ブッシュ大統領が小学校に着く約10分前に、1機目の旅客機が世界貿易センタービル北棟に激突した。プレス・プールのカメラマンは、ホワイトハウス報道官アリ・フライシャー(英語版)が「激突」に関する疑問に答える必要があるだろうということ、コンドリーザ・ライス大統領補佐官から保留電話があったことを無線メッセージで聞いた。大統領はSandra Kay Danielsが担任を務める2年生の教室に入り、ロデリック・レイナー・ペイジ教育長官にクラスを紹介、Daniels氏と握手した。大統領と担任は児童の席と向き合って座り、児童による「ペットのヤギ(英語版)」の朗読を聞いた。
午前9時5分頃、アンドルー・カード首席補佐官は大統領に「2機目の旅客機が南棟に激突した。アメリカが攻撃されている可能性がある」と耳打ちした。大統領は動揺を与えないために(後述)、約7分間児童の朗読を聞き続け、それが終わると質問と激励を行い、一言断って退出した。
Bill Sammonの著書によると、Fleischer報道官は教室の後ろから「まだ何も喋らないように」と書かれた紙を掲げていた[3]。大統領はメガネをかけていなかったにもかかわらずそれを読み取ることができ、メディアに気付かれることもなかった。Sammonは以下のようにも語っている。
ブッシュ大統領への批判の中でも、特にマイケル・ムーアの映画「華氏911」では、「テロ攻撃が進行中であることを知らされた後も朗読を聞き続けていたことは、大統領の優柔不断さを表していた」と論じている[5]。一方、Improvising a Homeland Defenceと題された9/11コミッション(英語版)のスタッフレポートでは、「大統領は強いイメージを与えるべきであり、状況をより理解するまで落ち着くべきだと大統領は考えた」と書かれている[6]。