タイドラマは、タイ王国で製作されたテレビドラマのこと。泰流ドラマ(たいりゅうドラマ)とも呼ばれる。タイドラマの多くは、小説を原作としている。タイ語で「ละครโทรทัศน์(ラコーン・トーラタッ)」または「ละคร(ラコーン)」と呼ばれる「ドラマ」と「シリーズ」の大きく2種類が存在する。
概要
「ドラマ」は通常約3か月間、週に2~3のエピソードが放送される。プライムタイムのドラマは、コマーシャルを含めて通常2時間で、「シリーズ」は1時間または30分の放送となる。国際放送の場合、放送時間はエピソードあたり約45分となる。
長編ドラマは、通常より多くの視聴者を取り込むためにニュース番組の直後に放送されるが、小さな作品や短編ドラマは17時から18時の間に放送される。また、人気がある作品は数年後に再放送されることもある。
主要な放送局はチャンネル3、チャンネル5(英語版、タイ語版)、チャンネル7、チャンネル9で、他のアジア諸国と異なり、タイの俳優や女優は芸能事務所と契約するのではなく、フリーランスで個人的にマネージャーを付けて活動するか、放送局と直接契約していることが多い。そのため、各チャンネルは人気のある芸能人との契約を競い、キャストを通じて視聴者を惹きつけようとしている。
法律
タイでは、ヌード、性交、薬物、宗教的感覚を害するような作品には厳しい検閲が行われ、該当する箇所にはモザイク等の処理がなされる。また、例えば俳優がお金を賭けたトランプをしている場面では、法律で禁止されている旨の注意文が表示される。
国際展開
カンボジアでは、2003年初頭に放送が禁止されるまで、いくつかのテレビチャンネルが自国のドラマではなくタイのドラマを放送していた。ただし現在でも映像作品を売買することは合法として認められている。
シンガポールでは、2016年放送のドラマ「นางทาส(ナンター)」の成功をきっかけに、タイでの放送の1~2週間後にタイドラマが放送されるようになった。
中国では、ほとんどのタイドラマが安徽テレビにて放送されている。
マレーシアでは、かつてタイのメロドラマが人気であったが、現在はほとんど放送されていない。しかしタイでの放送から2~3か月後にDVDにて販売されている。
ベトナムの国営テレビ局であるVTVは、タイでの放送の翌日に、吹替や字幕なしでドラマの放送を行っている。
フィリピンでは、1998年にタイのメロドラマが短期間放送されていたが、当時は評価が低く中止された。その後、2020年のドラマ「พรหมลิขิตนี้คือเธอ(You Are My Destiny)」をきっかけに約20年ぶりにフィリピンでタイドラマが放送された。これはフィリピンのテレビチャンネルHeart of Asiaの15周年記念放送の一環として、GMAネットワークで放送されたものである。
その他近年では、アユタヤ王朝を舞台とした「Love Destiny」(2018)がロシアをはじめ各国でヒットした。
日本におけるタイドラマ
2016年にBS-TBSにて『君だけI Love You』が放送された。タイドラマが日本の全国ネットで放送されたのはこれが初めてのこととなる[1][2]。その後、タイで2016年に放送された『SOTUS/ソータス』が、2019年にアジアドラマチックTVにて放送されたほか[3]、dTVでもアジアドラマの1つとして配信されたのをきっかけとして[4]、2020年にはいると『ラブ・バイ・チャンス/Love By Chance』や『Until We Meet Again〜運命の赤い糸〜』等のBLドラマが配信され、さらに『2gether』をはじめとするタイドラマが2020年のコロナ禍に話題となったことを受け、日本国内での配給権取得の動きが進み、2020年後半より各プラットフォームでの配信が増加した。また、タイドラマのみを特集した雑誌も刊行された[5]。
2021年、タイドラマの人気拡大を受けて在東京タイ王国大使館が「Thai Drama Festival in Japan 2021」を企画[6]。
作品一覧
脚注
注釈
出典