オカヒジキ属
分類 (APG III )
学名
Salsola L.
和名
オカヒジキ属
英名
Tumbleweed Saltwort Russian thistle
オカヒジキ属 (陸鹿尾菜属)あるいはサルソラ属 (学名:Salsola )はヒユ科 の植物群。ロシアアザミ (Russian thistle) とも。
アフリカ とユーラシア に分布し、乾燥地や塩性地に生えることが多い。
株はボール状に成長し、秋に果実が成熟すると風によって茎が折れ、原野の上を転がる。タンブルウィード (tumbleweed、直訳すると「回転草」)の一種である。日常的にはロシアアザミ(オカヒジキ属)を、種名などでは呼ばず漠然と「タンブルウィード」と呼んで済ませてしまうこともある(正確にはロシアアザミだけではなく、風に吹かれて転がる草本 全般をそう呼ぶ)。転がって動いてゆくことにより種子 を撒き散らす。風に乗って地面を転がる姿は西部劇 の定番イメージであるが、後述のように外来種であり、元々北米大陸には生息していなかった。とは言え西部劇の舞台は19世紀後半から20世紀前半のアメリカ西部であり、全てのタンブルウィードが存在しなかった、ということではない。
アメリカ合衆国 ではハリヒジキ (英語版 ) (S. tragus ) が1877年 にサウスダコタ州 バナム郡 で発見され、外国産の雑草 として米国農務省 に報告された。ロシア の農業者が輸入した種子 の中に混じって偶然に種子が持ち込まれ、それが広まったと考えられている。乾燥地帯での家畜の飼料になるかもしれないとして、栽培が試みられもした。現在でもカンザス州 などで栽培が行われている。
オカヒジキ (S. komarovii )やS. soda (英語版 ) が食用とされる(ただし、S. soda は下記の通り改名された)。その他の種も、焼いてソーダ灰 の原料とされることが多い。
中国 では『史記 』にも記され「転蓬(てんぽう、転がるヨモギ )」と言われる(方言 のてんぽな を参照)。
近年のDNA分析の結果側系統群 であることが判明した[ 1] ため、複数の属に分割された。命名規約 に従えば、Salsora 属のタイプ種 である S. soda を含む属が Salsora 属にとどまり、他の属には新しい属名が与えられることになり、オカヒジキを含む属は Kali 属と命名された。しかし、2017年の第19回国際植物学会議 (英語版 ) で、Salsola のタイプ種を S. kali (= K. turgidum ) に変更することが決定された[ 2] 。これにより、オカヒジキを含む属は Salsola 属にとどまり、逆に、S. soda を含む属に新しい属名が与えられることになった[ 3] 。そして新たに Soda 属が創設され、タイプ種の Salsola soda は Soda inermis と改名された。
主な種
風に吹かれて転がる個体
属の分割は反映されていない。
S. abrotanoides
S. affinis
S. aperta
S. arbuscula
S. arbusculiformis
S. australis
S. brachiata
S. canescens
S. chinghaiensis
S. chorassanica
S. collina
S. crassa
S. cyclophylla
S. damascena
S. dendroides
S. drummondii
S. dshungarica
S. ferganica
S. foliosa
S. griffithii
S. heptapotamica
S. iberica
S. ikonnikovii
S. imbricata
S. implicata
S. incanescens
S. jacquemontii
S. junatovii
S. kali
S. komarovii オカヒジキ
S. korshinskyi
S. lanata
S. laricifolia
S. makranica
S. micranthera
S. monoptera
S. montana
S. nepalensis
S. nitraria
S. orientalis
S. passerina
S. paulsenii
S. pellucida
S. pestifer
S. praecox
S. richteri
S. rosacea
S. rubescens
S. sativa
S. sclerantha
S. sinkiangensis
S. soda
S. subcrassa
S. sukaczevii
S. tamariscina
S. tomentosa
S. tragus ハリヒジキ
S. turkestanica
S. vermiculata
S. verrucosa
S. zaidamica
参考文献
^ Pyankov, V. I., Artyusheva, E. G., Edwards, G. E., Black, C. C., & Soltis, P. S. (2001). "Phylogenetic analysis of tribe Salsoleae of Chenopodiaceae based on ribosomal ITS sequences: Implications for the evolution of photosynthesis types." Amer. J. Bot. 88: 1189-1198 (2001). Available online here ; retrieved September 29, 2008.
^ “Proposals and Disposals ”. Smithsonian National Museum of Natural History. 2020年5月15日 閲覧。
^ Mosyakin et al. (2017). “Kali versus Salsola : the instructive story of a questionable nomenclatural resurrection” . Israel Journal of Plant Sciences 64 (1-2): 18-30. doi :10.1080/07929978.2016.1256135 . https://www.researchgate.net/publication/315661633_Kali_versus_Salsola_The_instructive_story_of_a_questionable_nomenclatural_resurrection .
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