イチョウウキゴケ(Ricciocarpos natans)は、浮遊性のコケ植物の1種。1属1種。
分布
世界各地に分布する[1][2]。ウキクサなどに混ざって池や水田の水面に浮遊して生育するが、泥土の上でも陸生形をとって生育できる[3]。
形態
葉状体はイチョウのような形をとり、表面には浅い溝がある[3]。葉状体の長さは10mm、幅は5mmほどである[1]。葉状体の内部には気室があり、水面に浮遊できるようになっている[3]。
葉状体の裏面には紫色の腹鱗片がリボン状に伸びる[2]。陸生形ではこの腹鱗片はあまり発達せず、仮根が伸びる[3]。雌雄同株で、生殖器は葉状体の中に埋まっている[3]。
保護
日本では、水質汚濁や農薬の使用によって個体数が減少している[2]。そのため一時は環境省のレッドデータブックで絶滅危惧I類に指定されたが、2007年度版のレッドリストでは準絶滅危惧とされた。
利用
アクアリウムで用いられることがあるが、栽培は難しい[1]。
脚注
- ^ a b c 吉野敏「世界の水草728種図鑑―アクアリウム&ビオトープ」p.22
- ^ a b c 「岡山県版レッドデータブック2009」p.339
- ^ a b c d e 「愛知県維管束植物レッドリスト」(2009年)p.722