f を、集合 A から集合 B への関数とする。すなわち、A の各元 x に対し、B の元 f(x) がただ一つ定まるとする。このとき、f のグラフとは、直積集合A × B の部分集合
である。逆に、A × B の部分集合 G が、「任意の x ∈ A に対して (x, y) ∈ G なる元がただひとつ存在する」という条件を満たすならば、G をグラフとする A から B への関数 f が一意的に定まる。
特に、実数 x に対し、ただ一つの実数 f(x) が定まる関数 f を考えると、これは、A と B がともに実数全体の集合 R の場合である。このとき、グラフは R × R(R2 と表す)の部分集合である。R2 は2次元ユークリッド空間、すなわち平面と同一視され、この場合の関数のグラフは平面内の点の集まりとみなすことができる。
また、二つの実数 x, y に対し、ただ一つの実数 f(x, y) が定まる2変数関数 f を考えると、これは、A = R2 かつ B = R の場合である。このとき、グラフは R2 × R の部分集合である。R2 × R の元は ((x, y), z) の形をしているが、これを (x, y, z) と同一視することにより、グラフは3次元ユークリッド空間 R3 内の点の集まりとみなすことができる。
関数 f が x=a で微分可能であるとは、おおまかには、 f のグラフが (a,f(a)) の周辺で「滑らか」であって、その点における接線が描けるということである。例えば、絶対値関数は、x=0 でのみ微分不可能であって、他の点では微分可能である。なお、微分可能ならば連続でもあるが、逆は成り立たない。
微分可能性は、やはり極限を用いて定義されるのであって、必ずしも直感的に分かりやすい例ばかりではない。例として、次の関数 f1 を考える。この関数のグラフは、原点の近くで無限回振動しており、正確に描くことはできない。
f1 は x=0 で連続ではあるが、微分可能ではない。このことは、グラフの外見だけからは判別しにくい。