ウム・アルマラディム級ミサイル艇(英語: Um-Almaradim Class Missile Boat)は、クウェート海軍(英語版)のミサイル艇の艦級[1]。フランスのノルマンディ機械製造所(CMN)によって8隻が建造された[1]。
概要
本級は、湾岸戦争により壊滅したクウェート海軍の再建のために発注され、1998年から2000年にかけて就役した[1]。
CMN社のコンバタントI型と呼ばれる設計で、上部構造物はステルス性を重視しており、複雑な形状のマストを特徴としている[1][3]。艦体は鋼製で、全長42m、最大幅8.2m、喫水1.9m、航続距離は1,350海里(14ノット時)である[1][2][4]。その他の諸元は資料ごとに微妙に異なっており、満載排水量は245t[1][2]または250t[4]、最大速力は30ノット[1][2]または32ノット[4]、乗員数は24名[2]または29名[1][4]となっている。
主兵装にはMBDA製の「シースクア」艦対艦ミサイルの連装発射機2基を搭載しており、これは射程15km、飛翔速度マッハ0.9、セミアクティブレーダー誘導方式の小型ミサイルである[1][2]。主砲はオートブレダ製の40mm機関砲塔を艦首に搭載し、他にGIAT製の「M621」20mm機関砲1基(艦尾)と12.7mm重機関銃2基がある[1][2]。また、対空用として「ミストラル」艦対空ミサイル用のシンバッド連装発射機を1基搭載している[1]。ただし、これらの兵装は艇の規模と比較して射程や威力がやや貧弱であり、以下のような高度なC4Iシステムやセンサー類を活かせていないと評されている[1]。
C4Iシステムには、タレス製の「TAVITAC」を搭載している[1]。これは建造当時では最新の戦闘情報システムで、搭載するセンサーや「リンクY」戦術データ・リンクから得た様々な情報を分析し、脅威度判定や目標指示、兵装選択を自動的に行うことができる[1][2]。レーダーには、BAE製の「シースプレイ」射撃指揮レーダーをメインマスト上部に搭載するほか、対空/対水上捜索用のタレス製「MRR」E/Fバンド3次元レーダーと、Racal製のIバンド航海用レーダーを搭載している[1][2]。また、光学式射撃指揮装置としてSAGEM製の「Najir Mark 2」を搭載している[2]。
このほか、電子戦・対抗手段として、タレス製の「DR-3000S1」レーダー警報受信機、タレス・オプトロシス製の「サラマンドルB1」レーダー妨害装置、SAGEM製の「Dagaie」チャフ/IRデコイ発射機を搭載している[2]。
同型艦
番号
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艦名
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建造所
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進水
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就役
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状況
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P3711
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ウム・アルマラディム[1] Um-Almaradim
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ノルマンディ機械製作所(CMN)[1]
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1997年 2月27日[1]
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1998年 7月31日[1]
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現役[3]
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P3713
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オウハ[1] Ouha
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1997年 5月29日[1]
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1998年 7月31日[1]
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P3715
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ファイラカ[1] Failaka
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1997年 8月29日[1]
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1998年 12月19日[1]
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P3717
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マスカン[1] Maskan
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1998年 1月6日[1]
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1998年 12月19日[1]
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P3719
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アル・アーマディ[1] Al-Ahmadi
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1998年 4月2日[1]
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1999年 7月1日[1]
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P3721
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アルファハヒール[1] Alfahaheel
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1998年 6月16日[1]
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1999年 7月1日[1]
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P3723
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アル・ヤルモウク[1] Al-Yarmouk
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1999年 3月3日[1]
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2000年 6月7日[1]
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P3725
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ガロオ[1] Garoh
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1999年 6月[1]
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2000年 6月7日[1]
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脚注