ティモール島の衛星写真
西ティモール
ティモール島 (ポルトガル語 : Ilha de Timor 、テトゥン語 : Illa Timór 、インドネシア語 : Pulau Timor )は、小スンダ列島 の東端に位置する島 である。面積は約3万0777 km2 。この島には1999年以来、国境線が存在する。東西ティモールを合わせて、2020年時点での人口は約330万人であった。なお、南にはティモール海 を隔ててオーストラリア大陸 が有る。
名称
島名の「ティモール」とは、マレー語 ・インドネシア語 で「東」を意味する。マレー語・インドネシア語で「東」はtimurだが、timorはそれの異体である。よって「東ティモール」は"Timor Timur"であり、しばしばTimtimと略形で呼ばれる。
行政区分
ティモール島は、独立国である東ティモール と、インドネシア の東ヌサ・トゥンガラ州 の一部である西ティモール とに分かれている。
東ティモールは連続しておらず、飛び地 のオエクシ=アンベノ が存在する。
歴史
植民地支配による東西分割
リウライと呼ばれる王たちが割拠していたが、大航海時代 にポルトガル人 が白檀 を求めて来航した。1520年 にポルトガルが領有宣言し、1586年 には島を占領した。
しかし、1640年 にインドネシアを植民地支配していたオランダ人が、ティモール島に入植した。それでも、1701年にはポルトガルが、ティモール島全域を領有した[ 1] 。
ただ結局、1859年 のリスボン条約により、1860年 に東西に分割され、オランダ領ティモール とポルトガル領ティモール と決まった。ただし、1904年に結ばれて、1908年批准した協定により、一部領土の交換が行われた。以後、ティモール島は分割統治 された。なお、最終的な境界が公式に確定したのは1916年 である。
第二次世界大戦・戦後
第二次世界大戦 中の1941年 に、オランダ軍 とオーストラリア軍 が、中立国であったポルトガル領東ティモールを占領した。その後、1942年 から日本 がティモール島全域を占領し、東ティモールについてもポルトガル政府に黙認されて事実上の統治下に置いた。これに対して、オーストラリア 軍がゲリラ 戦を行い、現地住人の一部も両陣営に協力して戦闘を行った。1945年 に日本が敗戦したため、ポルトガルやオランダなどによる支配が、一時的に復活した。
1949年 に、オランダ領東インド がインドネシア として独立すると、西ティモールはインドネシアの一部となった。
1975年 に、インドネシアが東ティモールに侵攻し実効支配したが、国連 及びポルトガルはこれを認めず、東ティモール人はゲリラ戦法でインドネシアに抵抗した。1999年 の国民投票によって東ティモールは独立国となった。インドネシア政府は、これが西ティモールの独立運動へ飛び火する事態を恐れており、実際に2001年 には、ティモール島全土統一を目指す「ティモール・ラヤ (大ティモール)」運動が西ティモールで起こりつつある。
ティモール島は、民族分離地域の事例の1つであり、現在のところ、統一統治は実現していない。
住民
ティモールの言語。
ティモールの住民は本来は、周辺の島々との間にも、東西ティモールの間にも、顕著な違いは無かった。しかし、その歴史的・政治的特殊性を受けて、若干の特徴が見られる。
人種・民族
ティモール島の住民は、メラネシア人 が多数派である。
ただし、東ティモールには重要なマイノリティー として、ポルトガル系住民がいる。独立運動の旗手であり大統領 となったシャナナ・グスマン やジョゼ・ラモス=ホルタ も、ポルトガル人との混血 である。
言語
多数派の母語は、アウストロネシア語族 マレー・ポリネシア語派 ティモール・ババル語群 (Timor–Babar languages ) の言語である。この語群は、ティモールの北東のウェタル島 や東方のババル諸島 でも話されている。
主に西ティモールで話されるウアブ・メト語 と、主に東ティモールで話されるテトゥン語 が主要言語である。しかしながら、これらの分布域は、西ティモールと東ティモールの領域とは対応していない。その他、いくつかの話者の少ない言語が話される。
公用語 は、西ティモールではインドネシア語 であり、東ティモールではテトゥン語とポルトガル語 である。ただし東ティモールでも、インドネシア語は多数派の母語と同系の言語であり、インドネシア占領時代の教育と、独立後も隣国からの文化的影響により、限定的ながら通用する。
宗教
宗教は、人口の80%がキリスト教 を信仰する。インドネシアの多数派宗教がイスラム教 である中で、東部諸島ではキリスト教が散在するが、ティモール島はその中でも特にキリスト教徒が多い。カトリック が主だが、西ティモールでは若干がプロテスタント を信仰する。
自然
ティモール島内は、山地が多く、例えば、東ティモールでは国土の約3分の2が山岳地帯である[ 2] 。気候は、主にサバナ気候 である[ 3] 。ただし、季節風の影響も受け、例年12月から3月までの夏季が、雨季である[ 2] [ 注釈 1] 。
動物地理学 上のウェーバー線 が、ティモール島とオーストラリア大陸の間を通る。すなわちティモール島は、東洋区 の南東端を成す。なお、ティモール島とオーストラリア大陸の間のティモール海の水深は比較的浅いものの、ティモール島の傍で急激に深くなっている。また、ティモール島は比較的地震の多い地域の1つである。
脚注
注釈
^ ティモール島は、ほとんど赤道に近いため、熱帯性の気候ながら、南半球に位置するため、12月から3月までの期間は、夏季と記載した。
出典
^ 二宮書店編集部 『Data Book of The WORLD (2022年版)』 p.234 二宮書店 2022年1月10日発行 ISBN 978-4-8176-0470-5
^ a b 二宮書店編集部 『Data Book of The WORLD (2022年版)』 p.233 二宮書店 2022年1月10日発行 ISBN 978-4-8176-0470-5
^ 二宮書店編集部 『Data Book of The WORLD (2022年版)』 p.483 二宮書店 2022年1月10日発行 ISBN 978-4-8176-0470-5
関連項目
外部リンク