それゆえ、共役ジエンに HOMO のエネルギー準位を上昇させる電子供与性基、ジエノファイルに LUMO のエネルギー準位を低下させる電子求引性基が置換している場合に、2つの軌道の相互作用がより大きくなり反応が加速される。
それとはまったく逆に共役ジエンに強力な電子求引性基、ジエノファイルに強力な電子供与性基がついている場合も反応が加速される。この場合には共役ジエンの LUMO とジエノファイルの HOMO の相互作用で反応が進行していると考えられ、逆電子要請型ディールス・アルダー反応という。
またディールス・アルダー反応は熱によって反応が進行するが、光によっては進行しない(熱で許容、光で禁制)。図を用いて説明すると、基底状態では共役ジエンの HOMO はπ2軌道であるが、HOMO の電子が光によって励起すると励起状態では HOMO の軌道がπ3軌道となるため、ジエノファイルの LUMO との軌道の重なりがなくなるので相互作用しなくなるからである。
^Diels, O. and Alder, K. (1928). “Syntheses in the hydroaromatic series. I. Addition of “diene” hydrocarbons”. Liebigs Ann. Chem.460: 98.
^Ose, T. et al. (2005). "Insight into a natural Diels−Alder reaction from the structure of macrophomate synthase". Nature422: 185–189. doi:10.1038/nature01454
^Guimarães, C. R. W.; Udier-Blagovic, M.; Jorgensen, W. L. (2005). "Macrophomate Synthase: QM/MM Simulations Address the Diels-Alder versus Michael-Aldol Reaction Mechanism". J. Am. Chem. Soc.127: 3577–3588. doi:10.1021/ja043905b