ウィリアム・スティンプソン(William Stimpson, 1832年2月14日 - 1872年5月26日)は、アメリカ合衆国の動物学者。海洋生物学、特に無脊椎動物の研究で功績を残したが、シカゴ大火で研究成果の殆どを失い、失意のうちに死去した。
生涯
マサチューセッツ州ボストンで生まれ、進学したハーバード大学ではルイ・アガシーに師事した[1]。
1853年から1856年にかけて北太平洋学術調査艦隊に参加し、北太平洋産の無脊椎動物を多数採集した。開国後の日本でも採集を行っており、採集地として函館、下田、小笠原、沖縄などが記録されている。この探検で4新属34新種を含む14科26属50種の標本を収集した[2][3][4]。
ワシントンD.C.に定住し、スミソニアン学術協会にメガテリウムクラブ(Megatherium Club)を設立した。その後、クラブ会員のロバート・ケニコットがシカゴ科学院の院長を辞職すると、後任としてシカゴに赴いた。
しかし、1871年のシカゴ大火で科学院が被災、スティンプソンの研究成果や標本もほとんど焼失してしまった。さらに翌年に結核を患い、40歳で死去した。カニ類については詳細な報告が出来ていたが、エビ類については短い文章しか残らず、模式標本も大火でほとんど失われた[3]。
おもに甲殻類や貝類など948種を新種として記載し、この中には日本産の種類も多く含まれている[3][4]。
多くの動物の学名に、スティンプソンに対する献名として"stimpsoni"が命名されている。以下にその一部を挙げる。
参考文献
- ^ "Scientific Illustrators Smithsonian Institution"-William Stimpson (1832-1872)
- ^ 林健一『日本産エビ類の分類と生態 I 根鰓亜目』生物研究社 1992年 ISBN 4915342077
- ^ a b c 阪地英男『サルエビ種群の再検討と新種ナンセイサルエビの記載』水産総合研究センター中央水産研究所『中央水研ニュース』No.33 2004年
- ^ a b 山口隆男『日本における科学としての甲殻類研究の始まり』-日本甲殻類学会第48回大会シンポジウム『甲殻類研究の歩み』 2010年