サン=サヴァン・シュル・ガルタンプ修道院付属教会は、フランスのヴィエンヌ県の都市サン=サヴァンにある中世以来の教会堂。保存状態の良好なロマネスク期の壁画36点が現存していることで知られ、ユネスコの世界遺産にも登録されている。なお、当初の登録名は「サン=サヴァン・シュル・ガルタンプ教会 (Church of Saint-Savin sur Gartempe)」だったが、2006年により正確な現在の登録名になった。
修道院と付属教会の歴史
ユグノー戦争末期に当たる1598年に修道院の設立憲章は失われてしまったため、正確な設立時期は定かではない。伝統的には、5世紀にマケドニアでの迫害から逃れてきた2人のキリスト教徒サヴァンとシプリヤンに遡る。彼らはガルタンプ川沿岸に逃れてきたが、そこで殉教し、現在のサン=サヴァン市の近くに葬られたという(サン=サヴァン・シュル・ガルタンプは「ガルタンプ川沿いの聖サヴァン」の意味)。この300年ほど後に彼ら2人に殉教地から聖遺物が発見されたことから、カール大帝の秘書官だったバディウスは、この地に聖遺物を納めておくための修道院を作ることを決めたという。アニャーヌのベネディクトゥス(w:Benedict of Aniane) はヌルシアのベネディクトゥスの戒律を適用し、その地に20人ほどの修道士を住まわせた。
1833年に、当時の市長がひび割れをふさいだり、壁画を塗り直させようとしていた時に、ちょうど県知事アレクシス・ド・ジュシユーが訪れた結果、史跡巡視官 (l'inspecteur général des monuments historiques) リュドヴィク・ヴィテに警告が発せられ、付属教会の保護が検討された。1836年に史跡巡視官プロスペル・メリメが喫緊の修復の必要を提起し、1840年には修復に着手されたことで、1849年にはひとまずの救済が成功したと見なされた。
1983年にはユネスコの世界遺産に登録され、1990年には国際壁画センター (Centre International d'Art Mural) が創設された。