃飛行隊)"BULLDOGS"がクレジットされている。
出典
関連項目
外部リンク
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