『チベット死者の書サイケデリック・バージョン』(原題 The Psychedelic Experience: A Manual Based on The Tibetan Book of the Dead)は、意識の宗教的また神秘的状態を時に誘導する幻覚剤の力と共に、LSD (薬物)、シロシビン、メスカリンといったこれらの薬物の治療可能性を調査する研究を行っていた、ティモシー・リアリー、ラルフ・メツナー、リチャード・アルパート(英語版)による幻覚剤の使い方に関する著書である。メキシコにおけるジワタネホ計画の一環として1962年初頭に開始され、最終的に1964年8月に出版された[1]。日本語訳は1994年である。
DJのデヴィッド・マンキューソ(英語版)も、1960年代中盤「サイケデリックな連中」が出入りしていたニューヨークのイースト・ヴィレッジにあるクラブに出入りし、10回ほどLSDを体験した時には『サイケデリック・バージョン』に出会い、リアリーに傾倒するようになった[3]。ウェスト・ヴィレッジにあるリアリーの霊的発見同盟 (League for Spiritual Discovery) の本部を訪ね、そのパーティの常連客となり、自身も踊ることを目的としない選曲にてパーティーを開催するようになった[3]。後に踊るための選曲をするようになっても、『サイケデリック・バージョン』に基づき、一晩中体力を維持できるように、穏やかな最初のバルド、サーカスのような第二のバルド、元の世界にスムーズに戻るための第三のバルドを意識した[3]。
本書の文章の一部はビートルズの楽曲「トゥモロー・ネバー・ノウズ」にて使われている。本書の朗読は、1966年に The Psychedelic Experience のタイトルでレコードに記録され、2003年に Folkways からCDで再発行された。日本でも八幡書店から『バルド・ソドル』というタイトルでCDが出ていた。
書籍
Alpert, Richard, Ph.D., Leary, Timothy, Ph.D., Metzner, Ralph, Ph.D., and Karma-Glin-Pa Bar Do Thos Grol (1964). The Psychedelic Experience: A Manual Based on the Tibetan Book of the Dead. Sacramento. Citadel Press. ISBN 0-8065-1652-6.
^ abcティム・ローレンス 著、内垣聡子 訳『ラヴ・セイヴス・ザ・デイ 究極のDJ/クラブ・カルチャー史』ブルース・インターアクションズ、2008年、27-28,103頁。ISBN978-4-86020-281-1。Love Saves the Day: A History of American Dance Music Culture, 1970-79, 2004